第1章 総括:2003年の国際情勢と日本外交 

第二回六者会合
 第二回六者会合は、2004年2月25日から28日にかけ中国・北京にて行われた。日本政府は、従来から一貫して主張しているとおり、北東アジアの平和と安定に向け、六者会合のプロセスを通じて、北朝鮮の核廃棄を実現し、問題の平和的解決を図ることを基本として今次会合に臨んだ。
 25日より開催された六者会合では、核問題に関し率直かつ実質的な意見交換が4日間にわたって行われ、28日の閉幕時には議長声明が発出された。第二回六者会合を通じ、核問題については全体として以下のような成果が得られ、一歩前進の方向へ動いた。

 -関係六者の間で、朝鮮半島の非核化が共通の目標であることを改めて確認した。
 -北朝鮮による、すべての核計画の完全、検証可能かつ後戻りのできない形での廃棄の重要性につき、多くの参加者の間で認識が深まった。
 -いわゆる「調整された措置」という形で核問題に取り組んでいく旨一致した。
 -2004年6月末までに北京で第三回会合を開催すること、及びその準備のための作業部会を設置することで認識が一致した。

 但し、「核計画」の範囲に関し、日本、米国及び韓国は「すべての核計画」の完全、検証可能かつ後戻りのできない廃棄を求めていくとの立場であるが、北朝鮮は原子力の平和利用は認められるべきで、廃棄の対象を「核兵器開発計画」に限定すべきであるとの立場をとっている。また、ウラン濃縮計画の存在を北朝鮮側が否定するなど、六者間の立場の違いが大きい点も依然残されており、今後の展開については予断を許さない。

 

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