【韓国情勢】
<内政>
2003年2月に盧武鉉政権が発足した。同政権は国民参加型政府、改革を標榜したが、同政権の支持基盤の脆弱さなどもあり、世論調査における支持率は低迷した。また、盧武鉉政権発足時に与党であった民主党が9月末に分裂し、11月には「開かれた我が党(ヨルリンウリ党)」が新たに発足した。これにより、国会はハンナラ党、民主党、ウリ党、自民連からなる「4党体制」に再編された。なお、盧武鉉大統領は9月末に民主党を離党しているが、ウリ党へは参加せず、無党籍となっている。
このような状況の中で、野党ハンナラ党が2002年の大統領選挙の際に大手財閥企業等から巨額の不法選挙資金を受けていたことが発覚し、同党の議員数名が逮捕された。また、検察の発表によれば、盧武鉉大統領側も不法選挙資金を受けていたことが明らかになった。さらに、盧武鉉大統領側近らの不正資金授受疑惑について、ハンナラ党を中心とした野党は、検察庁の捜査とは別に特別検事による捜査を実施するための時限法を成立させた。これを受けて2004年1月6日に特別検事による捜査が開始された。
その後、盧武鉉大統領が総選挙でウリ党の勝利を期待する旨述べたことに対し、ハンナラ・民主両党等は公務員の中立義務に反するとして強く批判した。これらを理由に野党は弾劾訴追案を発議し、同訴追案は3月12日に可決された。憲法裁判所で弾劾審判が行われ、最終決定が出るまで盧武鉉大統領の権限行使は停止し、高建(コゴン)国務総理が大統領権限を代行している。
<経済>
2001年に3.8%に落ち込んだ韓国の国内総生産(GDP)成長率は、2002年に7.0%に回復したが、2003年に入り、内需の不振、北朝鮮の核開発問題への懸念、労働争議の増加等の要因により落ち込んだ。後半に入り、輸出が堅調に推移し経済を支える役割を果たして持ち直し、年間では2%台後半の見通しが内外より示されている。失業率は、1999年2月の8.7%をピークに、その後は、低水準で推移(2004年1月3.7%)してきた。貿易収支は、2002年は104億ドルの黒字であり、2003年は150億ドルの黒字となっている。特に2003年の対中貿易黒字が対米貿易黒字を上回り1位になる等、中国への輸出依存が高まっている。
盧武鉉政権は、構造改革を引き続き推進するとしており、庶民・中産層の生活安定と福祉向上や、労使改革、北東アジア経済中心国家の建設(経済自由地域(仁川、釜山、光陽)の指定・運営、インフラ拡充、研究及び開発)、地方分権等の経済政策を通じ、国民所得2万ドル時代の基盤を構築することを掲げている。