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細田博之政府代表(科学技術政策担当大臣)演説 (日本語仮訳) 1.序(総会議長への祝辞等) 議長 貴議長が国際原子力機関の第47回通常総会の議長に選出されたことを日本国政府としても大変名誉なことと受け止めております。貴議長の豊富な国際的経験と卓越した議事運営手腕をもって、本総会が実り多いものとなることを確信しております。 2.北朝鮮、イランの核問題 議長、事務局長、ご列席の皆様、 日本の政府代表として一言申し述べるに際し、先ず、前回の総会以降、IAEAの主要目的である保障措置の適用に関して生起した、核不拡散体制を揺るがしかねない問題につき触れたいと思います。 ここに集われている各政府代表も御承知のとおり、北朝鮮を巡り、昨年10月以降、緊張が続いています。 我が国はこれまでKEDOを通じて北朝鮮における軽水炉プロジェクトを財政的、技術的側面等において支援してきました。この意味でも、北朝鮮がIAEAとの保障措置協定に違反し、核兵器開発を進めていることは遺憾です。同問題は北東アジア地域のみならず国際社会全体の平和と安定にとって極めて深刻な問題であります。北朝鮮の近隣に位置する我が国としては、北朝鮮が核兵器を開発、取得あるいは保有、実験、移転することは到底受け入れることはできません。ここに改めて、北朝鮮が全ての核兵器、核開発計画を完全、検証可能かつ不可逆的な形で速やかに廃棄することを強く求めます。我が国は、IAEAが、北朝鮮による核開発問題に係る検証活動において重要な役割を果たすことを信じており、引き続きその取り組みを積極的に支援する所存です。 先般、北京で開催された六者会合は、話し合いによる本件の問題解決に向けた出発点として重要であり、このプロセスを継続していくことが、不可欠であると考えます。 また、本年6月のIAEA理事会以降深刻な議論が行われているイランの核問題も重要です。日本を含む国際社会は、イランの核問題を強く懸念しております。我が国はイランが、完全な透明性を確保しIAEAに完全に協力するとともに、追加議定書の早期かつ無条件の署名、締結及び完全履行を通じて、国際社会の懸念を払拭するよう強く働きかけてきています。我が国は、イランがこのような国際社会の懸念に真剣に対応し、9月12日のIAEA理事会決議にて要請されている必要な全ての措置を早急にとることを期待致します。 3.我が国の核不拡散政策 議長 このように、核不拡散体制は世界の平和と安定を維持するための重要な要素であり、各国政府代表の共通の関心事です。このような現状において、我が国の核不拡散政策は、何ら揺るぎがないことを改めて明らかにします。 即ち、我が国は、核不拡散条約に基づくIAEA保障措置協定及び同追加議定書に基づくIAEA保障措置を完全に受け入れ、プルトニウム利用の透明性確保を含む我が国の原子力活動の透明性の確保に努めていきます。 また、我が国においては、原子力基本法に基づき、原子力利用が平和目的のみに限定されています。我が国は、小泉現内閣を含む歴代の内閣が繰り返し表明しているように、唯一の被爆国として「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を堅持してきております。今後ともこれを堅持していく立場に変わりはありません。このような観点からも、我が国が核兵器を保有することはあり得ません。 4.原子力の平和利用 我々は、供給安定性に優れ、地球温暖化防止に寄与する特性を有するエネルギー源としての原子力の重要性が幅広く認識されるべきと考えます。エネルギー資源の乏しい我が国としては、今後とも原子力発電を基幹電源の一つとしていく方針です。また、核燃料サイクル政策は、供給安定性等に優れているという原子力発電の特性を一層改善するものであり、安全性と核不拡散の確保を大前提とし、我が国国民の原子力発電に対する理解を得つつ、核燃料サイクルの推進に取り組んでいきます。 昨年8月に公表された我が国の原子力発電所において自主点検の記録が不正に行われたという問題は、国民の原子力安全への信頼を大きく損なう結果となりました。かかる問題に鑑み、規制の有効性を向上させ、原子力発電事業者の品質管理体制の強化を図り安全文化を向上させるとの観点から、我が国の原子力安全規制制度を抜本的に改正したところです。我が国は、公衆との対話を通じて、国民の原子力安全に対する信頼の回復を図りつつ、停止中の原子炉の運転再開に引き続き鋭意努力しているところです。 また、核融合エネルギーは将来における人類の恒久的なエネルギー源として期待されており、その研究開発にあたっては、国際協力のもと人類の共通な課題として取り組むことが重要と考えております。核融合エネルギー実現のための重要なステップであるITER計画では、現在多くの国々の参加を得ており、国際協力の気運が高まっていることは大変喜ばしいと考えております。我が国はITERの建設サイトとして青森県六ヶ所を提案しており、ITER計画の推進に積極的に貢献してまいります。 5.IAEA保障措置の強化と効率化 核不拡散体制に係る諸問題を考えれば、今こそ核不拡散体制を支えるIAEAの保障措置の強化が必要であり、そのために追加議定書の普遍化が急務です。 追加議定書は、現在74国が署名し、うち35国が締結しているに過ぎません。これらの数字は満足いくものではありません。ここに参集しておられる各国の代表の方々のうち、追加議定書に未署名な国の代表及び未締結の国の代表に、追加議定書の署名及び締結を要請します。 我が国は、昨年12月、東京においてIAEAの協力を得て「保障措置強化のための国際会議」を主催しました。同会議は、それまでに地域毎に行われてきた地域セミナーの結果を共有することにより、世界の36ヶ国から参集した82名の参加者が、追加議定書の重要性を再認識し、普遍化の実現に向けた行動計画とも言うべき議長総括を採択する等、大きな成果を挙げました。 我が国としましては、この国際会議の成果を踏まえ、我が国の追加議定書実施に係る豊富な経験も活かしつつ、その普遍化に向けた努力を継続したいと考えています。 6.核セキュリティ対策 一昨年9月11日のテロ事件以降注目されるようになった核セキュリティ問題は、国際社会が直面する新たな問題として、引き続き取り組むべき重要な問題です。 IAEAは、この分野においても重要な役割を果たしています。特に、本年3月にウィーンで開催された「放射線源の安全に関する国際会議」においては、核テロを防止する上での放射線源の安全管理の重要性につき、コンセンサスが得られました。正にこの本年仏にて開催されたエヴィアン・サミットにおいてG8各国指導者は、放射線源の安全確保に向けて取り組んでいくとする声明及び行動計画を発出しました。我が国は、G8の一員としてこの分野での取り組みを継続するとともに、国際社会全体が放射線源の管理強化に取り組むことを期待し、これを支援するIAEAの役割を支持します。今回理事会で承認された「放射線源の安全とセキュリティに関する改正行動規範」については、我が国としてこれを支持するとともに、放射線源のセキュリティの強化のために、多くの国がこれを支持しその取り入れのために努力することを求めます。 7.放射性物質の輸送 原子力の平和利用にとって、放射性物質の円滑な輸送は、不可欠です。放射性物質輸送は、国際法上確立された「航行の自由」原則に従って実施しており、また、国際海事機関(IMO)やIAEA等の関連する国際機関が定める国際基準に従い安全確保のための最も慎重な措置がとられていることを指摘したいと思います。 本年7月には、IAEAの主催の下、放射性物質輸送の安全に関する国際会議が開催され、約80国から約500名以上が参加しました。この国際会議により、放射性物質輸送の安全性について、理解が更に深まったものと期待します。 このような経緯を踏まえ、我が国は、TranSASの受け入れについて検討していく所存です。 8.IAEA予算問題 国際社会は、核不拡散体制をより一層強化すべきです。これを実現するには、政治的な掛け声だけではなく、十分な財政的裏付けが必要です。我が国は、IAEA及びその保障措置の重要性にかんがみ、極めて例外的な措置として、保障措置予算の大幅増額を含むIAEA通常予算を支持しました。 他方、国際機関の運営に当たっては、効率化も重要であることも指摘しなければなりません。2004/5年通常予算に合意した7月の特別理事会においては、保障措置効率化のための見直しを事務局に求めることが合意されました。我が国は、追加議定書の要件が満足された国に対し「統合保障措置」の早期適用を実施するほか、保障措置活動が目に見える形で効率化が図られるように更なる努力を事務局に対し求めます。また、保障措置外の分野におけるIAEAの事業が効率的に行われるよう強く期待します。 9.結語 議長 我が国は適切な形での原子力の平和利用は、地球環境への負荷を最小限に留めつつ、人類の福祉や世界の社会や経済の発展に大きく貢献するものとして人類にとって極めて重要な選択と確信しております。また、我が国としては、NPTの核不拡散体制、IAEAの保障措置活動が様々な挑戦に晒されている状況において、原子力の平和利用推進と核不拡散を強化するIAEAの活動が今日ほど重視され、注目を集めている時代はないと考えます。 我が国としては、モハメド・エル・バラダイ事務局長のリーダーシップの下、IAEAがこのような重要な使命を達成できるように、IAEAを支援していく所存です。 ご静聴ありがとうございました。 |
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