第1章 > 4 > (4) アジア欧州会合(ASEM)
アジアと欧州の関係を強化する目的で1996年に発足したアジア欧州会合(ASEM)は、アジア10か国、欧州15か国及び1機関が参加する、地域間の対話と協力のためのフォーラムである。これまでに首脳会合が3回開かれており、2002年9月にはコペンハーゲンにおいて第4回首脳会合(ASEMIV)が開催される予定である。
アジアの一員であるとともに、先進民主主義諸国の一員として欧州諸国とも価値観を共有し緊密な関係を有する日本は、ASEMの目的であるアジアと欧州の間の対話と協力の強化を図る上で重要な役割を担うことができると考えており、ASEMの活動に積極的に取り組んでいる。
ASEMは、その活動の三つの柱として政治対話、経済、文化その他を掲げており、それぞれの分野の下で種々の活動が進められている。2001年には、1月に神戸で第3回財務大臣会合、5月には北京において第3回外務大臣会合、9月にはハノイにおいて第3回経済閣僚会合と三つの閣僚レベルの会合が開催された。また、日本は、2001年3月に東京において、デジタル・オポチュニティーに関するASEMセミナーを開催した。この会合にはASEM参加各国の政策立案者及び専門家が出席し、国家間あるいは国内の情報格差(デジタル・ディバイド)解消のための方策について意見交換を行った。
5月24日及び25日に開催された第3回外務大臣会合においては、2000年10月のASEM第3回首脳会合で合意されたアジア欧州間の協力の強化を実践するための重要な機会として、幅広い問題にわたって率直な意見交換が行われた。政治対話の柱の下では、朝鮮半島情勢、ASEAN+3、欧州連合(EU)拡大、バルカン情勢、国連、軍備管理・軍縮、中東和平等について、経済・金融分野における協力としては、世界貿易機関(WTO)、デジタル・ディバイド、中小企業協力について、また、文化その他の分野では、地球環境問題、国際犯罪、女性と子どもの密輸等について議論された。さらに、ASEMにおける議論のあり方や、ASEMへの新規参加についても話し合われた。会合後には、以上三つの分野での議論を総括し、アジアと欧州のパートナーシップの強化を強調する議長声明が発出された。
9月10日及び11日に開催された第3回経済閣僚会合においては、アジア・欧州の経済関係の強化、ビジネス界との交流、WTO、世界経済の進展について議論が行われた。ASEMの進める貿易円滑化行動計画(TFAP)の作業に関し、ペーパーレス関税手続、優先分野の絞り込み、貿易障害の除去に関する良い事例(ベスト・プラクティス)の選定等について、今後、貿易及び投資に関する高級実務者会合(SOMTI)においてそれらの具体的措置を検討することになったほか、WTOの新ラウンドの早期立ち上げに向け強い政治的意思が確認された。