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第3章 > 2 > (2) カナダ



 北 米

北 米


(2) カナダ


 カナダではクレティエン首相の率いる自由党が、2000年11月に行われた連邦下院選挙後も安定した政権運営を続け、世論調査でも高い支持率を維持した。経済面では、1997年以降4%前後の成長を見せてきたカナダ経済(2000年の成長率は4.4%)は、米国経済の鈍化の影響を受けて2000年第4四半期(年率1.6%)以降景気の減速が明確となり、さらに米国同時多発テロの影響もあり(2001年第3四半期は年率マイナス0.6%)、2001年の実質GDP成長率は1.5%となった。財政面では、1997年度に均衡財政を達成して以来黒字基調にある(2000年度財政黒字は171億カナダ・ドル)。
 外交面では、4月に米州サミットをケベックで開催するなど、引き続き、多国間外交を重視する取組を見せた。9月の米国同時多発テロの発生以降は、対米協力と米国との国境管理が重要案件となった。また、アフガニスタンにおける米国等の軍事行動に対して、カナダは艦船6隻、航空機6機、要員2000名の派遣を表明した。また、貿易依存度の高いカナダは、世界貿易機関(WTO)など多国間の枠組みでの自由化の推進等を経済外交の柱にしている一方、北米自由貿易協定(NAFTA)を始め、地域レベルや二国間での自由貿易協定締結にも積極的である。
 日本とカナダとの関係では、7月のジェノバ・サミットの際に小泉総理大臣とクレティエン首相との間で首脳会談が行われた。また、米国同時多発テロを受けて、両首脳による電話会談が二度にわたって行われた。外相レベルでは、7月のローマでのG8外相会合の際に田中外務大臣とマンレー外相との間で外相会談が行われた。
 二国間の経済関係は、大きな懸案事項もなく基本的に良好である。日本とカナダとの貿易関係は相互補完的なものとなっており、日本の対カナダ主要輸入品目は原材料、対カナダ主要輸出品目は製造業品であり、貿易収支もおおむね均衡している。

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