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軍縮・不拡散


第46回IAEA総会の概要


平成14年10月


1.概要

(1) 9月16日から20日までの間、第46回IAEA総会がオーストリア国ウィーンにおいて開催された。同総会には、尾身科学技術政策担当大臣(当時)が政府代表として出席し、総会初日の16日に日本の原子力政策及び原子力分野において世界が直面する諸問題に言及しつつ、IAEAの果たすべき役割の重要性を強調する一般演説を行った。更に、尾身大臣は、同日、米、露、仏及びイランの各政府代表並びにエル・バラダイIAEA事務局長と会談し、原子力の平和利用、ITER計画、核テロ防止対策等につき意見交換を行った。

(2) 今次総会においては、総額248,875千ドルの通常予算が承認されるとともに、エリトリア、キルギス及びセイシェルのIAEA加盟(結果、加盟国総数は137となった)が承認された。更に、理事会メンバー35ヶ国中11ヶ国が改選され、日本は引き続き理事会指定理事国として承認された。

(3) 各国代表による一般演説及び総会議場における議論においては、日本をはじめ多くの加盟国が核テロ対策の重要性を指摘したが、中でも米国は核テロ防止対策のために3百万ドルの追加拠出の意向を表明するとともに、保障措置が核テロの対策に資するものとして、その強化を強く主張した。また、今次総会においては、16の決議が採択されたが、保障措置の強化、放射性物質輸送等、非公式協議における調整が難航した決議もあった。日本は、核不拡散及び核テロ防止の観点から保障措置の強化と効率化を推進すべきとの立場を強く主張するとともに、原子力の平和利用に不可欠な放射性物質輸送の円滑な実施を担保し得る決議の採択の必要性を強調した。その結果、保障措置強化に係る決議では、追加議定書の普遍化に係る日本の外交イニシアティブが広く評価される等の成果があり、放射性物質輸送に関しては、輸送実施国と輸送ルートの沿岸国の双方が受け入れ可能なバランスのとれた決議がコンセンサスで採択された。


2.主要な個別議題案件と結果

(1) 核テロ防止対策

尾身大臣は、一般演説に加え、二国間会談においても核テロ防止に係る日本の基本的立場並びに取り組み状況を明らかにした。総会においては、加盟国に対し核セキュリティの強化と核テロの防止に向けた支援の継続及び核テロ基金への政治的・財政的支援を要請する決議がコンセンサスで採択された。

(2) 保障措置強化

2001年同様、エジプト等アラブ諸国とイスラエル、インド、パキスタン等NPT非加盟国との対立のため決議採択協議は難航したが、最終的には、決議はコンセンサスで採択された。また、日本が行ってきた包括的保障措置の強化及び追加議定書の普遍化への一連の財政的・人的貢献が評価され、2002年12月に予定される東京国際会議への期待が決議で言及された。

(3) 放射性物質輸送問題

日本は輸送実施国として、英、仏等と協力し、非公式協議に当たった結果、最終的には輸送実施国及び沿岸国を含む45ヶ国が共同提案国となるバランスのとれた決議案が作成され、総会においてコンセンサスで採択された。

(4) 北朝鮮による保障措置協定の履行

北朝鮮が保障措置協定を履行していない状況が続いていることに懸念を表明するとともに、最近の北東アジア地域における政治情勢の進展に留意し、北朝鮮が保障措置協定の完全かつ早急な履行に応じることを強く求める決議を採択。

(5) 技術協力

日本の提唱により、2003年の技術協力基金目標額を決定するに当たり、被援助国による義務的経費未払いの解消を強く要請する旨の記述が関連決議に盛り込まれた。これは、従来見過ごされがちであった被援助国による義務の不履行という状態の是正、ひいてはIAEAの財政状況の改善に寄与するものとして特記される。


3.今後の課題

(1) 核テロ防止対策に関し、日本は2002年3月の理事会において50万ドルの拠出を誓約することにより、積極的な取り組みの姿勢を明確にした。日本は本分野での取り組みの具体化に向けて、IAEA事務局及び関係国との間で緊密な連携を図っていく必要がある。

(2) 2002年12月に東京で開催される国際会議により、追加議定書の普遍化に向けたモメンタムを維持するとともに、関係国に対して追加議定書締結を働きかける地道な外交努力が必要である。更に、保障措置の強化と効率化を両立させる統合保障措置の具体化に向けて、先駆的役割を果たすことが期待される。

(3) 放射性物質輸送に関しては、2003年7月にウィーンで開催される関連国際会議及び次期IAEA総会において、輸送実施国と沿岸国が徒に対立的にならないように、引き続き、輸送の安全性に関する沿岸国の理解促進活動を行うとともに、日本としても、原子力損害賠償条約への加入を前向きに検討する等の目に見える努力が必要である。

(4) 北朝鮮による保障措置協定の履行問題については、米、韓、KEDO事務局等 と協調しつつ、北朝鮮が保障措置協定に基づきIAEAが行う検証作業を早期に受け入れるように働きかけを行う必要がある。



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