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「第2回アフリカ開発会議(TICAD II)」
-フォローアップの現状(例)-


平成14年8月


目  次

序文

1.社会開発

(1) 教育・保健医療・水供給分野で向こう5年間を目途に900億円程度の無償資金協力を目指す。
(2) 沖縄感染症対策イニシアチブ
(3) アフリカにおける寄生虫対策の推進
(4) リオ根絶の推進
(5) 保健医療分野アフリカ開発支援セミナー

2.経済開発

(1) ヒッパロス・センター(アジア・アフリカ投資・技術移転促進センター)の設立
(2) 「アフリカ・アジア・ビジネス・フオーラム」の開催
(3) アフリカにおける稲作振興のための援助- I 、 II
(4) 南部アフリカ地域における観光開発
(5) 債務管理に関する人造り事業
(6) 債務救済
(7) 経済開発とアフリカにおける地域ダイナミックス:東アジアの経験からの教訓
(8) 南南協力を通じたアフリカの一次産品多様化
(9) アジアからアフリカへの直接投資に関するニーズ・アセスメント

3.開発の基盤

(1) UNDPアフリカ・ガヴァナンス・フォーラム支援
(2) AU(アフリカ連合)紛争予防管理解決メカニズム支援
(3) UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)への支授(帰還民の自立促進支援)
(4) アフリカの対人地雷問題
(5) 民主化研究セミナー開催
(6) OAU(アフリカ統一機構)によるアフリカ女性・児童の難民・帰還民・国内避難民の国家再建参加強化セミナー支援<
(7) アフリカ紛争予防・解決に関する政策研究交流
(8) 児童兵の社会復帰に関する国際ワークショップ/シンポジウムの開催
(9) シエラレオネにおけるDDR計画支援
(10) シエラレオネ特別法廷に対する支援

4.南南協力

(1) 今後5年間で2000名のアフリカの人材が南南協力の下で研修を受けることを支援
(2) 第3回アジア・アフリカ・フォーラム(AAF III )の開催
(3) 日仏マレイシア協力
(4) UNV(国連ボランティア)を活用したアジア・アフリカ支援
(5) e-TICAD

5.協調の強化

(1) アフリカ人造り拠点設置構想(モデルケース:AICAD:African Institute for Capacity Development)
(2) 開発研究機関ネットワーク構築
(3) 日・アフリカ交流構想
(4) 特定分野域内協力ワークショップ

6.フォローアップ・メカニズム

(1) 東京行動計画の目標に関するレビュー会合
(2) TICAD閣僚レベル会合

序文

 東京行動計画はアフリカ諸国とTICAD共催者の協力の下で起案され、1998年10月に開催されたTICAD IIにおいて、最終的に採択された。同計画は、21世紀のアフリカ開発に向け、貧困削減と世界経済へのアフリカの統合をテーマに、開発への目標を包括的に設定し、それらを達成するための行動指針を提供するものである。行動指針は、アフリカ諸国とその開発パートナーの双方を対象とするものであり、我が国は、開発パートナーとして、これらの行動指針に沿って着実にフォローアップを実施してきている。
 TICAD II以降、世界では多くの開発イニシアティヴが発表され、また、我が国もアフリカ諸国に対するバイのプロジェクトを実施してきているところ、本ペーパーでは、社会開発、経済開発、開発の基盤の各分野において、南南協力、パートナーシップの強化を軸に、様々な開発目標を達成するためのアフリカ自身の取り組みを支援、促進するための我が国の具体的イニシアティブを例示する。


1.社会開発

(1) 教育・保健医療・水供給分野で向こう5年間を目途に900億円程度の無償資金協力を目指す。

(イ) これらの3分野について、98年10月から02年7月までの交換公文ベースでの無償資金協力実績は、以下の通り。

教育      260.27億円
保健医療      199.37億円
水供給      242.19億円
累計      701.83億円

 これらの無償資金協力の結果、約240万人の学童に教育の機会が提供され、約290万人に安全な水が供給されることとなった。また、保健・医療分野では病イン・クリニックの整備、EPIコールド・チェーンの確立、ポリオワクチン・避妊具などの供与を実施した(受益者は2億1500万人に上る見込み)。

(ロ) これらの3分野について、98年度から01年度までの間に、開発調査とし累計18件(教育3件、保健医療3件、水供給12件)の調査を行っている。開発調査では、対象分野に係る対象国・地域の現状を調査し、これを改善するための計画を相手国の関係者との協議を通じて策定・提言することにより、当該分野におけるアフリカ諸国自身による取組を支援している。マラウィでは、教育分野で行った開発調査において作成された基礎教育改善のための教育計画案は同国の多くの県議会で承認されているほか、保健医療分野で行った調査は、保健医療施設拡充の具体的計画の策定に活用されている。

 また、プロジェクト形成調査(27件)の実施や、企画調査員(24名)の派遣を行い、日本による協力の効果的実施の観点から、コレラの分野における案件形成のための情報収集・整理などを行っている。

(2) 沖縄感染症対策イニシアチブ

 日本は、94年2月、「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII)」を発表し、1994年~2000年度の7年間に総額30億ドルを目途にこの分野に対する支援を行う旨発表した。(1)人口・家族計画への直接的協力(母子保健・家族計画、家族計画教育・広報、人口統計)、(2)人口・家族計画への間接的協力(基礎的な保健医療分野、初等教育、女性を対象とした職業教育・女子教育)、(3)エイズ分野への協力(予防に関する啓発・教育、検査技術の移転、エイズに関する調査・研究への協力)、による包括的なアプローチを進めている。GIIの実績は1994~2000年度の7年間で当初目標を大幅に越える約50億ドルとなった。

 2003年3月には、ナイジェリアに感染症対策を含む人口・保健分野の日米合同プロジェクト形成調査団、2月にはマラウィには感染症対策を中心とする保健分野の日加合同プロジェクト形成調査団を派遣した。また2003年6月には「保健分野における日米パートナーシップ」文書に署名し、保健分野における日米連携をより深化させることとしている。

 また、2000年7月の九州・沖縄サミットの機会に、日本は、「沖縄感染症対策イニシアティブ」として、個別の感染症対策、研究ネットワークの構築、基礎教育、水供給等の分野での協力を強化するため、今後5年間で総額30億ドルを目処とする協力を行う旨表明し、当初1年半で約20億ドルにのぼる支援策を決定・実施に移している。さらに九州・沖縄サミットを契機として、感染症対策に国際社会が一丸となって取り組む大きな流れを受け、G8ジェノバ・サミットで世界エイズ結核マラリア基金(GFATM)の設立が決定された。日本も同基金に2億ドルの拠出を表明しており、理事会副議長を勤めるなど積極的に貢献している。

(3) アフリカにおける寄生虫対策の推進

 アフリカ(ケニア中央医学研究所(KEMRI)及びガーナ大学(野口記念医学研究所)及びアジア(タイのマヒドン大学)においてWHO(世界保健機構)とも協力してネットワーク拠点としての「人造り」「研究活動」センターを形成するため以下の活動を実施した。

98年7月     プロジェクト形成調査団派遣。
11月-99年2月 アフリカ諸国に企画調査員派遣(アジアにも同様の企画調査員を2名派遣)。
99年3月     第1回国際寄生虫対策ワークショップ開催。アジア・アフリカ6ヶ国20名の研修員受入。
10月     第2回国際寄生虫対策ワークショップ開催。アジア・アフリカ14ヶ国18名の研修員受入。
2000年1月     ケニア、ガーナ、ザンビア、ジンバブエに再度、企画調査員派遣。
3月     国際寄生虫対策アジアセンタープロジェクト開始(2000.3-2002.3於:タイ
4月     ケニア感染症・寄生虫症研究対策プロジェクト事前調査団派遣。
8月     上記プロジェクト短期調査員派遣。
11-12月     第3回国際寄生虫対策ワークショップ開催。アジア・アフリカ13ヶ国16名の研修員受入。
2001年10月     ガーナ第三国研修事前説明ワークショップ開催(アフリカ8ヶ国より10名の行政官)。
11月     第4回国際寄生虫対策ワークショップ開催。アジア・アフリカ12ヶ国17名の研修員受入。
2002年2月     ケニア寄生虫関係者を対象とした教育ワークショップを開催。
2月     ガーナにおいて第三国研修を実施(アフリカ8ヶ国より17名の行政官が参加)。
8月     ケニアにおいて寄生虫対策国際シンポジウムを開催(アフリカ5ヶ国より6人の政策担当者レベルが参加)。

(4) リオ根絶の推進

 日米は、世界のポリオ根絶の推進のため、必要なポリオワクチンや医療器材等の供与を行ってきている。加えて日本は、日本の青年海外協力隊による草の根レベルの協力を通じて、アフリカにおけるポリオ根絶の推進に一層取り組んでおり、99年7月以来、協力隊員をケニアへ20名、ニジェールへ7名派遣している。更に2001年4月よりエティオピアにおいてポリオ対策技術協力プロジェクトを実施している。

(5) 保健医療分野アフリカ開発支援セミナー

 アフリカ各国の保健医療分野における開発計画に焦点を当て、厚生労働省と連携しつつアフリカ諸国の保健医療分野担当行政機関の高級行政官と各国の保健医療分野における開発計画及び保健医療開発の現状につき情報交換することを通じて、日本を含めた今後のドナー諸国、機関とアフリカ各国の本件分野における協力のあり方を模索する端緒とすることを目的として、外務省と厚生省が協力して2000年3月6日及び7日に東京で第1回セミナーを開催した(題材はセクター・ワイド・アプローチ)。

 2000年11月及び2002年3月には、東京でそれぞれ第2回及び第3回セミナーを「HIV/AIDS対策における南南協力の推進」をテーマに開催し、アフリカとアジアや南米諸国との間でエイズ対策に関する経験と知識の共有を図るとともに、これらの国々による「南南協力」を促進させていくことの重要性を確認した。同セミナーの結論はサマリーという形で採択され、同年12月の「感染症対策沖縄国際会議」に反映された。荒木政務次官の基調演説(堀内大使代読)は日本のHIV/AIDS対策に関する初めての政策スピーチとなったが、この中で、日本は、HIV/AIDS対策は日本の対アフリカ政策の最重要課題の一つであることを表明した。同セミナーは、日本が2000年7月に発表した「沖縄感染症対策イニシアティヴ」のモメンタムを、2001年1月の森総理のアフリカ訪問、更には同年6月の国連エイズ特別総会へと引き継いでいく意味でも意義があった。


2.経済開発

(1) ヒッパロス・センター(アジア・アフリカ投資・技術移転促進センター)の設立

 日本のUNIDO(国連工業開発機関)への拠出金により実施されるプロジェクトで、1999年8月、マレイシアにセンターを設立。アフリカ7カ国(ウガンダ、ガーナ、ジンバブエ、セネガル、象牙海岸、タンザニア及びモザンビーク)の経済状況、投資環境(法制度、労働力等)、投資機会等に関する情報のインターネット(URL:www.unido-aaitpc.com)を通じた提供の他、アジア人投資家ミッションのアフリカへの派遣やアジア企業への投資促進セミナーの開催、アドバイスの提供等を実施することにより、アジアからアフリカへ投資、技術移転を促進することを目的としている。

 ウェブサイトへのアクセス件数は公開以来、増加してきており、全世界から1日平均約160件のアクセスがある。

 2000年10月、アジア人投資家(マレイシア、韓国)や商工会議所職員等によるミッションをウガンダ、タンザニアへ派遣(旅費、滞在費ともに参加者の自己負担)。政財界要人表敬、投資セミナーの開催、1対1の商談や企業訪問等を実施した結果、商工会議所間で2件、民間企業間で3件の協力協定等のメモランダムが締結された。

 2002年3月には第2回ミッションをセネガル、タンザニアへ派遣した。マレイシア、インドなど企業・商工会議所関係者等が参加し、一対一の商談や企業訪問を行った結果、商工会議所間で3件の協定等メモランダムが締結された。

(2) 「アフリカ・アジア・ビジネス・フオーラム」の開催

 98年10月に東京で開催された第2回アフリカ開発会議(TICAD II )において、小渕総理(当時)が、アジア・アフリカ間の直接投資と貿易の促進を図ることを目的に、日本の対アフリカ支援策のひとつとして表明したものであり、日本はUNDP(国連開発計画)に拠出している「人造り基金」を活用して財政支援を行った。

 参加企業の選定にあたっては、UNDPが世銀グループの一つであるMIGA(多数国間投資保証機関)と連携して、独自のネットワークを使って予め関心を示した企業をリストアップし、その中からビジネス取引の可能性が高いと判断された分野を中心に個別面接を実施するなどして参加企業を厳選した。

 フォーラムでは、予めMIGAが組み合わせをセットし、アジア企業とアフリカ企業との一対一による交渉、いわゆる「お見合い」を通じて、相互にビジネスの可能性を探求した。

 第1回フォーラムは1999年10月、マレイシアで開催され、アフリカより23カ国計110社、アジアより6カ国計120社が参加し、一対一の商談等を行った結果、インドとマラウィによるショックアブソーバー組立のジョイントベンチャーなど、27件の取引や投資メモランダム調印等の合意に達し、取引額は約2000万ドルに上がった。

 第2回フォーラムは2001年7月、南アフリカのダーバンにて開催された。アフリカより17カ国計108社、アジアより6カ国計60社が参加した。閉会式の時点で、ケニアと韓国の企業による住宅団地建設のジョイントベンチャーや、タンザニアとマレイシアによる製薬、薬品市場開拓のためのジョイントベンチャーなど、メモランダム調印等取引の合意件数は104件(うちアフリカ域内取引は22件)、取引額は約8000万ドルの見込み。

(3) アフリカにおける稲作振興のための援助- I 、 II

 アフリカ諸国は依然としてGDPの多くの部分を農業に依存しており、且つ、各国の食糧安保の観点からも持続的な農業開発は重要であることを踏まえ、アフリカの伝統的な食物と比べて栄養価が高く、保存が利き、流通するのに便利な米をとりあげ、現在米の需要が増加している国が多い西アフリカ等において米の生産力増大と普及を促進するため以下の案件を実施している。

(イ) 象牙海岸において、適切な技術の試験及びデモンストレーション等の技術移転を行い、将来的には近隣国にも技術移転を図るため99年12月に稲作を取り入れた持続的な農業経営の実証とその普及体制の改善を目的とした技術調査に向けて、実施協議調査団を象牙海岸に派遣。同調査を踏まえ、2000年3月より、象牙海岸中部及び南部のプロジェクトサイトにおける「小規模灌漑営農改善計画(プロ技)」を実施中。

(ロ) WARDA(西アフリカ稲開発協会:West African Rice Development Association)とIRRI(国際稲作研究所:International Rice Research Institute)等との間で共同研究されているアジア稲とアフリカ稲との交配による新品種(陸稲)開発を支援し、西アフリカ地域のコメの増産を図っている。既にアジア稲(多収量)とアフリカ稲(疫病・害虫に強い)の双方の特性を活かしたいくつかの品種(NERICA:New Rice for Africaと呼称)の開発に成功している。品種研究と平行して現地住民の嗜好にあった品種の選択やその普及活動・種子増産を支援中である。

(4) 南部アフリカ地域における観光開発

 南部アフリカ諸国の観光当局に対する機能強化の一環として、1999年1月13日及び14日に日・南ア・パートナーシップ・フォーラムにて本件に関し協議を行い、南アにおいては開発調査「観光振興調査」を実施した。99年から2001年度までにおいてはJICA(国際協力事業団)が地域別特設研修として「南部アフリカ地域観光振興セミナー」を実施した。同セミナーは、観光客誘致に関するわが国の経験やノウハウ、及び日本人やその他アジア地域の観光客に対する観光マーケティング戦略に焦点を置き、3年間で計33名の研修員を受け入れた。

(5) 債務管理に関する人造り事業

 TICAD II では、人造りこそ開発にとり重要であるとされ、その中で対外債務の重みも認識された。特に、アフリカ側の債務問題の持続的な解決を図るためには、HIPCsの改善と同時にアフリカ諸国の経済・財政・金融政策の立案と遂行能力といった債務管理能力の強化のための人材育成が重要との観点から、債務に関する人づくりのため、一連の「債務管理セミナー」を開いている。

 1999年8月30、31日にケニア(ナイロビ)においてわが国、ケニア政府、IMF、世銀、UNDPの共催により、TICAD II ハイレベル債務管理セミナーを実施。「アフリカの債務問題の恒久的解決を求めて:アフリカの視座」と題して、議長をモハエ・ボツワナ大統領が務め、20ヶ国の蔵相、中央銀行総裁等、5国際機関の代表、ツツ南ア大司教等の出席を得て開催された。

 1999年11月29日から12月3日までシンガポールにおいて、わが国とシンガポールの共催により、IMF、世銀、UNDPの後援を得て、実務者レベルのセミナーをJICAの第3国研修をベースに実施。英語圏アフリカ13カ国の大蔵省、経済企画庁、中央銀行等からシニアレベルの職員31名が参加した。

 2000年、ナイジェリアの債務管理能力の向上を目的として、IMFと共同してナイジェリアの金融分野に対する人材育成・組織強化のための事業に「人造り基金」より50万ドル拠出した。

 2000年4月10日から14日にはテュニジアにおいて仏語圏アフリカにおける実務者レベルのセミナーをJICAの第三国研修により実施した。

(6) 債務救済

 98年10月に開催されたTICAD II において債務救済無償の対象拡大の検討が発表された。これを受け99年度より、従来より実施されているLLDC5カ国(ウガンダ、タンザニア、マラウイ、モーリタニア、ギニア)について、救済の対象となる円借款債務を97年度末(従来は87年度末)のものにまで拡大し、また、新たなLLDC2カ国(マリ、ザンビア)について、88年度から97年度末までの円借款債務を対象とすることを決定。この結果、現在の債務救済無償対象国は、LLDC22カ国、MSAC6カ国の計28カ国となっている。

 TICAD II により発表された債務救済無償の対象拡大について、平成13年度アフリカのLLDC諸国向け債務救済無償は約58億円を実施し、平成14年度予算では約46億円が計上されている。これまで、返済が確認された国に対し、着実に債務救済無償を実施してきている。

 債務救済無償の拡大に加え、1999年4月、日本は国際的な重債務貧困国支援の枠組み(拡大HIPCイニシアティヴ)の下で、重債務貧困国に対するODA債権の削減率を100%に拡大することを発表した。また、2000年4月には、国際的枠組みの下で、非ODA債権の削減率を100%まで拡大することとしたほか、世界銀行の多国間債務救済基金に対し、既拠出分と合わせ、2億ドルまでの拠出を行うこととした。

 重債務貧困国のうち、拡大HIPCイニシアティヴの適用が決定されたのは26ヶ国で、このうち22ヶ国がアフリカ諸国であるが、これらの国への債務救済に係る日本の貢献は約36億ドルに上っている(なお、26ヶ国全体に対する日本の貢献は約48億ドル)。

(7) 経済開発とアフリカにおける地域ダイナミックス:東アジアの経験からの教訓

 東アジアの経済的成功をもたらした産業・投資・貿易政策の特徴を分析し、そこから有益な教訓を引き出し、最終的にはアフリカ諸国に応用していくことを目的としたUNCTADの「東アジアの経験プロジェクト」がわが国拠出金によりマレイシア(96年)、ジンバブエ(97年)、モーリシャス(98年)において実施された。これらには貿易開発問題に関する著名有識者、各国政策担当者が招かれ、東アジアの経済成長の様々な要因とアジアの経験のアフリカへの適用可能性が議論された。さらに、先般のアジア経済危機を踏まえて、途上国での金融管理問題を扱うワークショップが2001年3月にエジプトで開催された。

(8) 南南協力を通じたアフリカの一次産品多様化

 アジア及びアフリカの起業家に貿易と投資の多様化に関する具体的なビジネスプランについてお互いに議論する機会を提供することにより、アフリカの一次産品の多様化を支援することを目的としたUNCTADの「一次産品多様化プロジェクト」がわが国拠出金を用いて96年より実施されている。これまでインドネシア、タイ(96年)ジンバブエ(97年)及びマレイシア(99年)においてワークショップ、スタディツアー及びビジネス・フォーラムを開催し、民間ベースの南南協力を促進してきた。さらに、2000年12月にはラテンアメリカ・アフリカ間の協力関係促進のため、ブラジルでアフリカ・ラテンアメリカ・ビジネス・フォーラムが開催された。

(9) アジアからアフリカへの直接投資に関するニーズ・アセスメント

 アフリカの投資環境を調査分析し、経済的に成功したアジア企業の経験を活かしながら、アジアからアフリカへの直接投資を増加させることを目的としたUNCTADの「アジアからアフリカへの直接投資に関するニーズ・アセスメント・プロジェクト」が、日本がUNDPへ拠出している人造り基金、南南協力基金を用いて99年から実施されている。ボツワナ、ガーナ、マダガスカル、モザンビーク、タンザニアの5カ国について投資環境を調査したほか、2001年7月には第3回国連LDC会議の関連行事として南アフリカで、上記5カ国の代表とアジアの企業家等とのハイレベル円卓会合を開催し、アフリカの開発におけるアジアからの直接投資の役割について議論した。


3.開発の基盤

(1) UNDPアフリカ・ガヴァナンス・フォーラム支援

 UNDPが毎年開催するアフリカ・ガヴァナンス・フォーラム(AGF)での検討を通じて形成されるアフリカ各国のガヴァナンス支援プロジェクトに対し、UNDP人造り基金への日本拠出金から資金支援を行うことを検討している。

 99年6月にはマリで開催された第3回アフリカ・ガヴァナンス・フォーラム及び2000年9月にウガンダで開催された同第4回フォーラムに対し、日本はUNDP人造り基金より開催経費支援としてそれぞれ30万ドル及び33万ドルの拠出を行っている。

(2) AU(アフリカ連合)紛争予防管理解決メカニズム支援

 全アフリカ諸国・地域(除モロッコ)が加盟する地域機関であるAU(アフリカ連合:2002年7月、OAU(アフリカ統一機構)より発展・移行)は、1993年「紛争予防管理解決メカニズム」を設立し、アフリカの紛争に包括的に対応するための体制を整備することとした。日本は、同メカニズムの財源としてメカニズムと同時に設置されたAU平和基金に1996年度より拠出している。同拠出金は、AUのイニシアティブ(早期警戒システムの構築、紛争解決のための和平会議開催等)の支援のために利用されている。

 なお、過去の拠出実績は以下の通り。

  96年度      50.0万ドル
  97年度      45.0万ドル
  98年度      25.4万ドル
  99年度      25.0万ドル
  00年度      15.0万ドル
  01年度      20.0万ドル
  累 計      180.4万ドル

 上記を利用して、現在までに12件を実施済または実施中。

(3) UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)への支授(帰還民の自立促進支援)

 帰還民の再統合を促進するため、「零細事業設立等のためのマイクロファイナンス事業」を支援しており、ザンビア、リベリア、シエラ・レオーネ、マリ、ウガンダ、ルワンダ、トーゴ-の7カ国を対象として本件実施のために1998年に拠出金150万ドルを支出している。

(4) アフリカの対人地雷問題

 日本は、対人地雷問題に関して、1997年12月オタワにおける対人地雷禁止条約署名に際して小渕外務大臣(当時)より、地雷除去及び犠牲者支援等の分野で1998年から5年間を目途として100億円程度の支援を行う旨発表した。また、1998年10月東京で開催されたTICAD II においても、アフリカ、特に南部アフリカにおける地雷除去活動及び犠牲者支援を表明した。

 TICAD II 以降2001年末までに日本はモザンビークに対し、国際機関を通じた支援、草の根無償等により総額約280万ドルの支援を行った。また国連地雷対策支援信託基金を通じて、エティオピア・エリトリア国境紛争解決のための協力として、2000年9月に50万ドル、2002年1月に約56万ドルの支援を行ったほか、2002年1月にスーダンにおける緊急地雷対策事業に約40万ドルの支援を行い同国における和平促進のために貢献している。この他、アンゴラ、ルワンダ、チャードにおける地雷対策活動を支援してきている。

(5) 民主化研究セミナー開催

 民主化研究セミナーは、開発途上国の指導的立場にある者に対し、民主的統治についての日本の考え方や経験を理解し、民主化の参考にしてもらおうと、平成4年度から開始された研修プログラムであり、アフリカも対象として実施中。

 今までのアフリカ民主化セミナーの開催実績は以下の通り。

 4年度 アフリカ地域(9カ国より1名ずつ)
 5年度 アフリカ地域(ガボン、ジンバブエより各1名)
 6年度 南部アフリカ地域(南ア10名、9カ国より各1名)
 8年度 アフリカ地域(8カ国より10名)
 9年度 仏語圏アフリカ(10カ国より各1名)
 10年度 英語圏アフリカ(ケニア、タンザニア、ナイジェリア、ザンビア、ジンバブエより計9名)
 11年度 10月24日~11月3日、アフリカ国会議員研修(ケニア、ウガンダ、タンザニアより各5名)実施。
 12年度 ケニア、南ア、ザンビア、マダガスカル、タンザニア、モザンビーク(以上各国より3名参加)、ナイジェリア(10名参加)。
 13年度 英語圏アフリカ(ケニア、タンザニア、ボツワナより各3名、南アより2名)
仏語圏アフリカ(カメルーン、象牙海岸、マリ、セネガルより各3名)

(6) OAU(アフリカ統一機構)によるアフリカ女性・児童の難民・帰還民・国内避難民の国家再建参加強化セミナー支援

 98年10月12から15日にOAU事務局はアディス・アベバにおいてアフリカの女性及び児童の難民、帰還民、国内避難民による紛争終結後の国家再建への参画を強化するためのセミナーを開催。(開催経費のうち5万ドルは、OAU平和基金日本拠出分による拠出。)行動計画(教育、保健等の分野で実施すべき政策をリストアップした上で、各国に行動計画実施委員会を設立すべきことを勧告)を採択。

(7) アフリカ紛争予防・解決に関する政策研究交流

(イ) 平成12年度「日・アフリカ交流フォーラム」事業として、財団法人日本国際問題研究所との共催、日本経済新聞社、ジャパンタイムズの後援により、国際シンポジウム「アフリカにおける紛争と平和共存の文化」を2001年2月15日、16日の両日、東京において開催した。同シンポジウムには、アフリカ諸国の元国家元首、元閣僚のほか、国連、ユネスコ並びに、アフリカ、欧米等の大学、研究所、NGO等からアフリカ問題の専門家が参加した。

 同シンポジウムはアフリカにおける紛争の予防・解決には長期的なアプローチで対処していく必要があり、「平和共存の文化」の構築が必要であるとの問題意識の下、永続的な平和を定着させるための包括的な紛争予防のアプローチの視点から「平和共存の文化」の構築と、「平和共存の文化」を構築する担い手となりうるアフリカの「市民社会」の役割につき議論した。

(ロ) 平成13年度「日・アフリカ交流フォーラム事業」として、財団法人日本国際問題研究所との共催、朝日新聞社、ジャパンタイムスの後援により、「アフリカにおける『国家(政治社会)』とガバナンス(統治)に関する国際シンポジウム」を2002年3月27、28日の両日、東京において開催した。同シンポジウムには国連、OAU(アフリカ統一機構)、ECA(国連アフリカ経済委員会)、世銀、アフリカ開発銀行等の専門家・実務家の他、アフリカ、欧米等の大学、研究所等から専門家が参加した。  同シンポジウムでは、21世紀においてアフリカが紛争予防・解決を図り、持続可能な開発を達成するためには、国家のガバナンスの向上及び改善を図る必要があるとの問題意識に基づき、国会統治のあり方や政治のあり方を中心にどのようなガバナンスのあり方が望ましいのか、アフリカにおいてはどのような国家の建設が可能なのか、どのような民主主義が適切なのか、こうした目的に達するためにはどのような解決策がありうるのかといった種々の問題につき検討しつつ、具体的な政策のあり方を提言した。

(ハ) 日本はこれまで、1998年に「紛争予防戦略に関する東京国際会議」を開催したほか、アフリカの紛争問題に関しては、日・アフリカ交流事業として過去3度(平成7年度、平成8年度及び平成11年度)シンポジウムを開催しており、紛争の原因、予防・解決、及び紛争後の国家再建から紛争予防・解決のための準地域機関とNGOの役割まで議論した実績がある。

(ニ) また、単に関係者を招くだけでなく、アフリカ側における政策研究を支援するとともに、日本とアフリカの研究機関・研究者間のネットワークの構築を諮ることの重要性に鑑み、平成14年3月、プレトリアにおいて(財)日本国際問題研究所、南アフリカ国際問題研究所等が共催でアフリカの紛争予防・解決とガバナンスの関係に関するシンポジウムを開催した。これは、紛争予防・解決とガバナンスの関係についての全般的な分析・評価を行い、ガバナンス向上支援のための具体的施策の提言を行うことをも視野においたものである。

(8) 児童兵の社会復帰に関する国際ワークショップ/シンポジウムの開催

 財団法人国際開発高等教育機構(FASID)及びサーチ・フォー・コモングランド(米NGO)との共催、UNDP、朝日新聞社、NHK、及び日本ユニセフ協会の後援により「児童兵の社会復帰に関する国際ワークショップ/シンポジウム」を2000年11月19日より21日まで東京において開催した。

 同ワークショップ/シンポジウムには、国連、UNICEF、大学、研究所等のほか、アフリカにおいて児童兵の社会復帰支援に関わるNGO等の専門家が参加した。同ワークショップでは、アフリカの紛争地域において、紛争後の地域の長期的な発展や紛争予防の観点から重要課題とされている児童兵の社会復帰支援に関わる問題提起を行い、社会復帰支援を行う上で考慮すべき指針を検討するとともに、日本政府に対する提言を行った。

 更に、日本政府は同提言のフォローアップの一環として児童兵の社会復帰に関する実態調査を専門家に委託して実施し、同報告書は2001年3月提出された。

(9) シエラレオネにおけるDDR計画支援

 シエラレオネにおけるDDR計画(元兵士の武装解除・動員解除及び社会復帰計画)支援のため、日本は(イ)シエラレオネのDDR計画の円滑な実施を支援するため、1998年12月に国連シエラ・レオーネ信託基金に96万ドルを拠出。同拠出により、元児童兵に対する精神カウンセリング・教育リハビリ、元兵士への職業訓練、元兵士及び紛争被災青少年への技術研修等、計19のプログラムが実施されてきている。また、(ロ)シエラレオネ大統領・国会議員選挙が行われた2002年5月14日、日本は、「シエラレオーネにおける職業訓練及び経済的自立を通じた元兵士の社会復帰支援プロジェクト」に対し、国連人間の安全保障基金を通じ309万ドルの拠出を決定した。このプロジェクトは国連開発計画(UNDP)が国連シエラレオネミッション(UNAMSIL)と協力して実施するものである。

(10) シエラレオネ特別法廷に対する支援

 2000年8月の国連安保理決議1315により、シエラレオネ内戦に関連する戦争犯罪、人道上の犯罪、国際人道法違反に重大な責任を追う者を対象として特別法廷が創設されることが決定された。日本は、今後のシエラレオネにおける国民融和、復興、紛争再発防止のために、右法廷の立ち上げ、活動経費として、2001年末、50万ドルの拠出を行っている


4.南南協力

(1) 今後5年間で2000名のアフリカの人材が南南協力の下で研修を受けることを支援

 日本はTICAD II 開催時に、アジア諸国・北アフリカ諸国等で行うJICA(国際協力事業団)第三国研修に5年間で1000名を、またインドネシア政府がブルネイの資金協力を得て1998年2月に建設した「インドネシア南南技術協力センター」をアジア側の南南協力の拠点と位置づけ、ここに向こう5年間で約1000名程度のアフリカ諸国の研修生を受け入れるための資金を支援すると表明していた。

 これに対する現在までの実績は以下の通り。

(イ) JICAスキームによる1000名受入れ

9年度 第三国研修実績ベースではアフリカ人研修生は225名
10年度 同284名
11年度 同503名
12年度 同434名
13年度 同468名

(ロ) UNDP人造り基金による1000名受入れ

 10年度:インドネシアの南南協力センターに対し、一般プロジェクト無償による機材供与(研修用機材等1.33億円)を実施。

 12年7月~14年7月:南々協力センターに対しJICA専門家を派遣。

 今後はUNDP人造り基金を使って、研修生を受け入れる予定。UNDP側も了解。

(2) 第3回アジア・アフリカ・フォーラム(AAF III )の開催

 TICAD II で採択された「東京行動計画」に基づき、アフリカ諸国が具体的な行動に取り組むこと及びアフリカ開発が国際社会の優先事項として定着し、日本を含む開発パートナーがアフリカ諸国の努力を支援していくことが重要であるとの考えから、過去二回のアジア・アフリカ・フォーラムで交わされた議論を踏まえ、アジアとアフリカ諸国が「キャパシティ・ビルディング」、「農業開発」及び「民間部門開発」の3分野について具体的な開発経験を共有し、将来に向けてとるべき方策について議論を行うことを目的に、2000年5月23日から25日までマレイシアで開催し、「クアラルンプール・ニューミレニアム・ステートメント」を採択した。

(3) 日仏マレイシア協力

 1997年、橋本総理大臣(当時)、マハディール首相、シラク大統領のイニシアティヴの下、日仏マの三国がアフリカ開発支援に関し協力を行うことが決定された。その後、各国の特別代表(日:有馬政府代表、仏:ペイユ元OECD事務総長、マレイシア:カミール元外務次官)が定期的に会合を行っている。

 アフリカ開発に関する幅広い分野での協力が想定されているが、取りあえずの担当分野として、日仏マは各々人材育成、森林開発、農業について主に提案を行い、これを踏まえ三ヶ国で具体的なプロジェクトについて検討を進めてきている。

 日仏マの枠組みのこれまでの成果として、日本の提案により昨春、マレイシアのCIAST(職業訓練指導官・上級技能訓練センター)において19名のアフリカ人の研修を行った。

 2000年9月には、パリで第5回特別代表会合が開催され、主に以下の諸点につき協議が行われた。

CIASTでの研修プログラムの継続に向けた改善策
マラウイ・モザンビークにおける食糧増産プログラム
マダガスカルにおける植林プログラム

 今後の予定としては、日仏マ三国の専門家会合を早期に開催し、前回特別代表会合にて取り上げられた上記諸点、並びに新たな案件発掘に関し更に詳細な議論を行うこととなっている。

(4) UNV(国連ボランティア)を活用したアジア・アフリカ支援

 アジアからアフリカへの知恵と経験の移転を促進するため、技術を有するアジア青年をアフリカの開発現場に派遣し、その技術を生かした協力を行うことにより、アフリカ開発に有用な貢献をするのみならず、アジア青年のアフリカ理解も高めることによりアジア・アフリカ間協力を拡大することを目的としている(また、アジアに限らず北アフリカやわが国の青年が協力することもある)。

 2002年4月現在、農業、民間セクター等の分野についてアジア出身のボランティア10名がアフリカ各国に派遣されている。

(5) e-TICAD

 UNDPと連携し、アフリカ諸国(ナイジェリア、カメルーン、タンザニア、ザンビア)のIT促進を図るプロジェクトで、2000年2月より開始。IT政策担当者及び技術者のキャパシティー・ビルディングを図ることを目的として、これまでマレイシア(2002年3月)及びベナン(2002年7月)においてワークショップを開催。

 具体的には、

(イ) APDIP(Asia-Pacific Development Information Programme)の経験と専門性を生かしてITに関するワークショップ、トレーニング等を行い、アフリカのIT促進のための人材を養成する。

(ロ) UNVを活用し、主にアジアの人材をアフリカに派遣することにより、アジアからアフリカへの技術移転の促進を図る。

(ハ) APDIPの経験を生かしたパイロットプロジェクトの実施により接続率の向上を図る。

(ニ) トレーニング、インターネット・サービスの提供、接続率向上等を通じて民間セクターとのパートナーシップ育成を図る。


5.協調の強化

(1) アフリカ人造り拠点設置構想(モデルケース:AICAD:African Institute for Capacity Development)

 アフリカにおける人造りの拠点を設置する。そのモデルケースとして、ケニアのジョモケニヤッタ農工大学(JKUAT)への日本協力(約20年間のプロジェクト方式技術協力及び約100億円の無償資金協力)が成果を挙げていることを踏まえ、JKUATをベースとして、他ドナーとの連携も積極的に行いながら周辺国への裨益を念頭に置きつつ、アフリカ諸国の人造りのための研修・普及、共同研究開発、情報の収集・発信機能等を持つ人造り拠点(AICAD)を整備するプロジェクト。

 第 I フェーズ(00年8月~02年7月)として、長期専門家2名を派遣して、AICADを設立し、その後EAC諸国を中心に事業の本格化を図る5年間の第 II フェーズを2002年8月から実施中。

(2) 開発研究機関ネットワーク構築

 第2回アフリカ開発会議で採択された「21世紀に向けたアフリカ開発・東京行動計画」にて重要性が認められたアジア・アフリカ・ドナー国及び国際機関の研究・研修機関の効果的な協力のために1999年、研究機関のネットワークが国際開発高等教育機関(FASID)を事務局として構築された。

 2000年度から2001年度に書けて比較共同研究第1フェーズとして「グローバリゼーションと貧困」にかかる現地調査を交えた研究を、アフリカ6カ国(エティオピア、ガーナ、カメルーン、ケニア、ナイジェリア、南ア)の研究機関と共同でロンドン大学の協力の下に実施した。グローバリゼーションの波がアフリカ各国の貧困層にいかなる影響を与えたか、法律、伝統的習慣、土地所有、統治、市場といった制度(Institute)をも含めて分析、研究が行われた。

 2002年度から向こう2ヵ年に亘り第2フェーズとして次の2つのテーマに絞り共同研究を推進する予定である。

 「アジアの経験(緑の革命)のアフリカへの効果的な移転の探求」では、2002年12月東京でアジアの研究者より食糧増産を目的とした「緑の革命」の成功要因の分析結果を提示し、アフリカの研究者による自国への移転可能性を探ることを目的とした研究計画を精査する会合を開催予定。イェール大学の「緑の革命」の権威、FASID国際開発研究センターの教授陣が共同研究に参画し、全体の企画と調整を行う。

 「貧困削減のための環境保全と天然資源管理」では、サブサハラ・アフリカの農業環境が劣悪な地域において、持続可能な天然資源管理による適正な貧困削減開発戦略は何かを探求する。現地研究機関及び国際農業研究協議グループ傘下の研究機関とFASIDがエティオピア、ケニア、ウガンダ、マラウィで、農村調査を踏まえた共同研究を実施予定。

(3) 日・アフリカ交流構想

 TICAD II 後の日本の対アフリカ支援のモメンタムを高めていくためには、国内世論のアフリカ開発への理解を深めることが不可欠である。本構想は、他のフォローアップ案件とは趣を異にし、対アフリカ支援を行うための国内の世論喚起と一般の人々の対アフリカ理解を広く得ることに主眼がおかれており、実施に際しては国内広報を効果的に行い、一般の人々が出来るだけ多数参加できるよう図ることとしている。

 11年度は、福岡(9月)、名古屋(10月)、東京(3月)の3カ所でアフリカに関する講演、シンポジウム、アフリカ文化紹介行事等を開催、自治体等との協力の下に、地域におけるアフリカ理解の促進を図った。

 12年度は、2001年3月24日(土)、25日(日)に都立日比谷公園にて「アフリカン・フェスタ2001」と銘打ち、野外フェスティバル形式でコンサート、トークショー、ファッションショー、アフリカ民芸品や写真の展示等を行い、2日間で約3万人の来場者を得た。

 13年度は、2001年11月24日(土)に京都市の国立京都国際会館において「アフリカ・デーin京都」と題してダンス・音楽公演、パネルディスカッション、ワークショップ、写真展等を行った。

 14年度は、12年度同様、2002年5月18日(土)、19日(日)に日比谷公園にて「アフリカン・フェスタ2002」を行い、前回のようなコンサートやトークショーに加え、レクチャー、ワークショップ等も行い、2日間で3万3千人の来場を得た。

(4) 特定分野域内協力ワークショップ

 アフリカにおいて地域的広がりを持つ開発課題(環境、感染症対策、運輸交通インフラ整備等を想定)に対処するため、南部、東部、西部の各地域毎にSADC等の地域協力機関、アフリカ諸国等の参加を得て、実務者レベルのワークショップを開催している。地域固有の課題に係る共通理解の形成、地域の開発課題の検討などにより、その後の具体的な個別案件の発掘・形成につなげることを目指している。近年は以下のとおり実施。

 99年2月:南部アフリカ地域における運輸交通分野ワークショップ
 00年3月:西部アフリカ地域における安全な水の確保のためのワークショップ
 02年3月:南部アフリカ地域におけるHIV/AIDS対策ワークショップ


6.フォローアップ・メカニズム

(1) 東京行動計画の目標に関するレビュー会合

 日本の対アフリカODAの重点分野である教育・保健に焦点を当てたレビュー会合を1999年11月にザンビア(東南部アフリカ諸国対象)で開催しており、以下のような成果が得られた。

(イ) アフリカ諸国自身によるオーナーシップの表明

 第一の成果は、東京行動計画が掲げる目標を達成するためには、アフリカ諸国自身が自らのオーナーシップに基づき行動を起こすべきとの認識がアフリカ諸国自身から繰り返し表明されたこと。アフリカのオーナーシップと国際社会のパートナーシップは東京行動計画を構成する2つの重要な柱であり、こうした認識がアフリカにおいて浸透してきたことは、今後のアフリカ開発のための明るい材料。

(ロ) アジアの経験の共有

 各セッションでは、教育に関するわが国の経験、安全な水供給に関するフィリピンの経験、HIV/AIDSに関するタイの経験など、成功例と失敗例を含むアジアにおける過去数十年の政策経験がアフリカ諸国に示され、そうした経験をアフリカの現状と対比させることにより現在採るべき措置や将来にわたって策定すべき政策が議論された。こうしたアジア・アフリカ協力の考え方に基づくアプローチは有意義であった。

(ハ) 国際機関・ドナー等に対する理解の浸透

 アフリカで活動している国連諸機関、ドナー諸国、NGO、民間セクター等についても、今次会合の議論を通じて東京行動計画の精神を効果的に再確認し、ないしは理解を深めた。また、アフリカ開発に関する活動を展開している国際機関等からは、それぞれの活動の成果のみならず、直面している問題や改善すべき点などに関する有効なインプットが行われた。

(2) TICAD閣僚レベル会合

 2001年12月東京においてTICAD IIIの準備としてTICAD閣僚レベル会合が開催された。同会合においては、アフリカ自らが策定した開発イニシアティヴである「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)について、意見交換を行うとともに、TICAD II以降のレビューを実施した。右レビューにおいては、TICADプロセス就中TICAD IIの際に採択された「東京行動計画」の一層の妥当性が確認され、アフリカ諸国及び開発パートナー全ての関係者が同計画の目標達成のため一層努力を行うことが重要であることが確認された。


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