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国際機関で働く日本人職員
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の現場で働く

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に勤務して以来、約6年が過ぎました。西サモアでの青年海外協力隊の経験を生かし、国連職員を目指しました。何回か挑戦してようやく合格したJPOとしての2年間はジュネーブ、正式採用後も2年に一回はローテーションのためにケニア、アフガニスタンと勤務地が変わり、それにあわせて難民キャンプの運営調整から帰還難民の受け入れと仕事内容も変わり、自分が世界の渡り鳥か難民に近いような気分になることがありました。難民の出るところは、政治・治安情勢が不安定な所が多く、国連第一の現場主義を誇るUNHCRの勤務地の多くは、家族の同伴も許されないような危険地域で、今まで安全だった地域が、引き続き安全だという保証はまったくありません。私自身は、この仕事が好きだし何よりも体が丈夫だから今までやってこられていると思います。
 UNHCRの邦人女性は皆本当に逞しい。海外で働いていて、心から惚れ惚れする生き生きした女性にたくさんお目にかかります。その代表が緒方貞子難民高等弁務官ご本人でした。日本人女性のすばらしいロール・モデル(理想型)である彼女がトップの時にUNHCRに勤務できたのは、本当に幸運だったと思います。緒方さんは、やはり皆の元気の“素”になっていました。国際機関では、女性パワーが圧倒的に元気で有利なようだというのが、私の正直な感想です。

執筆:国連難民高等弁務官事務所職員 千田 悦子


アフガニスタン帰還民が再定住できそうな土地を、他のUNHCR職員と探す千田氏


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