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軍縮・不拡散

対人地雷に関するオタワ会議
第15円卓会議「対人地雷問題に関する活動のための資源の調整」

(12月4日(木)9:00-10:30)
西田恒夫 外務省経済協力局審議官のステートメント

「東京ガイドラインと地雷犠牲者ゼロに向けた国際協力」

議長、ご列席の皆様、

 まずはじめに、対人地雷全面禁止条約の作成に大きな役割を果たされ、条約署名式及びこの円卓会議をホストされているカナダ政府、並びに対人地雷問題に取り組んでいる関係諸国、国際機関、NGOの皆様に敬意を表したいと思います。

(東京会議の意義)
 我が国は、本年3月に「対人地雷に関する東京会議」を主催しました。これは、除去及び犠牲者支援といった対人地雷に関する人道的側面への国際的な取り組みを強化する方策を検討した初の包括的な会議でした。東京会議では、こうした問題に深い関心を有する被埋設国、支援国、国際機関によって、試行錯誤の経験を基に、今後の取り組み方について、極めて意義深い議論が行われました。
 東京会議では、対人地雷問題が人道問題のみならず、平和と安定の維持、復興開発への障害と位置づけられ、除去活動、技術開発、犠牲者支援の3分野について、今後の取り組みに関するガイドラインが策定されました。また、究極的には地雷の犠牲者をゼロにすることを対人地雷問題への国際社会の取り組みの目標として掲げました。
 この「東京ガイドライン」を改めて紹介すると、次のような指針からなっております。第1に、除去活動への取り組みについては、被埋設国の主体性(オーナーシップ)を重視し、支援国、国際機関及びNGOがパートナーシップの精神に基づいて支援を行うことを重視しています。第2に、実際の地雷除去活動のニーズに鑑み、「より安価で安全かつ効率的な技術」の探求を求めております。第3に、犠牲者支援については、被埋設国自身が、医療から義肢政策、リハビリテーションや職業訓練に至る間での包括的なプログラムを策定し、管理、実施する能力の開発を促進することを強調しております。

(東京会議のフォローアップ)
 東京会議においては、これらのガイドラインに沿ったいくつかの提案が出され、既に実施されはじめております。
 国連は地雷探知・除去技術の情報登録制度の構築に取り組んでおり、我が国も支援を検討しております。除去活動と医療活動の連携を図るための地雷情報システムの構築が赤十字国際委員会(ICRC)より提案されておりましたが、既にアンゴラ及びアフガニスタンにおいて試験的に開始されており、我が国としても今後より多くの被埋設国で活動が行われるよう支援していくつもりです。
 また、カンボディア地雷対策センターより、除去活動の経験を他の被埋設国と共有したいとの提案があり、これを受けて、被埋設国間のパートナーシップ構築のための会議がカンボディアで明年5月に開催される予定です。我が国もこれに積極的に参加し支援する所存です。
 NGO間のネットワーク造りも進んでおり、3月に東京会議と隣接して開催されたNGO東京会議において世界のNGO間のネットワークが構築されたことは歓迎すべきものと考えており、明年1月下旬に予定されている第2回会議にも期待しております。

(我が国の新たな取り組み)
 議長、
 東京ガイドラインは今後の対人地雷問題に関する活動への国際的取り組みの基礎となると考えております。我が国自身、その推進のために、今般、地雷除去及び犠牲者支援の分野での支援を大幅に拡大することとし、昨日小渕外務大臣が条約署名の際の演説で述べた通り、今後5年を目途に100億円程度、約8000万米ドルの支援をODAで行うことを決定しました。
 具体的には、長期的な復興プロセスをも念頭に入れつつ、被埋設国の除去能力向上のために地雷探知・除去のための機材や、車輌、草刈り機、無線機、バッテリー等の機材を被埋設国に供与するとともに、拠出金を通じ、国連の支援調整機能強化や技術登録制度構築の支援を図ります。また、地雷犠牲者への支援については、被埋設国自身が包括的な犠牲者支援活動の計画を策定し実施していく能力を備えられるよう義肢製作技術、犠牲者の肉体的・精神的リハビリテーション等についての技術協力、医療やリハビリテーションに関わる施設建設や機材供与を行っていきます。
 この関連で、我が国は平和国家として、国連軍備登録制度の設置等を通じて国際的な武器管理制度の整備に協力するとともに、我が国自身の輸出についても、極めて厳格な管理を行ってきたところですが、今般、人道的な対人地雷除去活動への支援の重要性に鑑み、そのような活動に必要な地雷探知装置や除去機械を対外的に供与する道を開くこととしました。被埋設国のニーズにあった「安価で安全かつ効率的な」技術の探求のために、我が国の民生技術が活かされることを期待します。
 更に、きめ細かな支援を実施していくために草の根のNGOの活躍を抜きに語ることはできません。我が国としても可能な限りNGOの活動を活かせるような支援を考えて行くつもりです。例えば、義肢製作や犠牲者のリハビリテーション支援等を行うNGOへの協力を引き続き実施していく他、除去関連機材の供与にあたっても、被埋設国の地雷対策センターの下でNGOが広く使用できるよう図っていきたいと考えます。

(国際的な調整強化の必要性)
 議長、
 対人地雷の除去・犠牲者支援については、既に多くの国、国際機関、NGOが取り組んでおり、更に今般、我が国の他、米国、カナダ、ノールウェー等が支援の拡大を発表しています。
 しかしながら、それぞれの国や機関がばらばらに支援活動を行っていたのでは、効果的な支援とはなりえません。被埋設国のニーズを的確に把握した上で、支援の重複がないよう、関係者間で十分な調整を行うことが、効果的且つ効率的な支援のために必要です。そのためには、「東京ガイドライン」の述べている被埋設国のオーナーシップと国際社会のパートナーシップが重要です。具体的には、現地において、被埋設国自身が中心となって、関係国、国際機関等を含めた情報交換や調整を行うメカニズムを作ることが必要です。例えば、カンボディア政府、UNDP等関連機関、ドナー国から成るカンボディア地雷対策センターの運営委員会(steering committee)は、支援活動の調整の場としてもより活用されるべきです。アンゴラやモザンビークにおいては国連人道局の支援を受けて除去専門の政府機関が立ち上がり、UNDPに引き継がれて除去活動が始まっており、ボスニア・ヘルツェゴヴィナでも98年より政府の地雷対策センターが活動を開始すると承知していますが、これらの各機関においても支援の調整が図られることを期待します。我が国としても、そのようなセンター運営及び調整のプロセスに積極的に関与し、効果的な支援を行っていきたいと思います。
 また、米国やカナダ等いくつかの国が明年対人地雷に関する会議の開催を計画していると聞きますが、これらの会議においても支援の実質的な調整が図られることを希望します。

(地雷犠牲者ゼロに向けて)
 議長、
 世界中に埋設されている対人地雷全てを除去することは困難かもしれません。しかし、重要なのは、住民の生活向上と開発に必要な土地から地雷を除去し、地雷による犠牲者の発生をなくすことであります。「東京会議」にカンボディアから出席されたサム・ソタ・カンボディア地雷対策センター事務局長も次のように述べました。
 「カンボディアには約1千万個の地雷が埋設されていると言われており、この個数に注目すると希望を失いかねない。しかし、我々は犠牲者の発生件数をゼロにすることは可能だと考えており、その意味で、我々は悲観的ではない。」
 確かに、その実現にはまだまだ大きな障壁が立ちはだかっていますが、グローバル・パートナーシップの構築に向けて、地雷犠牲者ゼロに向けた建設的な協力を着実に進めていこうではありませんか。

 ご静聴ありがとうございました。

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