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軍縮・不拡散


米国の原子力事情(8月分米国紙とりまとめ)

平成13年9月

1.ユッカマウンテン使用済核燃料地層処分場に対する取り組み方の変更

 米国エネルギー省(DOE)は、14年間と45億ドルを費し、ユッカマウンテン使用済核燃料地層処分場が1万年間、高レベル放射性廃棄物を閉じ込めるのに十分なだけ乾燥し、地質が安定的かどうかを検証してきた。処分場の許認可のためのブッシュ大統領への説明が近づいている現在、ユッカマウンテン使用済核燃料地層処分場の地質が、当初考えられていたよりも湿気があり、なおかつ複雑だったという理由から、議論の焦点は、ユッカマウンテンの地質より、使用済核燃料の貯蔵所の設計や高レベル放射性廃棄物の収容容器の素材であるステンレス・スティールやチタニウム製シールドの侵食に対する耐久性に移ってきている。
 例えば、連邦政府筋は、ユッカマウンテンの地下を流れる水量が当初考えられていたよりも10倍も多かったので、高レベル放射性廃棄物の収容容器を水によって酸化しやすいコンクリートから金属に変更することを検討している模様である。さらに、収容容器の侵食の防止のために、使用済核燃料の貯蔵所内の温度状態(注)をどのようにするかも思案しているようである。

(7月31日付ニューヨーク・タイムズ)

(注) 使用済核燃料から出る熱を活かし貯蔵所内を高温に保てば、 貯蔵所 内の水分は水蒸気となり、高レベル放射性廃棄物の収容容器が酸化し侵 食されることはないとする考えと、長期間、水蒸気がユッカマウンテン使 用済核燃料地層処分場内に滞留することにより、岩石が砕けたりするな ど新たな問題が発生するのではないかという考えがある。


2.サウス・カロライナ州知事の計画

 クリントン政権では、核兵器用プルトニウム処分に関し、サウス・カロライナ州サバンナ・リバー施設において、MOX燃料への加工又はガラス固化を行い、州外に移転するとの計画があったが、ブッシュ政権は予算上の制約から、研究がより進展するまで費用の高い処理を行わず、貯蔵を行うとの方針を示した。これを受け、サウス・カロライナ州ジム・ホッジス知事(民主党)は、大量のプルトニウムの積荷を処理計画のないまま同州に受け入れることは、永久貯蔵へと繋がるかもしれないとして、右積荷を運ぶ連邦政府のトラックが同州に入らないように、州境を封鎖する計画を立てるようハイウェイ・パトロールに指示した。これには、ホッジス知事の政敵である州司法長官チャール・コンドン(共和党)も強い支持を表明した。
 州当局と州境で対峙することを避けたい米国エネルギー省(DOE)は、プルトニウムはサウス・カロライナ州に永久に貯蔵されないと述べたが、ホッジス知事は、州外への移転の具体的計画がないDOEのあいまいな約束には満足していない。またホッジス知事は同州はサバンナ・リバー施設により政府の原子力計画に十分貢献しており、代わりにネバタ州のような多くの人里離れた場所がある州にプルトニウムが貯蔵されることを提案した。

(8月11日付ニューヨーク・タイムズ)

3.解体核プルトニウム処分に関する米露の計画の経緯

 クリントン政権下で構想された米露保有の核弾頭から取り出された100トンのプルトニウムを処分する米露の計画は、ブッシュ政権下で再検討される可能性が出てきた。本計画は、兵器から取り出されたプルトニウムが懸念国やテロリストに渡り、核兵器に転用される危険を阻止することを目的として、プルトニウムを、MOX燃料として民間の原発で燃焼させるか、高レベル放射性廃棄物と混ぜて使用不可能にする「固定化」を行うというものであった。しかしながら、財政的な理由や、米露の協力によりロシアにおけるプルトニウムの管理の安全性が向上した結果、再検討に付されることとなった模様である。例えば、ブッシュ政権における今春のDOEの予算案には、固定化に必要な額が含まれておらず、MOX燃料としての利用についても、(予算のない)ロシアに同等の貢献を求めると言及されている(将来的には、露の貢献がないことを理由に留保することも考えられる。)など、本計画の予算措置への消極的な動きがある。
 しかし、上記2つの方法だけでなく、プルトニウムをより効率的に消費する新世代原子炉での燃焼も選択肢となりうるとの意見があり、また実際にロシアの核弾頭から取り出した高濃縮ウランを起源とするウラニウムが、現在の米国の原子力発電所で必要とされる半分以上の量を賄っていたり、ロシアがプルトニウムを自国の資産と考え、増殖炉の開発をすすめる等、右計画に関する議論についてはっきりとした整理がついていないのが現状である。

(8月21日付ニューヨーク・タイムズ)



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