第3章 > 第2節 国際社会の繁栄の実現
総論
2002年の世界経済は、年初に景気回復の兆しを見せたが、春ごろから株価の下落等により米国経済の回復の勢いが鈍化し、他の先進主要国の回復も力強さを欠いたことなどにより、安定感に乏しいものであった。そうした中にあっても、国際社会の繁栄の実現に向けた取組は様々な形で進められた。2002年、日本との関係で特筆される点は、
多角的貿易交渉の立ち上げ、
地域的経済連携の強化に向けた取組、の二つである。
第一に、世界貿易に関しては、2001年11月の第4回世界貿易機関(WTO)閣僚会議(カタール)での合意を経て、2002年1月、新多角的貿易交渉(新ラウンド)が立ち上げられた。今回のラウンドでは、農業、サービスのほか、アンチダンピング等のルールや投資等の「シンガポール・イシュー」(注)等について議論されることになっている。交渉は、2003年9月の第5回閣僚会議(メキシコ)を経て、2005年1月1日までに妥結することを目指しており、日本は交渉の進展に向け積極的に貢献する考えである。
第二に、日本の二国間・地域経済政策において大きな進展が見られた。日本にとり初めての自由貿易協定(FTA)となる日・シンガポール新時代経済連携協定が11月末に発効したほか、現在、メキシコ、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国等との間でも経済連携強化に向けた取組を進めている。
以上のような潮流は、2003年においても継続すると予想され、日本としても、国際社会の繁栄に向けた努力に引き続き積極的に参画し、日本の経済的利益の確保に努めていく考えである。
実質GDP成長率