資料編 > 3 > (10) > (イ)APEC首脳宣言(骨子)
(2001年10月21日、於:上海)
1.序文
世界の主要経済が予想以上に減速している中、米国に対するテロ攻撃により、消費者・投資家の信頼が損なわれるおそれ。この流れを反転させる努力とともに、長期的には、グローバル化及びニューエコノミーによる経済の根本的な変革への対応が主要な課題。
2.持続的成長の促進
域内の中長期の成長見通しについての揺るぎない信頼を確信。経済成長の向上のため適切な政策・措置を採用し、マクロ経済政策対話を強化する決意。地域の市場基盤強化のため構造改革の深化に向けた国内努力の加速化を確約。経済法制度の強化の努力を歓迎。チェンマイ・イニシアティブの実質的進展を歓迎。
3.グローバル化及びニュー・エコノミーの利益の共有
グローバル化は経済成長の推進力と確信。グローバル化の利益をあまねく均霑する必要。北京での人材養成ハイレベル会合の成果(「北京イニシアティブ」)を賞賛。健全且つ均衡のとれたAPECの発展に資するエコテク行動計画の策定を賞賛。e-APEC戦略に基づく具体的な活動を慫慂。熊本での人材養成大臣会合の成果(「熊本宣言」)を歓迎。
4.多角的貿易体制の支持
均衡が取れ、十分広範な議題の下での新ラウンドを立ち上げる必要性を強調。WTO上の義務実施に関する能力構築プログラム(「戦略的APEC計画」)の重要性を再確認。中国のWTO加盟作業部会の作業完了を賞賛。電子商取引に係る関税賦課のモラトリアムを第5回WTO閣僚会議まで延長。
5.将来のためのヴィジョンの明確化(Sharpening)
自主性、コンセンサス重視、開かれた地域主義等の基本原則に基づく活動への信頼を再確認。今後十年間のAPEC発展のための戦略的且つ前向きな議題として「上海アコード」を発表。
「上海アコード」(付属文書)
1.ヴィジョンの拡大
グローバル化及びニュー・エコノミーによる変化を反映させたヴィジョンの策定のため、ボゴール目標を改訂・拡大されたヴィジョンの文脈で位置づけることが必要。健全なマクロ経済政策、金融システムの安定等財務大臣プロセスの戦略目標もかかるヴィジョンに反映させるべき。
2.ボゴールへの道筋の明確化
(1)域内・世界情勢の変化に対応すべく、e-APEC戦略関連分野の実施を通じたニュー・エコノミーの発展、市場機能の強化等の分野にOAAを拡大すべきことで合意。
(2)ボゴール宣言と整合する形で、また、自主性、コンセンサスによる決定等の原則を遵守しつつ、準備のできたメンバー・エコノミーが共同の取り決めを実施し得ることを「パスファインダー・イニシアティブ」として採用することで一致。
(3)ニュー・エコノミーのための適切な貿易政策の採用が必要との点で一致。明年の閣僚会議までに関連分野の目標を策定。
(4)貿易円滑化原則実施のための具体的措置を明年の閣僚会議までに特定し、APEC域内で5年間で取引コストを5%削減することを努力目標として2006年までにかかる措置を実施するよう指示。
(5)透明性条項を含むAPECの諸原則を自発的に実施し、明年以降の個別行動計画にて報告するよう指示。
3.実施メカニズムの強化
(1)個別行動計画の審査(ピア・レビュー)プロセス強化策を歓迎。新方式によるレビュー一巡後の2005年にボゴール目標に向けた全般的進展の中間段階での現状把握を行うべきことで合意。
(2)OAA第II部の更新を賞賛。経済技術協力活動の向上に向けた経済技術協力小委のマンデート及び役割の見直し予定を歓迎。エコテク活動を測定・奨励するための方途として、エコテク行動計画を更に発展させることで合意。