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【第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議】
日本は、児童買春、児童ポルノといった商業的な性的搾取の根絶に向けた国際社会の取組を促進するため、12月17日から20日にかけて、横浜において第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議(注)を開催した。同会議では、田中外務大臣が開会の挨拶を行い、森山法務大臣が基調講演を行った。
この会議では、全体会合における各国政府、国際機関等による演説、三つのパネル討論、非政府組織(NGO)等の主催による107のワークショップ、さらには、「子ども・若者ラウンド・テーブル」などが開催され、136か国の政府(うち閣僚級52)、海外のNGO148団体、日本のNGO135団体及び23の国際機関、国内外の子ども、若者90名など、総計3050名が参加し、六つの主要テーマ(「児童ポルノ」、「児童の性的搾取からの予防、保護及び回復」、「児童の密輸」、「民間セクターの役割と関与」、「立法と法執行」及び「性的搾取者」)について、活発な議論と情報・意見交換が行われた。
会議最終日には、児童の商業的性的搾取の根絶に向けた更なる取組を呼びかける横浜グローバル・コミットメント2001がコンセンサスにて採択されたほか、会議に参加した子ども・若者による最終アピールが発表された。
この会議は、子どもをテーマとする21世紀最初の大規模な国際会議となったことから、子どもたちを性的搾取から保護し、人類の未来の担い手となる子どもたちの尊厳と幸福を確保するための国際社会の取組を一層促進するための重要な機会として、国内外より高い関心が寄せられた。また、会議の開催方法について政府、国際機関及びNGO2団体の共催とすることにより、国際機関及び国内外のNGOの積極的かつ主体的な参加が得られた。さらに、政府、国際機関、NGOが一堂に会することにより、関係者すべての協力やネットワーク作りを促進する場となった。
第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議で演説する田中外務大臣(12月)

【児童の権利の保護・促進のための主要な取組】
〈「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約」の締結〉
児童労働の撤廃は、国際労働機関(ILO)が1919年の創設以来取り組んできた課題であるが、児童の権利に対する国際的な関心が近年更に高まったことを背景として、1999年のILO総会においてILO第182号条約「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約」が全会一致で採択された。この条約は、「児童」を18歳未満のすべての者と定義し、強制労働、売春、薬物の取引等に児童を使用する「最悪の形態の児童労働」を禁止し、撤廃するためにとるべき措置等について定めたものである。
日本は、この条約を2001年6月18日に締結したが、同条約は、採択後わずか3年間足らずの間に、既に加盟国175か国中100か国を超える国が批准しており、児童労働の撤廃に対する各国の関心の高さを示すものとなった。日本は、同条約の批准を一つの契機として、国際社会における児童労働撤廃のための取組を一層促進していきたいと考えている。
〈児童の権利に関する条約の第2回政府報告の提出〉
日本は、児童の権利に関する条約の締約国であり、児童の権利の保護・促進に努めている。2001年11月には、関連NGO等から意見を聴くための会合を開催するなど、市民社会からの協力を得つつ、児童の権利に関する条約の日本における実施状況に関する第2回政府報告を作成し、国連に提出した。
〈児童の商業的性的搾取に対する国内行動計画の策定〉
日本は、1996年にスウェーデンのストックホルムで開催された児童の商業的性的搾取に反対する世界会議のフォローアップとして、2001年2月、児童の商業的性的搾取の予防やこうした行為の取締り、被害児童の回復のための取組を定めた児童の商業的性的搾取に対する国内行動計画を策定した。