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白書・提言

第5章 外交体制

   1.外交実施体制

[外交実施体制の強化の必要性]

 今日、国際社会における相互依存の深化を受け、外交の重要性はますます高まるとともに、その業務量も増大の一途をたどっている。
 今や、海外の在留邦人は約80万人にもなり、海外渡航者も年間約1500万人を超えるなど、邦人保護を始めとする外務省の日常事務は引き続き拡大している(例えば98年の日本人出国者数は90年の約1.4倍に増加。詳細は別冊のIII.6.参照)。
 また、新しい時代における世界の平和と繁栄を目指し、様々な国際的な取組がなされている中、日本はこれに積極的に参画し、その地位にふさわしい役割を果たす責任がある。
 このような質・量の両面で拡大・複雑化する日本の外交に、政府が一層能動的かつ迅速に対応していくためには、外交実施体制の整備・強化を図ることが必要不可欠である。具体的には、主要先進国に比べていまだ不十分な外務省定員(単純な比較は困難であるが、日本の外務省定員は米国の約4分の1であり、フランス、ドイツ、英国と比較しても低い水準にある)等の増強を始め、機構の拡充や在外公館の機能強化に取り組むとともに、一層の情報化の推進等を速やかに実現する必要がある。

[行政改革]

 7月、中央省庁等改革関連法案(2001年1月に発足する1府12省庁の設置法及び関連法)が成立した。外務省は、98年6月に成立した中央省庁等改革基本法に従い、2001年1月以降、従来の所掌事務に加え、新たな所掌事務として政府開発援助全体に共通する方針に関する関係行政機関の行う企画の調整等、政府部内の調整の中核としての機能を担うとともに、国際協力銀行の海外経済協力業務に係る監督を行うこととなった。
 外務省としては、総合的な外交政策の策定に関する機能並びに情報の収集、分析及び報告に関する機能の充実強化、地域に関するよりきめ細やかな外交政策の推進等、中央省庁等改革基本法に定められた方針を実現するよう、努めていくこととしている。

[機構・定員、予算面での努力]

 先に述べた認識の下、99年度には、機構・定員、予算の面で外交実施体制の強化に向けて次のような努力を行った。
 機構については、地球環境問題への国際的な意識の高まりに対応して、日本の地球温暖化問題への取組体制を強化するために、気候変動枠組条約室を新設した。在外公館に関しては、アゼルバイジャンとモザンビークに大使館を開設した。前者については、日本が中央アジア及びコーカサスを通じて国際社会の平和と安定に対して影響力を行使することの必要性、並びに、資源開発の観点からの同地域の重要性の認識の結果である。後者については、アフリカの安定と発展を日本が支援する重要性及びモザンビークの南部アフリカ開発における戦略的地位を考慮した結果である。これにより99年度末における日本政府の在外公館(実館)の数は大使館115、総領事館65及び政府代表部6の合計186となる。
 定員の増加については、政府に早急な対応が求められている危機管理・安全体制の強化の面に重点を置いて取り組んできている。この結果、厳しい予算、定員事情にもかかわらず、99年度には外務本省20名、在外公館45名の合計65名の増員を行い、定員数は合計5234名(外務本省2030名、在外公館3204名)となった。定員の増加を図る一方、外務省としては、定員の有効活用及び事務合理化の努力を行ってきている。
 予算面においては、厳しい財政事情の中ではあるが、99年度当初予算において、前年度比1.6%増(116億円増)の7595億円を計上した。その中で以下の2本柱を掲げてめりはりのある予算配分に努めた。
外交実施体制の強化(定員等の増強、機構の拡充、危機管理体制・海外邦人安全対策の強化や在外選挙実施体制の整備を含む在外公館の機能強化、本省及び在外公館の情報・通信及び連絡網の整備)
外交施策の充実強化(二国間援助等の推進、対ロシア政策の推進、平和・安全、軍縮のための協力、国際文化交流の推進)

[情報化の推進]

 情報化の推進については、外務省内・在外公館を専用のコンピューター・ネットワークで結ぶシステムの構築、外務省ホームページの充実化などの情報提供機能の強化等の外務行政の情報化を推進し、外交機能の強化及び国民等への行政サービスの向上を図るための努力を行っている。

   2.領事体制と海外安全対策

【日本人の海外渡航と邦人保護】

 98年の海外渡航者数は、前年比5.9%減の1580万人を記録した。また98年10月1日現在、海外に3か月以上滞在している長期滞在者は51万915人、在留国から永住資格を得ている永住者は27万8619人に達し、海外在留邦人総数は前年比0.9%増の78万9534人に達し、過去最高となった。
 海外渡航者の増大に伴い、邦人が海外で事件・事故に巻き込まれるケースが増大していることを踏まえ、外務省は、海外における邦人の安全対策の一環として、特定の国または地域の治安や安全性に関する各種の情報提供を行っている。
 その中でも特に治安の著しい悪化や災害、騒乱、その他の緊急事態が発生したり、または発生の可能性が高まっていると判断される場合には、該当する国または地域の治安状況等を危険度1「注意喚起」、危険度2「観光旅行延期勧告」、危険度3「渡航延期勧告」、危険度4「家族等退避勧告」、危険度5「退避勧告」の5段階の危険度に区分し、「海外危険情報」を発出している。
 さらに、外務省は、国民に対する海外の安全に関する情報提供の方策として、インターネット「外務省ホームページ(日本語版)」に「海外危険情報」全文を掲載し、また最近の「海外安全相談センター情報」についても閲覧できるようにしているほか、「国別・海外安全情報FAXサービス」、「海外安全テレフォンサービス」及び「海外安全情報タッチビジョン」による情報提供や、毎年6月第4週目に実施している「海外安全週間」などを通じた広報を行っている。なお、海外安全面での官民の対話や協力の推進にも努めている。

[在外選挙]

 98年5月に在外選挙実施のための「公職選挙法の一部を改正する法律」が公布され、99年5月から在外選挙のための登録関連業務が開始された。2000年5月以降に公示される国政選挙(比例代表選出議員選挙に限る)から在外投票が行われる。在留邦人は、在外選挙人名簿へ登録することにより、投票所を設置している在外公館において、投票することができる。また、一部の遠隔の地に在留している邦人等については、郵便による投票も認められている。

[領事体制の強化]

 海外在留邦人数の飛躍的増加、その活動の多様化等に伴い在外公館における領事業務はますます複雑多岐にわたっている。新規業務である在外選挙関連業務も含めた領事業務を円滑かつ迅速に行うためにも、外務省として領事専門官の育成や領事事務のOA化等による合理化に積極的に取り組んでいる。

[旅券の偽変造対策]

 近年、旅券等の渡航文書が国際犯罪組織や国際テロリストによって偽変造され、悪用されていることから、渡航文書の偽変造対策の強化がグローバルな課題としてG8サミット等の国際会議の場で取り上げられている。外務省としては、各国との効果的な協力体制の構築が不可欠であるとの観点から、11月にアジア6か国の旅券発行当局者及び国際民間航空機関の専門家を招聘し、「旅券の偽変造防止政策セミナー」を開催するなど、アジア地域諸国の旅券偽変造防止技術の向上及び情報ネットワーク作りに努めている。また、国内においても「旅券の日」を中心に旅券を紛失しないよう積極的に呼びかけている。
 なお、外務省は、11月より新たな偽変造防止対策を施した改良型旅券の発給を国内において開始した。

[日系社会への対応]

 日本人の海外移住は、100年を超える歴史を刻んでおり、移住者及びその子孫である日系人は、ブラジルの130万人及び米国の100万人を筆頭に米州大陸を中心に推定約250万人を数える。日系人は政治、行政、経済、学術、文化等の広範な分野で活躍しており、各国の経済及び社会の発展に積極的な貢献を行い高い評価を得るとともに、居住国と日本との相互理解の増進、友好関係の進展に重要な役割を果たしている。外務省はこれら日系人の活動に対する支援に積極的に取り組んでいる。

[在日外国人問題]

 98年に日本に入国した外国人の数は455万人(97年466万人)だった。また、98年末の外国人登録者数は151万人(97年148万人)と漸増傾向にあり、今後も、日本の国際化の更なる進展とともに漸次増加していくものと考えられる。一方、近年日本を訪れ滞在期限を超過して不法に残留する外国人は、99年1月現在で約27万1000千人と93年5月のピーク時に比べれば約2万7000千人の減少となっているものの依然大きな数字である。このような不法滞在者が犯罪を引き起こす場合も多く、日本国内の一部において在日外国人に対する偏見を生むと同時に、これら外国人の出身国における日本のイメージを損なうことがあるなど健全な国際交流の妨げとなっている。
 外務省は、不法就労等を目的とする者をできるだけ入国させないようにする一方で、人的交流促進の観点から規制緩和推進計画の一環として査証手続きの簡素化及び迅速化を継続して推進してきている。99年には、一部の中・東欧諸国に対する査証免除措置を含む簡素化及び迅速化を行った。



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