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第1章 > 2 > (1) 米国同時多発テロの発生

2 米国同時多発テロの発生と国際テロリズムとの闘い


(1) 米国同時多発テロの発生



【事件発生】
 9月11日、4機の米国国内線民間航空機がほぼ同時にハイジャックされ、米国の経済、軍事を象徴する建物に相次いで突入する自爆テロが行われた。2001年の国際社会に最も衝撃を与えた米国同時多発テロである。
 午前8時45分(日本時間午後9時45分)頃、ボストン発ロサンゼルス行きアメリカン航空11便がニューヨークの世界貿易センターの北棟ビルに突入した。続いて午前9時3分(日本時間午後10時3分)頃、ボストン発ロサンゼルス行きユナイテッド航空175便が南棟ビルに突入した。2機の飛行機の突入により、二つのビルは午前10時頃ほぼ同時に倒壊した。
 さらに午前9時45分頃、ワシントン発ロサンゼルス行きアメリカン航空77便がワシントンの国防省ビルに突入、建物の一部が倒壊、炎上した。
 また、午前10時10分頃、ニューアーク発サンフランシスコ行きユナイテッド航空93便がピッツバーグ近郊の林に墜落した。
 このテロによる犠牲者は合計3062名(2月25日米当局発表)に上り、うち邦人死者・行方不明者は24名、うち遺体が確認されたのは9名(3月4日現在)であった。

【邦人保護】
 日本政府は、同時多発テロ発生後、直ちに総理大臣官邸連絡室及び総理大臣官邸対策室を設置し、また、外務省、在米国大使館及び在ニューヨーク総領事館にそれぞれ対策本部を設置し、政府全体として邦人の安否確認を含め、情勢の的確な把握と対応に努めた。さらに、米国に向けた国際線の運航再開後、直ちに山口外務大臣政務官を始め、職員を現地に派遣し対応体制をとり、邦人の安全確保のため全力を上げて取り組んだ。
 邦人被害者の確認のため、航空機の搭乗者名簿による確認、世界貿易センター及び周辺地域に事務所を有する日系・非日系企業の邦人社員やその他在留邦人についての安否確認を行ったほか、大学を訪問して邦人学生の安否を確認した。また、ツアー客(約2800名)については主要旅行会社を通じて確認をとり、さらに62の救急病院に対して直接訪問及び電話照会を通じて被害邦人の有無について確認を行うなど、24時間体制で邦人の被害状況の確認を行った。 
 さらに、ニューヨークで発行されている邦字新聞や日本語テレビ放送を通じて、関係者からの情報提供を呼びかけるとともに、外務省、ニューヨーク総領事館等に寄せられた1000件以上の問い合わせに対して一件一件調査、確認を行った。
 被害者に対する対応として、電話相談ホットラインを開設するとともに、ニューヨーク総領事館の医務官、邦人顧問医、日本より出張した外務省の医務官のほか、 関係省庁の協力も得て、できる限りの体制を早期にとり、行方不明者ご家族等関係者や在留邦人に対する精神面での手当てなどを行った。その後も、行方不明者のご家族と連絡を取りつつ、現地の各種情報の提供を始め必要な支援を行う体制を維持している。


 米国における同時多発テロ発生当日のクロノロジー

米国における同時多発テロ発生当日のクロノロジー



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