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第5節 国際交流と広報活動 |
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情報通信技術(IT)の急速な発展に伴い、地理的な隔たりを越えた接触が容易となり、種々の形態の交流が促進される一方、文明、民族や文化の間の差異に根ざした様々な問題も継続している。このような中で日本が効果的な外交を展開していくためには、それぞれの国が各々の歴史の中で築き上げてきた文化への尊敬の念を保ちながら、相互理解を深め、国家間の信頼関係を強化するための努力が欠かせない。このためには、繊細さと寛容の精神に立った各国、各文明間の対話が重要である。 さらに、世界における日本文化についての理解は、いまだ不十分と言わざるを得ない。この状況を改善していくためには、日本文化をより積極的に海外に発信し、世界の人々に、様々な側面を持つ日本の内面を十分に理解してもらうことが大切である。 政府は、こうした観点から、文化の分野での交流や協力を多岐にわたり展開するとともに、民間団体の国際交流活動を積極的に支援している。 【国際社会の状況と日本の対応:文明間の対話、文化の多様性等】 近年、国際社会において、開発における文化の役割が議論される等、文化の果たし得る役割が改めて認識されている。国連は2000年を「平和の文化国際年」、2001年を「文明間の対話国連年」に指定し、「文明間の対話」に関する賢人会議を発足させるとともに、これらの考え方の促進を各国政府等に呼びかけている。 日本としてもこの考えを支持し、他の文明・文化への理解を深めるとともに文明間の対話を進めるための試みを行っている。河野外務大臣は、1月の欧州訪問の際の政策スピーチや国会での外交演説など様々な機会に、異なる宗教や民族、あるいは文化、文明間の対話を深め、相互理解を促進することの重要性を訴えた。また、その一環として、河野外務大臣の下にイスラム研究会を発足させ、イスラム諸国との相互理解の方途について研究を行った。(2001年1月の湾岸諸国訪問においても、文明間の対話の促進を訴え、2月には「文明間の対話のための河野イニシアチブ」を発表した。) 九州・沖縄サミットの首脳会合では、議長国日本のイニシアチブにより、「文化の多様性」が議題となった。コミュニケにおいては、文化の多様性が社会的・経済的な活力の源泉であることが確認されるとともに、無形文化遺産の保護と振興の奨励等がうたわれている。これを踏まえ、日本は、国連教育科学文化機関(UNESCO)と協力しながら、文化の多様性の向上、特に無形文化遺産の保護・振興に向けた様々な努力を一層強化している。 【青少年交流・教育】 世界の明日を担う若い世代の交流は、将来の日本と各国との相互理解を強固なものとする上で非常に重要である。4月のG8教育大臣会合においても、教員、研究者、学生等の国際交流を今後10年間で倍増させることが合意された。日本は、対日理解の促進と途上国における人材育成の両側面から、教育や青年交流の分野における取組を強化している。 対日理解の促進の大きな柱であるJETプログラム(注)においては、日本を訪れ、地方自治体等で語学指導や国際交流活動を行う外国青年の数が2000年に初めて年間6千人の大台を超えた。また、留学前の情報提供及び留学後のアフターケアを含め留学生に対する各種支援が実施されている。さらに、途上国の人材育成という観点を踏まえ、従来より留学生支援のため二国間の無償資金協力や円借款等を実施しているほか、2000年度には13億円を国連教育科学文化機関(UNESCO)に新規拠出して人的資源開発信託基金を設立し、UNESCOが行う人造りのための事業に協力している。
日本の文化・社会に対する幅広い理解を育てるためにも、その前提として、海外での日本語学習の浸透が非常に重要である。こうした認識の下、日本は、日本語講師の派遣・養成、教材寄贈などを通じ、従来より海外での日本語教育振興に努めてきている。その結果、海外の日本語学習者数は増加の一途をたどり、98年には200万人を突破した。 【文化協力】 途上国においても、経済的な発展ばかりでなく文化の維持・振興に対する関心が高まっており、日本は、文化の面からの国造りの努力に対し積極的な支援を実施している。途上国に対し文化・教育活動のための機材を提供する文化無償協力は、日本のこうした支援の重要な柱であり、2000年に制度発足25周年を迎えた。2000年度からは、非政府組織(NGO)支援等、小規模できめ細かな協力を行う草の根文化無償及び文化遺産の周辺環境整備といった大型案件にも対応可能な文化遺産無償を導入し、協力の幅を広げている。 また、日本は従来より国連教育科学文化機関(UNESCO)内に設けた信託基金を通じ、世界の有形・無形の文化遺産の保存に積極的に協力している。アンコール遺跡の保存・修復がその代表的な例であるが、今後は無形遺産の保存にも一層力を注ぐ予定である。なお、12月にオーストラリアのケアンズで開かれた第24回世界遺産委員会では、日本の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が、新たに世界遺産一覧表へ記載された。 【その他の主要な活動】 2000年を通じて、九州・沖縄サミット開催を記念した各種の交流事業が行われた。豊かで多様な日本の文化に触れ理解を深めてもらうため、沖縄の音楽や舞踊を紹介する芸能団がサミット参加各国に派遣され、各地で大変な好評を得た。また、世界各国の若者が「ヤング・リーダーズ・サミット2000in沖縄」に参加し国際的な問題について真剣な議論を行ったほか、世界の有識者による国際シンポジウム「21世紀の展望」が開催され、国際社会における共通の重要課題が論じられた。 このほか実施された主な事業としては、日・オランダ交流400周年を記念した宮内庁雅楽公演及び「日本とオランダの出会い」展、シドニー・オリンピック芸術祭での日本アニメ上映会等がある。また、2002年のサッカー・ワールドカップ大会の日韓共催を機に、同年の「日韓国民交流年」に向けた日韓間の各種交流事業が具体化しつつあり、日韓文化交流に関する国際交流基金のホームページ「日韓文化交流通信」(http://www.jpf.go.jp/jkxx/)も開設された。さらに、隣国ロシアとの交流を進めるに当たり、旧ソ連邦時代に結ばれていた条約に代わる新しい日露文化交流協定が9月に署名され、批准に向けた準備が進められている。 スポーツの分野では、2008年オリンピック開催都市として大阪市が立候補したことを受け、政府は、閣議了解の下で、2001年7月に迫った開催都市決定に向けて、同市の招致活動に対する支援を行っている。 |
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【国内世論の啓発と広報】
今日、国際社会が直面する多くの問題に的確に対応し、日本がその地位にふさわしい役割を果たしていくためには、日本外交の在り方について、国民と幅広く意見を交換し、国民の理解を得ながら国民と共に外交を展開していくことが不可欠である。 ことに近年、インターネットを始めとする情報ネットワークの急速な発展や地域レベルにおける国際化の進展などを背景として、国際情勢や日本の外交政策に対する国民の関心が高まっている。外務省としては国民への説明責任を果たすことにより国民の一層の理解と支持を得るため、積極的な広報活動を展開している。 まず、外務省では国民が直接国際情勢や日本の外交政策についての情報を入手することのできる手段として「外務省ホームページ」(注)により、日々の報道発表や総理大臣、外務大臣の外国訪問などに関連する主要な外交案件を始め、渡航関連情報や諸外国の事情など幅広い情報を提供している。10月にはホームページによる情報発信を更に強化し、国民によりきめ細かい情報提供を実現するため、ホームページ上にて追加・更新される「新着情報」を登録した電子メールに日々自動的に送信する「新着情報メールサービス」を開始した。また、インターネットの有する双方向性を活用した取組として、11月よりホームページ上にて日本の外交政策に関する意見を受け付けている。
特に国民の関心が高いと思われる重要な外交問題については、定期刊行物への編集協力やパンフレットの作成並びにテレビの広報番組の制作などを通じて、分かりやすい広報に努めている。 さらに、外務省員と国民が直接に対話を行うための取組の一環として、「外交の窓」、「外交クラブ」、「国際フォーラム」などの講演会やシンポジウムを全国各地で開催しているほか、若い世代の国際理解を促進するため、大学や高校での講演会や外務省への訪問の受け入れなども行っている。 【諸外国の対日理解の増進】 諸外国の人々が、日本の一般事情やその政府の政策を正しく理解し、信頼と好感を抱くことは、外交政策を推進していく上で欠くことのできない要素である。政府は、大使館や総領事館を通じた広報事業や報道関係者への情報提供、有識者や報道関係者の訪日招待、インターネットなどマルチメディアの活用により、日本の事情や政策を紹介し、対日理解の促進に努めている。 広報活動を行うに当たっては、各地域の対日関心の程度、関心の対象、理解の程度などの実情に応じて、広報する内容や効果的な媒体を検討し、きめ細かい広報事業を展開している。対日認識をより正確に把握するために、対日世論の調査・分析も実施している。 大使館や総領事館では、講演会、シンポジウム等の広報事業を開催し、政治、経済、外交に加え、文化、芸術なども紹介している。特に知的交流が重要との観点から、日本の有識者・学者などを派遣し講演を行う講師派遣事業を重視している。また、青少年層に対する広報も重点分野としている。 外国の報道関係者への情報提供や働きかけについては、在京特派員に対し随時行うとともに、政府要人の外国訪問や外国要人の日本訪問などの機会にも、幅広く行っている。また、日本に関する誤解ないし偏見に基づく海外の報道については反論を行っている。さらに、海外のテレビチームを招待し日本関連番組の放映を支援しているほか、世論の形成に大きな影響力を有する有識者(オピニオンリーダー)や報道関係者を訪日招待し、日本の実情を紹介している。 最近急速に普及しているインターネットを通じた日本紹介も海外広報の重点分野の一つである。日本の外交政策に関する情報を発信する「外務省ホームページ」については、英語版(注1)に加え、2000年より、韓国語版、中国語版による情報提供を行っている。また、日本の一般事情を紹介する「Japan Information Network」(注2)により対日理解の増進に努めている。多くの在外公館でも独自のホームページを開設して、現地に密接した情報を現地の言語で発信している。また、衛星を活用して、アジア大洋州及び北米地域に向けた広報番組の放映も行っている。各種印刷物資料、ビデオ・写真等の映像資料作成・配布も欠かせない事業となっている。
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第3章 / 目次 |
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