第1章 > 4 > (2) ASEAN+3(日中韓)、日中韓3国間協力
【ASEAN+3(日中韓)】
1997年夏に発生した通貨・金融危機の教訓を踏まえ、東アジア諸国の間で地域協力を強化する機運が高まる中で、ASEAN+3(日中韓)の枠組みが生まれ、1997年以降毎年、首脳会議が開催されている。首脳会議の下では、外務大臣会議を始めとする様々な閣僚会議が開催されており(注1)、ASEAN+3の枠組みはより広がりと深みを持って発展してきている。
そうした中、2001年7月にハノイにおいて、前年に引き続き2回目となるASEAN+3外務大臣会議が開催された。この会議において、田中外務大臣は、ASEAN+3の枠組みでの協力が進展していることを歓迎しつつ、ASEAN+3を開かれた地域協力の枠組みとして強化していく必要性を強調した。その上で、日本のASEAN+3協力の具体策について、特にITとメコン地域開発を取り上げて説明を行い、いくつかの国から、日本の具体的な取組に対する謝意が表明された。
11月、ブルネイで開催されたASEAN+3首脳会議では、「より緊密な東アジア・パートナーシップの構築」をテーマとして、特にテロ問題やASEAN+3協力の進展について、各国首脳間で意見交換が行われた。また、同首脳会議には、東アジア・ビジョン・グループ(EAVG)(注2)の報告書が提出され、各国首脳からは、EAVGに対する金大統領の指導力への謝意が表明された。このほか、東アジア・サミット構想について若干の議論があったものの、東アジア・スタディ・グループ(EASG)(注3)での検討結果を待つことになった。小泉総理大臣は、難民支援、テロ資金対策、能力向上(キャパシティ・ビルディング)等広範な取組においてテロ対策に努めることを表明したほか、ASEAN+3協力に関しても、貿易、投資、金融、メコン地域開発等における日本の取組について紹介し、海賊やエネルギーの分野でも具体的な協力策を提示した。これに加え、幅広い分野での協力の観点から、テロ、海賊、薬物、感染症、環境等国境を越える問題への対応におけるASEAN+3協力を重視していく考えを表明した。
今後の東アジアにおける地域協力のあり方として、小泉総理大臣は、2002年1月のASEAN5か国訪問の際、ASEAN+3の枠組みを最大限活用し、具体的な地域協力を積み重ねることにより、オーストラリア、ニュージーランドも含む「共に歩み共に進む」、「東アジア拡大コミュニティ」造りにつなげたいとの考えを表明した。日本は、域外国にも透明性を持つ形で、開かれた地域協力を推進していくことが、この地域の平和と繁栄に資すると考えている。
【日中韓3国間協力】
1999年に初めて開催された日中韓首脳会合を一つの契機として、日中韓3国間では、すでに日中韓環境大臣会合を通じた環境協力プロジェクトの形成・実施や、日中韓経済協力共同研究などの実質的な協力が進んでいる。また、文化交流面では、2002年を日中韓国民交流年とすることに合意しており、その成功に向けて3国が緊密に協力している。
こうした中、2001年11月のブルネイでのASEAN+3首脳会議の際には、前年定例化することに合意した日中韓首脳会合が、小泉総理大臣の主催により行われた。この席上、3か国の首脳は、日中韓経済大臣会合、財務大臣会合の開催に合意したほか、貿易促進、IT、エネルギー分野など、さまざまな分野・レベルでの日中韓協力を推進していくことで一致した。また、経済界の協力強化を支援する観点から、3国ビジネス・フォーラムの設置を検討することになった。さらに、テロ、国際組織犯罪、薬物、感染症等の国境を越える問題への取組における3国間の協議・協力の強化で一致し、いかなるテロに対しても毅然とした態度で臨むこと、グローバルな協力の強化と国連の役割の重要性を改めて認識した。
さらに、小泉総理大臣より、3国間の協力やASEAN+3における日中韓協力を強化するため、必要に応じ3国外務大臣会合を開催することを含め、外交当局間で協議していくことを提案し、中韓両国首脳の賛意を得た。
日中韓3国間の協力は、東アジア地域全体の繁栄に大きく貢献するものであり、今後とも幅広い分野にわたる協力の推進が期待される。