第1章 総括:2003年の国際情勢と日本外交 

(2)問題解決に向けた取組
 政府としては、拉致被害者5名の家族の帰国ならびに拉致問題の真相究明等、問題の解決のため、北朝鮮が前向きな対応をとるよう、引き続き粘り強く働きかけていくこととしている。2003年8月の第一回六者会合の際の北朝鮮側との接触において、北朝鮮側から「拉致問題を含めた日朝間の問題は、日朝平壌宣言に則って一つ一つ解決していきたい」との発言があった。
 その後、日本は北朝鮮側に対し、日朝間の諸問題の解決に向け政府間協議の開催を強く働きかけていた。その結果、2004年2月には、田中外務審議官、藪中アジア大洋州局長らが訪朝し日朝ハイレベル協議が行われたほか、第二回六者会合の際にも日朝政府間での協議が行われた。両協議において、日本側からは、特に拉致問題の解決の重要性を指摘し、被害者家族全ての無条件帰国及び安否不明の被害者10名について真相究明を強く求めたのに対し、北朝鮮側からは、5名の拉致被害者をまず北朝鮮に戻すことが先決である、また、子供達の意思確認も必要である、真相究明の問題は解決済みである等従来の立場を繰り返した。
 両協議においては、具体的な成果を見るには至らなかったが、双方ともに日朝平壌宣言に基づき諸懸案を解決する必要性は認め、政府間協議を継続することで一致した。日本としては早期の問題解決のため、引き続き粘り強い外交努力を継続しているところである。
 また、政府としては、「被害者」と認定した15名の方々に限定することなく、広く北朝鮮による日本人拉致の有無について情報収集を行っている。今後新たに拉致と認定される事案がある場合などには、北朝鮮側に対して然るべく取り上げていく旨は、2004年2月の日朝ハイレベル協議でも北朝鮮側に伝えている。

 

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