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軍縮・不拡散


米国の原子力事情(11月分米国紙取りまとめ)

平成14年3月

  1. 原子力発電所の安全確保のために求められる連邦政府の管理

     ニュー・ヨーク選出議員等から成る民主党議員のグループ(注1)は、米国内の原発をテロ攻撃から守るため、連邦政府が、責任を持って原発の安全確保にあたらなければならないとして、テロ攻撃から原子力施設を防護する保安部隊を原子力規制委員会(NRC)の下に設置することを含めた法案を提出する意向を明らかにした。
     9月11日の同時多発テロ以来、米国内の全ての原子力発電所(以下、原発)において、テロリストによる攻撃に備えた安全確保の手段が取られている。例えば、インディアン・ポイント原発(注2)では州兵部隊が、またその附近のハドソン湾では沿岸警備隊が配備されている。
     また、テロ以降複数の議員が対策の強化を主張してきたが、最近まで原発の安全確保が、連邦の仕事であると発言した議員はいなかった。現在、原発の安全確保は各々の事業者により行われているが、原子力安全技術者であるデビット・ロシュボウム氏は、原発の安全確保に対する各事業者の取り組み方にはばらつきがあるので、連邦政府の関与は有効だろうと述べている。 
     これに対しNRCとインディアン・ポイント原発のスポークスマンは、この民主党議員による提案については(詳細が不明なこともあり)、コメントするには時期尚早であると述べるに留まっている。

    (注1) この民主党議員のグループの中には、前大統領夫人であるヒラリー・ロダム・クリントンが含まれている。
    (注2) インディアン・ポイント原発は、ニュー・ヨーク市から30マイルの近郊にあり、周囲50マイル内には2000万人が居住している。

    (11月21日、ニュー・ヨークタイムズ紙)

  2. 核廃棄物貯蔵計画に対する米国会計検査院(GAO)の異議申立て

     米国会計検査院(GAO)は、ブッシュ政権に対して、ネバタ砂漠(ユッカマウンテン)における核廃棄物の集中処分場建設の是非の決定を、無期限に延期するように促すと同時に、その建設計画に対して、いくつかの厳しい質問を投げかけようとしている。ワシントン・ポストが入手したGAOの報告書案によると、2010年までにユッカマウンテン(注3)の使用済燃料地層処分場の運転を開始するとの目標をエネルギー省(DOE)が達成することは恐らく不可能であり、また、この処分場がいつ、どのぐらいの費用を要して開かれるか信頼すべき見積もりもない由である。
     GAOの報告は、2006年1月までに大統領府が使用済燃料地層処分場を指定し、NRCから認可を受ける前に、DOEは、詳細な研究とコスト見積もりを完成させ、数百に及ぶ懸案事項を処理しなければならないが、DOEは大統領への処分地の推薦やその後の許認可に必要な技術的な情報のすべてを得ているわけではないので、この推薦を行うことはできないとしている。
     そもそもユッカマウンテンにおける使用済燃料地層処分場建設計画は、地元ネバタ州や議会で根強い反対がある。ケニー・グイン・ネバタ州知事(共和党)、地元選出のハリー・レイド上院議員(民主党)やシェリー・バークリー下院議員(民主党)は上記の建設計画に反対している。例えば、GAOにこの研究を要請したレイド議員は、GAOの報告は、ユッカマウンテン(処分場計画)の終焉の第一歩であり、米国民の健康と安全が委ねられる処分場許可までの過程を告発するものとしている。
     これに対して、DOEのスポークスマンは、GAOの報告書がいかなる技術的、法律情報を根拠とするのか困惑すると述べた。いずれにしても、原発や軍事工場から発生する放射性廃棄物の処分方法が決まらなければ、少なくとも36州にある72の原発には、約4万トンの使用済核燃料が存在し続けることになる。GAOの報告書は、政府は、ユッカマウンテンの使用済燃料地層処分場に代わる案として、2010年の始めから、発電所内の地上に核廃棄物を一時的に貯蔵することも検討していると述べている。

    (注3) ユッカマウンテンについては、当課ホームページ「日本の原子力外交」米国の原子力事情6月分、8月分に関連記事掲載。

    (11月30日付ワシントン・ポスト)



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