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軍縮・不拡散


米国の原子力事情(6月分米国紙とりまとめ)

平成13年8月

 6月分の米国紙報道につき、外務省において概要を取りまとめた。なお、6月分の米国報道で注目される記事は、使用済燃料地層処分場予定地ユッカマウンテン砂漠における環境基準の公布であった。

[要旨] 米環境保護庁は、6月6日ユッカマウンテン砂漠に計画中の使用済燃料地層処分場の公衆衛生及び安全に関する基準(以下、「公衆安全基準」という)を公布した。この基準を米議会が認めれば、ユッカマウンテン砂漠が使用済燃料地層処分場として使用される可能性が高くなる。現時点における公衆安全基準に対する見方、考え方に対する関係機関の立場は、以下の通り。

(1)環境保護庁

 公衆安全基準と両立する限りにおいて、ユッカマウンテン砂漠における使用済燃料地層処分場の建設を望んでいる。

(2)米原子力規制委員会(NRC)

 米エネルギー省(DOE)が必要な認可を受ける前に、環境保護庁の基準をクリアーしていることを求めている。

(3)ブッシュ政権

 環境保護庁が公布した公衆安全基準によって、様々な政治的困難を乗り切り、ユッカマウンテン砂漠に使用済燃料地層処分場を建設することを望んでいる。

(6月7日付ワシントン・ポスト等)

[参考] 使用済燃料地層処分場予定地としてのユッカマウンテンの経緯
 82年の放射性廃棄物政策法(87年修正)に基づいて、使用済み燃料の地層処分場設置の準備が進められ、ネバタ州ユッカマウンテンを最終処分場の候補地として特性調査等が行われてきた。しかし、予定が大幅に遅延しており、同法に明記される、98年1月31日までにエネルギー省(DOE)が使用済燃料の引き取りを開始するという義務が履行されず、事業者の施設に使用済燃料が蓄積されるという結果がもたらされている。
 97年及び98年には、ユッカマウンテンが最終処分場と決定されるまで、中間貯蔵施設の設置を求める規定を含む法案が上下院で可決されたものの、最終処分場の決定が先とするクリントン大統領の拒否権により成立に至っていない。
 今後、DOEは本年中に、大統領にユッカマウンテン地区を処分場とすることに関し最終勧告を行う予定。大統領がこれを受けて同地を処分場としネバタ州も同意すると、DOEは来年にもNRCに処分場の建設認可を申請する(ネバタ州の同意が得られない場合であっても、上下院が同意すれば処分場となる。)。NRCの審査が順調に進めば、2006年に建設認可、2010年に建設認可と同時に運転認可が下りる予定。


1.ユッカマウンテン使用済燃料地層処分場の概要

 米ブッシュ政権が国民の長期的なエネルギー需要を満たす手段として原子力発電所の建設を推進するにあたっては、原子力発電に伴って発生する使用済燃料の処分場が必要不可欠となる。その使用済燃料の処分場の候補地が、ネバタ州ラスベガスの北西約100マイルのところに位置するユッカマウンテン砂漠である。

2.公衆安全基準の影響

 ユッカマウンテン砂漠における使用済燃料地層処分場に関する論争は、約20年間続いた。6月7日付ワシントン・ポスト紙によれば、ネバタ州政府やネバタ州選出の議員等が地下廃棄場の核廃棄物から放射能が漏れることを危惧していたからである。今日、環境保護庁が基準を公布したことは同使用済燃料地層処分場建設に大きな影響を与えると予想される。つまり、公衆安全基準をクリアーできれば、ユッカマウンテン砂漠に使用済燃料地層処分場を建設することが可能になり、原子力発電所建設促進の方向性を大きく加速させると思われるからである。

3.環境保護庁、米原子力規制委員会、ブッシュ政権担当者の対応・考え方

イ.環境保護庁

 環境保護庁は、エネルギー政令801項に従って、公衆安全基準を公布する際、95年8月に米国立アカデミーが出した「ユッカマウンテン基準のための技術的な基礎」と題するレポートを考慮した。
 また環境保護庁は、クリントン政権下で提案された基準に固執し、ユッカマウンテン砂漠の使用済燃料地層処分場から漏れる1年の放射能が、平均的なアメリカ人が自然、人工物から約2週間で受けるものに相当する15ミレラムという数字ならば、ユッカマウンテン砂漠に使用済燃料地層処分場を建設することが可能であると考えている。
 結局、環境保護庁の理事であるクリスティーヌ・ヒィットマンが陳述で、「国民として、われわれは使用済燃料処分問題を提案しなければならない。しかし、公衆と環境を守る方法で行わなければならない。」と言っているように、環境保護庁はユッカマウンテン砂漠において、同庁が公布する公衆安全基準と両立する限りにおいて、使用済燃料地層処分場の建設を望んでいる。

ロ.米原子力規制委員会(NRC)

 原子力規制委員会は、米エネルギー省がユッカマウンテン砂漠で放射性物質を貯蔵し、処分するために必要な認可を受ける前に、環境保護庁の基準をクリアーしていることを求めている。

ハ.ブッシュ政権

 ブッシュ政権の担当者達は、この基準が地下水、空気、土壌など放射能漏れする可能性がある全ての原因を規制している新しい基準であり、この基準によって、様々な政治的な困難な障害を乗り越えることを望んでいる。また、ブッシュ政権の担当者達は、この基準が多くの環境保護主義者とネバタ州の住民を満足させるほど厳しいものではあるが、本プロジェクトをブロックする程のものではない、と考えている。



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