ご列席の皆様、
このたび「対人地雷に関する東京会議」出席のため、訪日された皆様を心より歓迎いたします。
私は、外交政策の目標として、「未来の世代のためのよりよい世界の創造」、換言すれば、「貧困と紛争から無縁の世界の創造」を掲げております。昨年の国連総会でも申し上げたとおり、この目標の実現のためには、第一に世界の平和と安定の確保、第二に途上国の安定と発展をもたらすための開発の推進、そして第三に地球社会における個々の市民の安らぎの確保という3つを柱とした努力が必要と考えます。ところが、対人地雷は、紛争時や紛争終結後を問わず一般市民に深刻な被害を与える人道上の重大問題であるのみならず、紛争終結後の復興と開発にとっても多大な支障をきたしており、この全ての柱の前に大きく立ちはだかる壁となっています。
私は、対人地雷問題に対する国際的な取り組みが不可欠であると認識し、昨年のリヨン・サミットや国連総会の場で国際協力の必要性を訴えて参りました。具体的には、(1)対人地雷の全面禁止に向けた努力(2)国連等が行う地雷除去活動に対する支援(3)地雷探知及び除去のための技術開発(4)地雷の犠牲者に対する支援であります。この4つの分野への包括的取り組みこそが今求められていると確信しております。
幸い、世界の首脳の中には本件問題の深刻さに胸を痛め、自らの問題としてこれに立ち向かっていかねばならないとの決意に燃えておられる方々が多数おられます。これらの政治家と手を携え、また被埋設国や支援国、国連をはじめとする国際機関、さらには各国NGOとのパートナーシップを大切にしながら、わが国としても、今後本問題解決のため、息長くできる限りの協力を行っていきたいと考えます。
最後に「対人地雷に関する東京会議」を契機に政策担当者としての皆様方が、さらに議論を深められ、よりよき未来のための政策を打ち出していかれることを期待して、私のメッセージといたします。