1.「対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」は、12月3日(日本時間4日)、カナダの首都オタワにおいて、日本政府を代表して小渕外務大臣により署名された。
2.この条約は昨年10月、カナダ政府がオタワにおいて開催した対人地雷に関する国際会議を契機として開始されたいわゆるオタワ・プロセスを通じて作成された。本年2月のウイーン会議、6月のブラッセル会議等一連の国際的な会合を経て、本年9月ノルウェーのオスロで89ヵ国の正式参加を得て開催された外交会議において条約案が採択された。
3.世界各地の紛争地域において紛争時に埋設されたまま放置されている対人地雷は、一般市民にも無差別に被害を与え人道上大きな問題であるのみならず、紛争終結後の復興開発にとって大きな障害となっている。本件条約はかかる問題の解決に向けて国際社会全体にとって大きな意義を有するものと考えられる。
4.署名に先立つ演説の中で、小渕外務大臣はわが国の立場を明らかにした。その要点次のとおり。
- (1)21世紀に私たちの子孫が地雷の脅威に晒されない世界に住めるよう、普遍的かつ実効的な条約の作成と地雷除去活動・犠牲者支援を車の両輪とする、包括的アプローチによる取り組みの必要性を訴えた。
- (2)オタワ条約へのできるだけ多くの国の署名に期待を表明すると同時に、ジュネーブ軍縮会議における対人地雷禁止に係る条約交渉を早期に開始すべき旨訴えた。
- (3)対人地雷同様の取り組みが求められる小火器問題に引き続き積極的に取り組んでいく旨述べた。
- (4)今後5年間を目途とした100億円規模の支援により、地雷除去関連機材・技術の供与、犠牲者支援、カンボジアの地雷被埋設国間会議への積極的支援等を実施することを表明した。また、対人地雷除去活動の支援のために行う貨物等の輸出についてはこれを武器輸出3原則によらないこととした。
- (5)以上のようなわが国の対人地雷問題への取り組みを「犠牲者ゼロ・プログラム」とし、各国に協力を呼びかけた。