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軍縮・不拡散


「原子力の安全に関する条約 日本国第2回国別報告」の概要

平成13年10月15日

本報告では、主な事項として、
(1) 我が国の原子力発電所の設備利用率は、1995年以降常に80%を超える良好な運転実績であったこと、
(2) 中央省庁等改革に伴う再編成により、原子力安全・保安院が設立され、安全規制についての責任がより明確化され、規制機関の効果的分離が実質的にも法令的にもより明確に確保されたこと、原子力安全委員会が内閣府に移管の上、独立の事務局を設置し、原子力安全確保のための多重補完的な体制が整備されたこと、
(3) JCO臨界事故を契機として、保安検査制度の創設を初めとする原子炉等規制法の改正、原子力災害対策特別措置法の制定、事業者や民間レベルでの様々な改善措置がなされたこと、等が記述されている。

 本報告では、原子力の安全に関する条約に基づく義務を履行するためにとった措置について、第1回検討会合後の3年間の事項を主な報告の対象として記述されている。

  1. 我が国の原子力施設の現在の状況
     我が国では、2001年9月現在、既存の原子力施設として、運転中のものが52基、建設中(臨界達成)が2基、合計54基、合計出力約4,620万Kwの原子力施設が存在する。このほかに1998年に運転を停止しているものが1基(東海発電所)存在し、合計で55基である。建設中(臨界達成)2基の内の1基は2001年4月燃料装荷を終えた女川発電所3号機であり、他の1基は1995年12月の2次系ナトリウム漏えい事故以降運転を停止中の高速増殖炉「もんじゅ」である。
     我が国における原子力発電の発電出力は、1999年度には総発電出力の約20%に当たり、その発電電力量は我が国合計の約34%に到達している。設備利用率は1995年以降常に80%を超えている。当報告期間中、重大な事象は発生せず、概して静穏な運転が継続しており、また、計画外停止頻度は0.3回/炉年程度の小さい値となっている。

  2. 原子力安全・保安院の創設及び原子力安全委員会の強化
     我が国の行政組織は2001年1月6日の中央省庁等改革により大きく再編成された。新体制においては、原子力発電を含め、エネルギーとしての原子力利用に関する全ての活動についての安全規制は経済産業大臣が主務大臣として行うとともに、これをつかさどる組織として、原子力安全・保安院が「特別の機関」として設置され、安全規制についての責任がより明確化され、規制機関の効果的分離が実質的にも法令的にもより明確に確保された。
     1999年9月30日の(株)ジェー・シー・オーウラン加工工場における臨界事故(JCO臨界事故)を契機として、原子力安全委員会は、その人員を大幅に拡充し、独立性と機能の強化が図られるとともに、設置許可等の後の「規制調査」の実施等を通じて、行政庁による規制の各段階におけるチェックを強化するなど、安全確保のための活動を充実・強化した。さらに、2001年の省庁再編に伴い、内閣府に移管の上、独立の事務局を設置し、その独立性と機能がさらに強化され、原子力安全確保のための多重補完的な体制が整備された。

  3. JCO臨界事故への対応及び原子力安全の再構築
     報告すべき期間における我が国原子力界の最大のできごとは、1999年9月に発生したJCO臨界事故である。この事故では、大量に被ばくした従業者のうち2名が亡くなった他、放射線が敷地外に放出され、我が国では初めての住民の屋内退避及び避難が行われた。また、初めて原子力災害の賠償に関する法律に基づく賠償が行われた。事故の発生した施設は原子力安全条約の範囲に入る施設ではないが、規制機関、地方自治体、産業界及び学界は本事故を原子力施設の安全確保に対する重大な警鐘として受けとめ、数多くの改善措置を取った。
     政府は原子炉等規制法を改正し、保安規定の遵守状況の検査制度の創設、原子力保安検査官の設置、保安規定における保安教育の記載、従業者の安全確保改善提案制度の創設、加工事業者に対する施設定期検査制度の追加等を定めるとともに、原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制を強化するため、新しく原子力災害対策特別措置法を制定した。
     一方、原子力産業界においては、事業者間及び地域住民との交流を通じたセイフティカルチャーの醸成及び定着に向けて、ニュークリアセイフティネットワークが設立された。

  4. その他
     「法令上の枠組み」に関する報告においては、上述の原子炉等規制法の改正及び溶接安全管理検査の導入等の電気事業法の改正並びに原子力災害対策特別措置法の制定について報告するとともに、法令の全体の枠組みを概括した。
     「品質保証」に関しては、許可を受けた者による原子力設備の品質保証計画に関する説明書の提出及び燃料体の検査制度の改善について報告した。
     「安全に関する評価及び確認」に関しては、この3年間における定期安全レビュー、高経年化対策及び確率論的安全評価の進展について報告した。
     「放射線防護」に関しては、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の国内法令への取り込み、この3年間における放射性廃棄物の放出量の実績等について報告した。
     「緊急事態のための準備」に関しては、原子力災害対策特別措置法の制定、原子力防災基本計画の改訂及び防災訓練の実施等、JCO臨界事故を契機とする原子力施設に係る防災対策の強化について報告した。
     「立地」に関しては、環境影響評価法の施行に伴う環境影響評価について報告した。
     「設計及び建設」に関しては、アクシデントマネジメントの整備及びディジタル安全保護系の適用を中心に報告した。
     「運転」に関しては、定期検査に要する期間の短縮、原子力保安検査制度の導入並びに保安規定の充実及び明確化について報告した。


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