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国際平和協力活動隊員として感じたこと


 21世紀初の独立国東ティモール民主共和国での国際平和協力活動(国連東ティモール支援団(UNMISET))(*)に、私は参加してきました。今回派遣された自衛隊は東ティモールで、道路、橋の維持・補修等といったPKFの後方支援活動を行っていますが、派遣された680名の隊員には、初めて7名の女性自衛官が含まれました。自衛隊がPKOに参画してちょうど10年目に、初めて女性が参加したことになります。約15万人の陸上自衛官の約4%に当たる人員が女性自衛官です。私が東ティモールに派遣されることになったことはとても幸運だと思う反面、その責任も大きいと感じながら、この任務に就きました。

 現地での私の主な任務は、連絡幹部として人事や情報に関してPKF本部と調整を行うことでした。特に、人事業務においては、680名の隊員、さらにそのご家族の方々のことを思い、些細なことでも確認の上にも確認をして配属の調整をするように心がけました。また、5月末にPKFの民生支援課(Civil Military Affairs)より要請を受け、そこで行われる会議に私が毎日参加することになりました。今思うと、一心不乱に、あの東ティモールでの約6か月を過ごしたように思います。民生支援活動を通じ、他国の軍人たちと目的を一つにして協力し合うとき、言葉では表現できない心の充実感を得ることができました。PKOに参加している他国の間でも、日本の自衛隊は時間に正確で「任せて安心」と高く評価されました。

 ある日、私は現地の高校生からインタビューを受ける機会がありました。インタビューの終わりに、私から彼らに今回の自衛隊による道路、橋などの補修活動について尋ねてみました。彼らは、「お金の支援はどこでどのように使われているかわからない。でも自衛隊が補修してくれた道路や橋はみんなが使うもの、目に見えるものだからうれしい」と答えました。将来この国を支える子供たちの目にこのように映ったのかと思うと、本当に来て良かったと思いました。

執筆:第2後方支援連隊衛生隊1等陸尉(第1次東ティモール派遣施設群 連絡幹部)                         伊賀崎 ひとみ


(*)UNMISETは、2002年5月20日東ティモールが独立したことを受けて任務が終了したUNTAETに代わり、行政能力の確保、法執行機能の整備への支援、東ティモールの内的・外的安全の維持などを任務とする、軍事、警察、民政部門を含むPKO。日本は、680名の部隊隊員と10名の司令部要員を派遣している。



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