日本のアフリカとの連帯 -具体的行動-
平成14年6月20日
1.アフリカと共に歩む開発支援-NEPAD・TICADプロセスの相乗効果拡大を目指して
(1)人が中心となる開発の実現
国づくりの基礎が人づくりにあるとの認識は、日本人自身、そしてアジア諸国の経験に深く根ざしたもの。「人間中心の開発」を重視。
- TICADIIでのコミットメントを着実に実施
→TICADII東京行動計画を踏まえた基礎生活分野支援の着実な実施(教育、保健・医療、安全な水の供給に関する分野で98年10月から5年間で900億円(約7.5億ドル)の協力を実施予定。現在までに約630億円を既に実施。)
- 人造りを重視
→教育に関する新規イニシアティヴのアフリカでの実施
-アフリカを含む途上国(低所得国)に対して、教育分野で
2002年度から5年間で2,500億円(約20億ドル)以上の援助
-「成長のための基礎教育イニシアティヴ」
- 「沖縄感染症対策イニシアティヴ」をアフリカで継続的に実施
- 「人間の安全保障基金」を活用し、対アフリカ協力を推進
(2)アフリカの世界経済への統合
開発を進めていくためには、政府開発援助だけでなく、国内資金、貿易、投資など幅広い資金の動員が鍵。途上国産品に対する市場アクセスの改善、貿易分野での途上国の能力向上を重視。
- 後発開発途上国産品に対する無税無枠の市場アクセス供与に向けた努力
→明年度の関税改正に向けて無税品目の追加について具体的な措置内容を早急に検討。
- 貿易関連能力の向上(キャパシティ・ビルディング)・技術支援を推進
→WTOのグローバル・トラスト・ファンドへの拠出を活用
→ジュネーヴにおけるJICA/WTO共催の投資・競争政策等(シンガポール・イシュー)に関するセミナー開催
→JICAによるアフリカ向け貿易研修の実施(エジプト)に向けた努力
→地域機関による貿易・投資関連セミナー開催支援
(3)アジア・アフリカ協力の推進
アジアの開発経験をもとに、地域の実情に併せてアフリカのイニシアティヴを推進するという、新しいアジア・アフリカ協力を実施。
- アジアの経験をアフリカに
→アジアとアフリカのハイブリッド米であるNERICA米(New Rice for Africa)の普及を通じたアフリカにおける食糧安定供給への貢献
→東アジア開発イニシアティヴ(IDEA)の成果を含めた東アジアの開発経験のアフリカ諸国への提供
- アジアとアフリカ間の貿易・投資を促進
→「アジア・アフリカ官民合同フォーラム」開催
(4)アフリカにおける地域協力の推進
地域レベルでの協力推進を通じた市場規模の拡大、開発資源の効果的活用等を支援。
- 国連アフリカ経済委員会(ECA)の効果的活用
→アフリカ開発人材ネットワーク(ECAディスカッションフォーラム)
→開発・貿易関連専門家間の連携強化(セミナー、シンポジウム等)
- 「規模の経済」、経済ネットワーク実現の努力
→アフリカ域内での経済交流促進に向けた、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、南部アフリカ開発共同体(SADC)能力向上支援(セミナー開催等支援)
(5)アフリカのオーナーシップの強化
平和が定着し、開発努力が実を結ぶためには「良い統治」が確保される必要がある。NEPADに基づくアフリカ諸国間の相互審査を支援。
- NEPAD相互審査(ピア・レビュー)メカニズム
→OECDによるNEPADピア・レビューに係るノウハウ 提供への協力
→ECAによるNEPADピア・レビューの実証研究への協力
2.紛争予防と平和の定着-平和への歩みを後戻りさせないため-
紛争地域には援助資金は届かず、貿易・投資を通じた経済的機会も生まれない。紛争から復興に向けたアフリカ諸国の努力や、紛争の犠牲者であるとともに将来の開発の担い手である難民への支援が必要。また、地域社会や市民社会から地域機関に至るまでの紛争予防の文化を広めることが重要。
(1)紛争から復興への支援
- 難民等への支援、地雷対策、小型武器、選挙支援等を包括的に実施
→第一歩としてUNDPによるシエラレオネの元兵士の社会復帰計画を支援(「人間の安全保障基金」309万ドル)
→今後はアンゴラ支援に向け、検討を開始
→国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等を通じた難民等支援の継続的実施
(2)アフリカの地域機関の紛争対処機能の強化
- アフリカ統一機構(OAU)の機能強化
→OAU平和基金を活用した早期警戒、和平会合開催等支援
- その他の地域機関の機能強化
→ECOWAS、SADCによる紛争予防関連努力の支援
(3)草の根レベルでの紛争予防
- 地域社会、市民社会を含めた幅広い紛争予防努力の推進
→国際機関の基金等の効果的活用を通じ、市民社会、地域社会、社会的弱者等が紛争予防能力を向上できるよう支援
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