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ワールドカップ・サッカー大会を通じた国際交流


 国際交流と地方自治体、国際化の流れは、自分の周りを見ても、徐々にはっきりと増しています。

 形は、それぞれあると思いますが、国際結婚されている方、学生として訪ねる方、そして2002年ワールドカップ・サッカー大会は、一層深まりを添えました。

 私の中津江村も、日韓共同開催のワールドカップ・サッカー大会へ出場するチームのキャンプ誘致活動へ取り組みました。

 15か国の日本駐在大使館を訪ねて、キャンプ地協定の要請を申し上げました。特に、ジャマイカ大使とは自然環境等を通して意気投合し、ジャマイカを訪問するまでになりました。

 しかし、このジャマイカ訪問で、少しなりとも日本に誇りを持っていた自分ですが、まだ世界には到達していないことを知らされました。空港でもホテルでも、銀行までも円は通用せず、一時の好況期には、ドルより信用されると聞いた過去は、思い上がりだったのかとの思いも浮かびました。路上で見かける車はタクシーまでもが大半、日本車で占められているのに。

 残念ながら、ジャマイカチームはグループ予選で出場権を失いましたが、中津江村は幸いかな、カメルーン共和国チームのキャンプ地となりました。そして、このキャンプは、村にとりまして意外なほど、成果を産みました。言葉の空間、文化の差を越えて親しみ深い交流ができ、チーム一行が村を発つ前夜の壮行会では、子どもたちの花笠音頭の踊りの輪の中に、不屈のライオンチームと言われる選手の皆様が、次々と踊りに加わる手放しの交流は、最高に感動しました。村では、カメルーンチーム一行へ特別名誉村民の称号顕彰を贈りました。

 今日の国際化の流れは、ワールドカップ・サッカー大会を通して、私の村の村づくりにも大きな活力を与えました。カメルーンチームは決勝リーグへ進めずに早々と帰国し、ワールドカップも閉幕したにもかかわらず、その後も、報道関係者のお陰で話題の村として登場することとなりました。

 2001年末に、役場の屋上に立てたカメルーンの明るい三色旗は、今日も風にはためき、村民へ元気を与え、大幅に増加した観光客の皆様に喜んでいただいております。国際化って、ワールドカップってすばらしい、の一語です。


執筆:中津江村村長 坂本 休



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