第4章 > 2 国内世論と広報及び諸外国の対日理解
【国内世論と広報】
国民から理解され、支持された外交を行っていくためには、外交政策について国民に情報をわかり易く発信、提供し、また、日本外交のあり方について、国民と幅広く意見交換を行い、国民と共に外交を展開していくことが不可欠である。
最近の国際関係の緊密化に伴い、外交問題として扱われる事柄が、国民の生活に直接影響を及ぼすことが多くなり、国民の外交問題に関する関心は一層高まっている。外務省としては、このような高まりゆく国民の関心に的確に応え、説明責任を十分に果たすことが必要である。
さらに、外交政策は、刻々と変化する内外情勢、多様な関係者の利害等を総合的に勘案しながら進められる。このため、国民が外交政策の内容や背景を正確に把握するためには、外交当局が必要な情報を、適時に、わかり易い形で提供することが極めて重要である。また、めまぐるしく変化する国際社会の中で、日本の国益を最大化し、より良い国際秩序を構築していくためには、政府が、先見性をもって新たな考え方を国民に提示することも重要であり、そのための情報発信についても積極的に取り組んでいく必要がある。
外務省は、以上のような観点から、わかり易い情報の発信、提供を積極的に行い、国民の理解と支持を得ながら、国民と共に外交を展開していくための取組を行ってきている。
具体的には、外務省は次のような方法を活用している。
まず、外務省ホームページ(注1)を開設し、外交政策や国際情勢について最新の情報を提供している。このホームページには、渡航関連情報や各国・地域情勢など、身近で有益な情報も掲載されており、昨今、利用者数は急速に増加し、2001年の1日当たりの閲覧件数は平均約114万件に上った。さらに、4月からは、外務省ホームページ上に外交政策Q&Aというコーナーを新設し、国民からの質問、意見等を受け付けるとともに、多く寄せられた質問については外務省の考え方をホームページに掲載するようにしている。また、近年普及が進んでいる携帯電話の情報端末機能を利用したサービスに対応するため、12月より、iモード版ホームページの運用を試験的に開始した。
特に国民の関心が高いと思われる重要な外交問題については、その背景を含め、国民により詳細な情報を提供するため、定期刊行物への編集協力やパンフレットの作成、テレビの広報番組の制作などを通じて、わかり易い広報に努めている。
さらに、外務省員と国民が外交政策について直接に話し合う機会を設けるために、「外交の窓」、「外交クラブ」、「国際フォーラム」などの講演会やシンポジウムを全国各地で開催しているほか、若い世代の国際理解を促進するため、大学や高校での講演会や外務省への訪問の受け入れなども行っている。
外務省ホームページ

【諸外国の対日理解の増進に向けた取組】
諸外国の人々が、日本の一般事情や日本政府の政策を正しく理解し、これを通じて信頼と好感を抱くことができるよう取り組んでいくことは、日本が外交政策を推進していく上で欠くことのできない要素である。日本は、大使館や総領事館を通じた広報事業や報道関係者への情報提供、有識者や報道関係者の訪日招待、インターネットなどマルチメディアの活用により、日本の事情や政策を紹介し、対日理解の促進に努めている。
広報活動を行うにあたっては、各地域の対日関心の程度、関心の対象、理解の程度などの実情に応じて、広報する内容や効果的な媒体を検討し、きめ細かい広報事業を展開している。対日認識をより正確に把握するために、対日世論の調査や分析も実施している。
大使館や総領事館では、講演会、シンポジウム等の広報事業を開催し、政治、経済、外交に加え、文化、芸術なども紹介している。特に2001年は、日本経済の現状及び経済構造改革の取組等に関し、日本から有識者を派遣するなどして、積極的に講演会等を実施した。また、青少年層に対し、日本のポップカルチャー等を活用した広報も積極的に行っている。
また、外国の報道関係者への情報提供や働きかけは、在京特派員に対し随時行うとともに、政府要人の外国訪問や外国要人の日本訪問などの機会にも、幅広く行っている。また、日本に関する誤解や偏見に基づく海外の報道がある場合には、必要に応じて反論を行っている。さらに、海外のテレビ局関係者を招待し日本関連番組の取材や放映を支援しているほか、世論の形成に大きな影響力を有する有識者や報道関係者を訪日招待し、日本の実情を紹介することを通じて、対日理解の増進に積極的に取り組んできている。
近年急速に普及しているインターネットを通じた日本紹介も海外広報の重点分野の一つである。日本の外交政策に関する情報を発信する外務省ホームページ(英語版(注2))では、要人往来や重要な国際会議等に関する関連情報の迅速な掲載を行っている。また、日本の一般事情を紹介するJapan Information Network(注3)により対日理解の増進に努めている。さらに、多くの在外公館でも独自のホームページを開設して、現地に密接した情報を現地の言語もしくは英語で発信している。また、衛星を活用して、アジア大洋州及び北米地域に向けた広報番組の放映も行っている。各種印刷物資料、ビデオ・写真等の映像資料作成・配布も欠かせない事業となっている。