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グリーンスパン議長の議会証言

平成14年4月18日

 17日、連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は、米上下両院合同経済委員会において議会証言を行ったところ、概要は以下のとおり。同議長は、景気の先行きは明るいとしながらも、最終需要の動向を注意深く見守るとの見解を示した。景気回復が確実になるまでは、早期の利上げに慎重な姿勢を示唆したことで、5月のFOMCにおける利上げ観測は遠退いた。

【グリーンスパン議長の証言要旨】

(1) 3月のFOMC以降の経済状況は、FOMC後に発表された声明の「在庫投資の著しい反動に下支えられて、経済は相当なペースで拡大している。それにもかかわらず、持続的な景気拡大に必要不可欠な要素である今後数四半期の最終需要の強さは、依然として不確実である」という状況から大きな変化は起きていない。

(2) 最近、在庫の動向は短期的な経済見通しの推進力となっている。2001年多くの産業において、在庫水準が著しく下がったために、速報的な統計では2002年第1四半期において在庫調整のペースが著しく落ちてきたことを示唆している。在庫調整のペースが減速することにより、企業の生産活動が誘発されるため、在庫調整の進展は重要である。

(3) しかし、在庫投資の前向きな効果が消える前に、最終需要が持続的に増加しなければ、経済活動の回復は短期的なものに終わるであろう。ここ数ヶ月、最終需要が強まる傾向にあるという勇気づけられる兆候がみられるが、依然として回復局面は不確実である。

(4) 2001年、家計消費を支えていた重要な要因の一つであるエネルギー価格は、今後数ヶ月好ましくない状況となるであろう。1月中旬以降の世界的な原油価格の上昇に伴い、エネルギー価格が上昇して再び家計の購買力を低下させている。エネルギー価格の上昇が、ここ数週間の取引価格を実質的に超えない範囲に限定されるかぎり、消費に対するマイナスの影響は総じて小さいであろう。しかし、現在の水準を大きく超える原油価格の高騰がかなりの期間続いた場合、消費に対する悪影響は遥かに甚大なものとなるであろう。

(5) 今後、個人消費の伸びを少なくともある程度まで低下させる可能性があるもう一つの要因は、ここ2年間の家計部門全体の金融資産の変化である。所得と家計資産の比は、ピーク時であった99年末の6.3倍から最近では約5.3倍まで低下している。計量経済学によると、資産は消費の重要な決定要因であり、消費支出の約1/5を説明しうる。実際に、95年から99年にかけて減少した貯蓄率の約9/10は、所得に対する資産の割合が上昇した結果である。その後、所得に対する資産の割合が継続的に減少していることが、明らかに消費の伸びを抑制している。

(6) おそらく、消費支出の見通しに影響を与える最も中心的な要因は、最近いくらか回復してきた労働市場の動向であろう。2001年の秋、特に9月11日以降、レイオフの急増によって失業率は急上昇した。しかし、2002年に入るとレイオフは著しく減少し、3月の雇用者数は再び増加に転じた。典型的な景気循環において、失業率の改善は需要の回復にいくらか遅れるが、2001年に急上昇した失業率は5.5%~5.75%の間で推移している。

(7) 確かに、最近の緩和的な金融政策のスタンスは、物価の安定を維持することと矛盾しているかもしれない。しかし、低インフレと今後のインフレ期待に対する穏やかな見通しは、連邦準備制度理事会(FRB)に対して、持続的で堅調な景気拡大が視野に入った段階で、金融政策をインフレ抑制的な方向に調整する十分な機会を与えることになるであろう。

(8) 米国経済は、重大な逆境に直面していたここ6ヶ月間に著しい回復力を示したが、景気拡大の強さは依然として不確実である。過去1年あまり経済に重くのしかかっていた圧力は消えつつあるが、原油価格の高騰といったような別の要因が発生して経済に新たな困難をもたらしている。その結果、最終需要の動向を注意深く見守る必要がある。

(9) 景気の先行きは明るく、家計部門の消費は堅調であり、企業収益と設備投資にも改善の兆しがみられる。現在、金融政策は緩和的であり、継続的に需要を刺激している。生産性の上昇が維持され、インフレ懸念がほとんどない中、景気拡大の基礎は整っている。



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