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2 カナダ



【総論】

 カナダは、G8や国連等の多国間フォーラムを通じて、国際社会の平和と安定、民主主義及び人権の尊重等の価値観を具体的な政策課題として積極的に発信する努力を行っており、今後、日本が国際社会における新しい諸課題に取り組んでいくにあたって、カナダとの協力はますます重要になっていくと考えられる。

【カナダ情勢と日・カナダ関係】

 2002年のカナダにおける特筆すべき出来事として、対外関係ではG8サミットとテロとの闘い、内政ではクレティエン首相の引退宣言が挙げられる。

 カナダは、2002年のG8議長国としてカナナスキス・サミットを開催し、アフリカ、テロとの闘い、世界経済等のテーマを通じて、積極的な多国間外交を行ってきた。テロとの闘いでは、カナダは、2001年に引き続き、アフガニスタン地域に艦船、特殊部隊及び地上部隊等を派遣するとともに、同盟国であり最大の貿易相手国である米国と緊密な連携の下、両国の国境管理の強化に取り組んできた。

 内政では、1993年10月以来政権を担ってきたクレティエン首相が、6月に次期首相の有力候補であり国民的人気の高いマーティン蔵相を更迭したことにより、同首相への支持率が下落した。その後、クレティエン首相は、8月に、2004年2月に首相の座を後任に譲るとする実質上の引退宣言を行った。その後、与党自由党は2003年11月15日に党首選挙を行うと発表した。

 国内経済は、米国の景気後退の影響を受けた2001年の減速傾向から転じ、低金利の下での個人消費と住宅建設投資等の伸びを背景に拡大を見せている(2002年のGDP成長率は第1、第2及び第3四半期にそれぞれ年率5.7%、4.4%及び3.1%(速報)で推移している)。

 日本にとって、カナダは国連平和維持活動、軍備管理・軍縮・不拡散、国際経済等の幅広い課題について見解を共有する国であり、両国はこれら諸分野での協力関係を深めてきた。川口外務大臣が、2002年6月に「共通の機会:21世紀における日本とカナダ」と題し、バンクーバーで行った政策講演でもこの点を強調した。こうした両国の協力関係は、ウィスラーでのG8外相会合の際の川口外務大臣とグラハム外相との日・カナダ外相会談(6月12日)、G8カナナスキス・サミットの際の小泉総理大臣とクレティエン首相との日・カナダ首脳会談(6月25日)でも確認された。2002年はカナダがG8議長国であったことから、財務大臣、環境大臣等日本より多数の閣僚級の要人がカナダを訪問し、カナダからもミリケン下院議長が3月に訪日するなど、要人の往来が活発に行われた。



G8カナナスキス・サミットに先立ち、クレティエン・カナダ首相との会談に臨む小泉総理大臣(6月 提供:内閣広報室)

G8カナナスキス・サミットに先立ち、クレティエン・カナダ首相との会談に臨む小泉総理大臣(6月 提供:内閣広報室)


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