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(参考和訳)

線路敷設権に関する意見書

平成12年1月26日

 米国社団法人 米国電子協会(AEA)は、日本における「線路敷設権」について外務省に対し意見を述べさせていただけることに感謝申し上げます。そして、本意見書が、日本政府がNTT、電力会社及び関係会社によるアセスメントプランを含むレビューを行う上での手助けとなれば幸いでございます。

 ご承知のとおり、AEAは米国最大のハイテク産業界を代表する団体です。会員企業は主にコンピュータハードウェア、ソフトウェア、電気通信機器及び通信サービス分野で活躍しております。AEAの会員数は、米国内で3,000社、そして日本国内では150社に及び、現在日本事務所(AEAジャパン)会員企業において、日本人雇用数は6万人を超えております。

 以下に、私共の意見を述べさせていただきます。

「線路敷設権」に関する規則整備

 「線路敷設権」に関する明確な規則が設けられていなかった為、電気通信ネットワーク工事の遅れや費用の増大という問題が発生し、顧客へのアクセスの不平等につながっております。新しい規則には、電柱やとう道へのアクセスを改善し、道路、鉄道等の横断申請手続きのスピードアップさせ、建物や共同住宅への公平なアクセスに関する条項が規定されることが必要であると考えます。

電柱

 現行制度では、電柱の所有者が、通信事業者がケーブルを電柱に添架する際に時間や費用がかかることを強いております。
 一般的に、電柱の所有者は、通信事業者がケーブル添架をする前に幾つものステップを義務付けております。まず始めに、電柱の写真や寸法を含む情報を指定の書類に記入する必要があります。次に所有者は、電柱の追加添架の許容量を査定いたします。この査定は通常4週間から3ヶ月を要しますが、査定期限を定める規則はございません。

 光ファイバーネットワーク工事をする地域の約20%の電柱が査定に合格していないという結果が出ております。検査に合格しなかった電柱には、添架費用を補う為の請求書が送付されます。請求金額は30,000円から500,000円と異なりますが、最悪の場合は2百万円になることもあります。請求の内訳に関しては明示されておりません。また、それに対し異議を唱える機会もありません。3%から5%の確率で電柱への接続を拒否されます。

 申請事業者が、費用が高すぎると判断するか、またアクセスが拒否された場合、ケーブル添架の別ルートを模索するか、その際はネットワークを再度構成し、申請手続きをもう一度やり直すことになります。結果、電柱修理にかかる費用の合計は、平均で150,000円から200,000円となり、加えて添架完了の為の時間は3ヶ月から6ヶ月を要しております。これは1キロメートル設備するにつき、百十万円の追加費用が発生し、6ヶ月の工事遅延となることを意味いたします。

 概して、電柱の所有者は、通信事業者が第三者からのケーブルの借用無くしては郵政省が定めるネットワーク構築の基準を通過することができない状況に追い詰めることができます。申請者には調停に持ち込める機関がなく、電柱の所有者の決定をそのまま受け入れざるを得ないのです。

横断(クロッシング)

 ネットワークの構築時には、道路や線路をケーブルで横断することがよくあります。その場合、それぞれの所有者や管理者は、長い申請手続きをする必要があります。例えば、道路に関してはケーブルが通る道路を管轄する3つの異なる団体(区、自治体、建設省)へ別々に申請する必要があります。申請はそれぞれ異なり、通常2ヶ月から3ヶ月の時間を要します。踏み切りの場合も同様の時間がかかります。

 設備工事終了後でさえも、10%から20%の利用者が、通りを隔てた電柱から住宅までケーブルを引き入れる許可が下りるまで、1ヶ月から2ヶ月待つ必要があります。それ程長い間待てずに、申請をキャンセルする利用者が発生する可能性もあります。加えて電柱の場合には、申請がそのままアクセスに確実に繋がらなく、横断路の所有者又は管理者が申請者に回答する期限も定められておりません。

建物へのアクセス

 建物へのアクセスに関しては、差別の撤廃が焦点に挙げられます。
 AEAとしては建物の所有者の権利を充分尊重いたしますが、テナント側には電話や電気通信サービスの選択権がありません。オーナーはNTT以外のプロバイダーを阻害する権利を持っております。現行法ではAEAメンバー企業が顧客と集合住宅契約や建物に課する契約を締結する前に、ビルのオーナーの許可を得ることを義務付けてられております。こういったオーナーとの交渉は、ひとつの建物につき、2ヶ月から3ヶ月の時間を要することになります。NTTにはこのような規制がなく、それによりNTTの独占状態を生んでおります。

 現在、ビルの所有者はAEAメンバー企業のフランチャイズにおいて30%の建物へのアクセスを阻害し、それによりそれらの企業は10%から25%の利用者を失っております。これらの所有者は、AEAメンバー企業に集合住宅無料接続の意向があるにも関わらず、メンバー企業が許可されたエリア内でサービスを提供する自由を阻んでおります。所有者達は、単に事業者に関する個人的な趣向や新しいケーブルの接続による建物の破損を恐れるあまり、新規企業のサービスを阻害しております。

NTTのとう道と管路

 現在テレコムサービス企業として活動しているAEAメンバーから、NTTのとう道と管路の使用料の高さと品質についての批判が挙がっております。期間に関して言えば、NTTが必要とするネットワークの調査と申請、ケーブルの据付に要する時間は非常に長く、すべてのプロセスを完了するのには1年以上の時間を要しております。この事は競争市場において、致命的な欠陥となると考えます。またNTTは、独自でケーブルの据付をさせないことや、NTTのとう道や管路を使用してのケーブル接続のサブ契約等、テレコムサービス企業にとって多大なる負担となり、非競争的な条件を強要しております。最後に、NTTのとう道と管路の使用料は非常に高いと考えます。業界内の報告によると、NTTのリース料金は諸外国の都市部に比べると8から10倍であります。NTTがとう管や管路の使用権を占有していることと、そのことが新規参入企業のサービスの遅れとコストの増加に結びついていることから、公平で合理的な費用や条件のもとで速やかにサービスを提供できるための法整備が必要と考えます。

敷設工事

 NTTがいまだ独占的な地位を占めている市内回線市場において、公平な競争を促進することは重要であります。現在の規制では、AEAメンバー企業はNTTや電力会社といった歴史的独占的公益事業者のために定められた規則に従うことを強要されております。この状況を打開するため、新規参入事業者のために線路敷設権を開放し、公益性を認める明確な規則を定めるべきだと考える。

結論

 ネットワーク構築を促進し、競争力を高めるために、電柱設置、横断路や建物へのアクセスに関する上記事項を組み入れた規則を定めるべきと考えます。

 最後に、AEAジャパンでは電気通信、情報通信、特にサービス分野における成長と活性化が、健全な日本経済への鍵のひとつであると信じております。
 上記で述べた新規参入を阻止する様々な障害をなくしてこそ、日本における差別のない公平かつ開放的な競争が保証されると考えます。本件に関し、貴省の前向きな検討を期待すると共に、いなかる質問にも回答致します。

 米国社団法人 米国電子協会
 日本担当本部長 所長
 トーマス・P・ローガン



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