第1章 総括:2003年の国際情勢と日本外交 

【六者会合に向けた動き】
 4月の三者会合以降、日本や韓国等も参加した形での会合の開催を図るべく、多くの外交努力が尽くされた。特に日本は、当事者として最大の関心を有する日韓両国が北朝鮮の核問題に関する協議に参加しない訳にはいかないと繰り返し主張し、関係国に対する働きかけを行った。
 これに対し、北朝鮮は、多者会談について発言を二転三転させるのと平行して核問題について緊張を高める言動を繰り返し、例えば、4月30日には、核問題との関連で「我々はやむなく必要な抑止力を備えることを決心し、行動に移さざるを得なくなった」旨の談話を発表した。しかし、最終的には、北朝鮮は、7月31日、核問題についてロシアを交えた日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮の六者による会合の開催に賛成するとの声明を発表した。
 その後、王毅(おうき)中国外交部副部長の訪朝(8月7日~9日)、李肇星(りちょうせい)中国外交部長訪日(同月10~13日)、北朝鮮問題に関する日米韓非公式実務者協議(同月13日)といった一連の会合を通じ、六者会合に向けた準備が行われた。

 

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