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白書・提言

第4章 国際交流と広報活動

   1.国際交流の推進
[国際交流の重要性]

 グローバリゼーションが急速に進展する今日の国際社会では、文化、政治、経済など様々な面において地理的な隔たりを越えた国際交流が活発化し、相互依存関係がますます深まっている。その一方で、イデオロギーに基づく対立に代わり、民族や文化の違いに根ざした様々な問題が顕在化している。
 こうした社会においては、民族、文化の多様性を再認識し、異なる文化を理解・尊重することが国家間の信頼を醸成し、真の友好関係を築く上で重要であり、国際交流はその有効な手段として位置づけられる。このような認識の下、日本は、日本文化の海外への紹介や外国文化の日本への紹介、知的対話を始めとする人的交流など二国間・多国間の国際交流を積極的に展開している。国連においては、文化の多様性、対話といった考えの重要性が改めて認識され、2000年を「平和の文化国際年」に、2001年を「文明間の対話国連年」に指定する旨決議された。

[最近の動向]

 二国間交流については、欧州で、1月から始まった「ドイツにおける日本年」の中で、ケルン東大寺展などの大型文化事業が実施された。また、中華人民共和国建国50周年及び日中文化交流協定締結20周年を記念し99年を「日中文化友好年」と定め、両国において大型公演など様々な文化行事が開催された。さらに、99年はペルー、ボリヴィア日本人移住100周年、アマゾン移住70周年に当たり、これを記念して種々の文化行事が行われた。
 特に、韓国との間では、3月に小渕総理大臣が韓国を訪問した際の日韓首脳会談において、日韓間の文化交流の拡充策を検討するために民間有識者による日韓文化交流会議を設置することで一致し、6月に同会議が発足し、その第1回会議は9月にソウルで開催された。日韓文化交流会議は、日韓間での文化交流促進のための12項目の提言を出すなど両国間の文化交流促進に積極的な役割を果たしている。また、10月に韓国の済州島で開催された日韓閣僚懇談会において、日韓共催のサッカーW杯が開催される2002年を「日韓国民交流年」とし、文化、スポーツ、青少年、地域、観光等の各分野における交流を促進していくことで意見が一致した。
 また、近年、多国間の枠組みによる文化交流、文化協力が重要性を増しており、教育、科学及び文化を通じて諸国民の協力を促進することによって世界の平和と安全に貢献している国連教育科学文化機関(UNESCO)は、その役割の重要性が再認識されてきている。11月、松浦晃一郎駐仏大使がアジア出身者として初めてUNESCO事務局長に就任したことは、これら諸分野における日本のこれまでの活動に対する諸外国の評価の一つの現れと考えられる。
 アジア地域では、98年に小渕外務大臣(当時)の提案で始まった多国間での知的交流「アジアの明日を創る知的対話」の第2回会合が、7月にシンガポールにおいて開催された。
 次世代を担う青少年の交流については、まず、「留学生受入れ10万人計画」の下、受入れ体制の整備等に努めている。また、JETプログラム(Japan Exchange and Teaching Programme)により日本を訪れ地方自治体で外国語指導や国際交流活動に従事している海外青年の数は、96年度に5000人に達した後も順調に増加し、地域レベルの国際交流の活発化を裏付けている。さらに、98年11月の小渕総理大臣のロシア訪問の際に設立が提唱された日露青年交流センターは、99年7月から本格的な招聘事業を開始した。
 日本語学習は対日理解を深める上で有効な手段であり、日本は日本語教育専門家の派遣や教材寄贈など様々な形で海外の日本語教育振興に努めており、98年の調査によれば海外での日本語学習者数は全世界で200万人に達した。
 文化協力の分野では、開発途上国において、経済的な発展ばかりでなく文化の維持・振興に対する関心が高まっており、こうした国造りへの努力に対し、日本は従来より積極的に協力を行ってきている。その重要な柱の一つは文化無償協力による機材の提供であり、1975年の制度発足以来99年末までに1000件を超す案件が実施された。また、文化遺産の保存協力については、99年には、日本国政府アンコール遺跡救済チームの手によって、カンボディアのアンコール遺跡のうちでも最も重要な建築物の一つであるバイヨン寺院の北経蔵修復工事が完了した。12月にモロッコのマラケシュで開かれた第23回世界遺産委員会では、日本で10番目の世界遺産となった「日光の社寺」を含む48件について、新たに世界遺産一覧表への記載が決定された。

[今後の方向性]

 各国の特性や日本との関係を十分に踏まえたきめ細かな二国間文化交流に加え、今後、従来の枠組みを越えた多国間の枠組みによる文化交流の重要性もますます高まると考えられる。日本としては、こうした動きに応じ、多国間の文化交流・協力を積極的に推進するとともに、ユネスコなどの国際機関に対して更なる協力を行っていく考えである。
 2000年に開催される九州・沖縄サミットは、日本の豊かで多様な文化を国外の人々に紹介する重要な機会ともなる。これを一つの契機として、日本の国際交流を更に発展させる努力を引き続き行っていくことが重要である。
 また、地方自治体、民間団体、企業、非政府組織(NGO)など、国民各層での日本の国際化がめざましく進展する中で、国の情報提供機能を高めるとともに、これら団体との連携を深めることにより、国際交流をより効果的に実施していくことが極めて重要である。

   2.国内世論と広報及び諸外国の対日理解

[国内世論と広報]

 日本政府が外交政策を実施していく上で、国民による理解と支持は欠くことのできない要素である。殊に近年、インターネットを始めとする情報ネットワークの急速な発展、経済の相互依存性の高まり、海外渡航者や海外在留邦人数の増加など人的交流の拡大、地域の国際化の進展、市民レベルにおける国際交流・国際協力活動の拡大などを背景として、世界各地の動向や外交に対する国民の関心が高まっており、日本政府では、世論を十分に踏まえた外交政策の策定を図りつつ、日本の外交政策について広報活動を積極的に行うことにより、国民の更なる理解と支援を得る努力を続けている。
 具体的な措置としては、外務省は、これまでも、最新の資料等につき本省の閲覧室で閲覧できるようにし、また、過去の外交記録につき、昭和51年以来、原則として作成後30年を経たものを自主的に公開するとともに外交史料館において閲覧に供してきたが、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」により今後導入される情報公開制度への対応と併せて、これらの制度を今後更に充実させる考えである。
 また、外務省では、国民が直接国際情勢や日本の外交政策についての情報を入手することのできる手段としてインターネット「外務省ホームページ(日本語版)」を重視しており、主要な外交案件を始め国際情勢や渡航関連情報など幅広い情報を迅速に掲載している。また、自動FAX情報サービスシステム(MOFAX)による情報の提供も行っている。さらに、特に国民の関心が高いと思われる重要な外交問題については、定期刊行物への編集協力やパンフレットの作成並びにテレビの広報番組の制作などを通じて、わかりやすい広報に努めている。
 また、外務省員と国民が直接に対話を行う「外交の窓」、「外交クラブ」など地方での講演会やシンポジウムを開催し、地域レベルの国際化を支援しているほか、全国の大学や高校における講演などを実施している。
 さらに、外務省では、全国の地方自治体及び国際交流団体等約3500か所に対し「ニュースレター」を発行し、姉妹都市提携等に関する各種情報提供を行っているほか、様々な機会を活用し、地方自治体や非政府組織(NGO)との連携を保ち、関係強化を図っている。
 また、国民の声を政策に活かすため、政府開発援助(ODA)の実施や国際経済ルールの策定に当たって、近年その活動がますます注目されているNGOなど民間団体からの意見聴取を行うなどの取組を行っている。

[諸外国の対日理解]

 諸外国の人々が日本やその外交政策を正しく理解し、信頼と好感を抱くことは、外交政策を推進していく上で欠くことのできない要素である。政府としては、対日理解の促進に向けて、主として大使館や総領事館を通じて様々な広報事業や働きかけを展開してきている。
 広報内容については、一般的な日本紹介にとどまらず、日本の経済再生の諸施策、環境問題、大量破壊兵器拡散、貧困、国際組織犯罪等グローバルな問題に対する日本の貢献などを積極的にアピールしていくことを心がけている。また、日本についての正しい理解を根付かせる観点から、特に海外の青少年層を対象とした広報を重視している。さらに、各地域の実情に応じたきめの細かい広報活動を展開している。例えば、主要国における対日世論の調査・分析を行い、その結果に基づいて、地域、各国別に講演会などの各種広報事業を実施するとともに、要人が外国を訪問する際に内外報道機関に対して情報を提供したり、日本に関する誤解ないし偏見に基づく報道に対して反論を行うなどしてきている。
 その他、外国のテレビ・新聞等報道関係者や、その国の世論形成において発言力のある有識者(オピニオン・リーダー)を日本に招待したり、講演会等に講師として日本の有識者を海外へ派遣するなどの人的交流も積極的に推進し日本の諸事情の紹介に努めている。さらに、日本の外交政策及び一般事情を紹介するための各種印刷物資料、ビデオ・写真等の映像資料作成、配布などを行っている。また、新たな広報媒体として、世界中に普及しつつあるインターネットを積極的に活用し、「外務省ホームページ(英語版)」、「Japan Information Network」の二つのホームページを開設し、対日理解の増進に努めている。そのほか、多くの在外公館でも独自のホームページを開設し、現地に密接した情報を英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、韓国語など多言語で情報発信している。さらに、衛星を活用し、アジア・大洋州向けに広報番組の放映も行っている。



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