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北東アジア協力対話(NEACD)


 北東アジア協力対話(NEACD:NorthEast Asia Cooperation Dialogue いわゆるトラックII(*)の対話)は、北東アジアの長期的な安定に役立てることを目的とした、民間レべルの安全保障対話の場です。この民間レベルでの会議は、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校世界紛争・協力センター(IGCC:the Institute on Global Conflict and Cooperation)が主催しているもので、日本では日本国際問題研究所が協力しています。これまで、既に13回の会合が開催されており、2002年には、4月に日本、10月にモスクワで開催されました。

 従来は、日本、米国、中国、韓国、ロシアの5か国の関係者が参加して開催されてきましたが、2002年のモスクワ会合には、初めて北朝鮮の関係者が参加しました。

 北東アジアは、日本のほか、中国、ロシア等、主要国が国境を接していますが、例えば欧州における欧州安全保障協力機構(OSCE)のような安全保障に関する政府間の枠組みは存在していません。もちろん、NEACDは民間レベルの会合ですが、この地域で唯一の安全保障の対話の枠組みとして、各国の学識経験者に加え、政府関係者(外務省、国防省等)も個人の資格で参加し、政府の立場にとらわれず各国の安全保障政策、テロ対策、朝鮮半島情勢、日米同盟などについて、自由な意見交換を行っています。

 安全保障に関する問題は、国民の平和・安全に直結する重大な問題であり、政府間の対話は公式見解のお披露目に終始しがちですが、NEACDでは民間レベルの会合という気楽さもあり、参加者は率直に意見や疑問をぶつけあい、文化の違い、体制の違いからくる意見の違いを認め、お互いに理解を深めています。特に、冷戦時とは異なり、米国、中国、ロシア等も、北東アジアにおいて互いの協力関係をいかに構築するのかという点を重視してきており、NEACDが、自由な意見交換を通じて北東アジアの平和と安定のための基盤となる相互信頼と信頼醸成の促進に寄与することが期待されています。


(*)一般に、政府間の対話をトラックI、非政府間・民間レベルの対話をトラックIIと呼んでいる。



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