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第2章 主な分野における国際社会の取組と日本外交


第1節 政治・安全保障


1 日本の安全の確保



【総論】
 日本が位置するアジア太平洋地域においては、民族や宗教など、複雑で多様な要因を背景とした地域紛争の発生、大量破壊兵器やミサイルの拡散の進行等、依然として不透明、不確実な要素が多く残されている。また、9月の米国同時多発テロに見られるような、これまで想定し得なかった形態の脅威が生起するなど、今日の国際情勢は様々な流動的要素をはらんでいる。
 このような安全保障環境の下、日本は引き続き三つの柱からなる安全保障政策―日米安全保障体制の堅持、適切な防衛力の整備、日本を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力―を推進している。
 日米安全保障体制については、次項で詳述する。
 防衛力整備については、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本理念に従い、節度ある防衛力整備に努めている。この基本方針にのっとり、1995年11月に決定された防衛大綱及び2000年12月に決定された中期防衛力整備計画(2001年度から2005年度)の下、継続的かつ計画的な防衛力整備が行われている。
 日本の平和と繁栄は、アジア太平洋地域、ひいては世界全体の平和と繁栄と密接不可分の関係にあり、様々なレベルでの外交努力を積み重ねることが重要である。このような考えの下、日本は、地域の安定を図っていくための二国間ないし多国間の協力、各国との信頼醸成に向けた政治・安全保障対話及び協力、軍備管理・軍縮・不拡散体制の強化、紛争予防への取組や国連平和維持活動(PKO)への参画等を通じた地域紛争への取組、域内各国の経済発展への支援・協力を通じた地域の安定性の増大、国際テロの防止・根絶のための取組等の分野で、引き続き積極的な役割を果たしていく必要がある。2001年に、日本が取り組んできたテロ対策特別措置法の下での米軍等への支援、東チモールに展開するPKOへの参加や、国際平和協力法を改正し、国連平和維持隊(PKF)本体業務の凍結解除等を行ったこともこのような考え方に基づくものである。
 また、12月に発生した九州南西海域不審船事案は、日本の法秩序の維持と安全保障にとって重大な事態であり、政府としては、引き続きこのような事案に適切に対応するよう努めていく考えである。

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