1. 1996年のリヨン・サミットにおける橋本竜太郎首相の提案を受けて、平成9年3月6日(木)および7日(金)に、「対人地雷に関する東京会議」が開催された。同会議には27カ国、EUおよび10の国際機関が参加した。参加者は、対人地雷の諸問題に対応する国際的努力を強化するために、包括的な議論を行った。
総論
2. 同会議では、対人地雷の問題が人道問題であると同時に、平和と安全への脅威であり、復興開発への障害であることを認識し、国際協力を通じて対人地雷の諸問題への取り組みを強化することの必要性が強調された。さらに参加者は、対人地雷の全面禁止に向け努力する必要性を認識した。
目標の確立
3. 参加者は、地雷の犠牲者数を大幅に減らし、最終的にはゼロにすべく努力する意志を表明した。この間、国際社会は、今よりはるかに多くの負傷者に適切な医療措置を供与しなければならない。
国連及び他の機関による地雷除去への指針
4. 同会議の参加者は、地雷除去行動計画のための国連による次の原則を承認することに合意した。すなわち(1)早期に参画すること、(2)地雷関連活動を平和プロセスの一環とすること、(3)地雷関連活動の初期の段階からの包括的アプローチをとること、(4)複数のパートナーが同じ人道的目標に向かう際には比較優位原則を強調すること(5)国連人道局が提案するように、地雷関連活動を当該国のものとする方向へ動くことである。
5. 国際社会におけるパートナーシップの重要性に留意し、参加者は国連諸機関、他の国際機関、地雷被埋設国、援助供与国、NGOの間で、地雷除去計画を実施するにあたって、より緊密な調整が必要であることを強調した。 その際、地雷被埋設国政府が、主体性をもって主たる役割を果たすべきである旨指摘された。
6. 参加者は、国連人道局の地雷除去の支援における中心的役割を再確認し、同局を強化する方途につきさらに議論すべき旨合意した。
7. 参加者は、国ごとのニーズに応じた特別なプライオリティーを念頭におきつつ、赤十字国際委員会と国連人道局の打ち出したプライオリティーづけを支持した。対人地雷問題が復興開発プロセスに及ぼす影響を考慮し、UNDPや世界銀行を含めた援助実施機関に対し、地雷プログラムのプライオリティーにつき議論するよう要請した。
地雷探知及び除去の新技術開発に関する指針
8. 参加者は、人道的理由、また被理設国の復興開発の促進の観点から、使いやすく費用対効果の高い技術開発のための国際努力を強化することに同意した。
9. 参加者は、国連人道局および国連PK0局が提案する地雷除去の技術開発に関する5つの指針、すなわち(1)仕様の確定(2)センサー技術の開発、(3)保護着の開発、(4)技術移転の促進、(5)「道具箱」的アプローチを確認した。
10. 新たな地雷除去技術の開発の困難さを考慮し、参加者は、「二重路線」のアプローチが肝要であることを確認した。短期的には、特定の被埋設地に適した既存の技術(「道具箱」的アプローチと探知犬の活用)の最も適切かつ効果的な組み合わせの方法を決定することが不可欠である。中期的には、新技術の開発も地雷除去活動を促進し、その効果を高めるために依然として必要とされている。
11. 参加者は、地雷被埋設国各地の状況がそれぞれ異なるが故に、地雷の探知および除去の新技術開発の早期段階において、フィージビリティ・テストを実際の被埋設地で行う必要性を確認した。
12. 参加者は、地雷探知および除去技術に関する情報の共有の必要性を認識した。このため、参加者は国連人道局に対し、テストの結果や技術の開発状況につき可能な限り多くの情報を登録する用意がある旨示唆した。
13. 参加者は、被埋設国間の情報の伝達と経験の交換の重要性を認識した。カンボディアと南アは、この分野で協力する用意がある旨表明した。
対犠牲者支援の指針
14. 参加者は、対人地雷の犠牲者を援助するにあたり、国際社会の第一の目的は、被埋設国の包括的プログラムの管理・実施能力を開発することである旨認識した。プログラムは応急手当、外科手術、義肢義足の製作および犠牲者のリハビリと職業訓練あるいは社会復帰のための訓練を含むものである。
15. 赤十字国際委員会は、犠牲者の支援および対人地雷による被害を阻止することを目的とした情報収集・分析をする地雷情報システムを現地に設立することを提案した。
対人地雷に関する情報交換の促進の重要性に留意し、参加者は地雷情報システムを設立すべきであるという赤十字国際委員会の提案に賛成した。参加者は、赤十字国際委員会がさらに詳しい提案を国際社会に向け行うよう要請した。
16. 参加者は、対人地雷問題に取り組むことが、緊急に必要であるとの国際社会の気運を盛り上げていくことが望ましいことを認識した。