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オランダにおける「女性のためのアジア平和国民基金」の
「償い事業」の終了について(発表文)

2001年7月13日

1.アジア女性基金の事業

 アジア女性基金は、いわゆる従軍慰安婦問題に関して、道義的な責任を痛感した政府の決定に基づき、政府と国民が協力して元慰安婦の方々に国民的な償いの気持ちを表すための事業を推進することを目的に、1995年7月に発足しました。
 発足以来、オランダ、フィリピン、韓国、インドネシア、台湾で事業を行ってきました。
 フィリピン、韓国、台湾では、それぞれの政府・当局又は認定された団体が慰安婦の認定作業を行っているので、右の認定を受けた方でアジア女性基金の「償い事業」を受けたいと申請された方に、「償い金」200万円の支給と、医療・福祉支援事業を併せて実施してきています。「償い金」は、日本国民から寄せられた募金をお届けしています。医療・福祉支援事業は、日本政府の資金によって行われています。
 オランダ、インドネシア両政府は、慰安婦の認定作業を行っておりません。しかし、両国において、いわゆる従軍慰安婦問題に関する日本の償いの気持ちを表すための事業を行っています。
 オランダにおいては、慰安所又は同等の場所で性的奉仕を強いられた方々に対し医療・福祉分野の財・サービスの提供を行う事業を実施しました。
 インドネシアにおいては、高齢者のための施設の建設を行う高齢者社会福祉推進事業を実施してきています。

2.事業概要

 アジア女性基金は、1998年7月15日オランダにおける事業の実施に関する覚書をオランダ事業実施委員会(PICN)と取り交わし事業を開始しました。
 被害者の方々のうち、過去の被害を明らかにし、基金事業の内容を理解された上で申請し、「償い事業」の一環の医療・福祉支援事業を受け取られた方々は78名となり、それぞれが希望される財・サービスの提供を受け取られました。
 この事業は、2001年7月14日に終了します。

3.事業の対象、目的

 事業の目的は、第二次大戦中のある期間に蘭領東インドで占領日本軍の軍人らに慰安所または同等の場所で性的奉仕を強いられた人々のうち、当時オランダ国籍を有していた方々に対して、医療・福祉分野の財・サービスの提供を行い、もって被害者の方々のこれからの人生がいくらかでも安らかになるようにすることです。

4.事業開始まで

 1996年、アジア女性基金は、事業についてオランダ政府に対し説明を開始しました。これに対しオランダ政府は「慰安婦」問題を含め、先の大戦に係る賠償、財産・請求権の問題に関してはサン・フランシスコ平和条約等により解決済みであり、政府間で解決すべき問題ではなく、日本側が関係者と直接協議を行ってほしいとの考えを表明しました。このオランダ政府の立場によりアジア女性基金の「償い事業」は、相手国政府または政府に認められた関係団体による認定がなされないため、別の形をとることになりました。オランダ政府の仲介により戦争被害者団体との協議を経て、オランダにおいて基金事業を行うための事業実施委員会PICN(Project Implementation Committee in the Netherlands)が設置され、より具体的な事業内容について協議しました。

5.覚書締結・事業開始

 1998年7月15日、アジア女性基金は、在オランダ日本大使公邸において事業実施委員会とオランダにおける事業実施についての覚書を締結し、開始にあたって橋本龍太郎総理大臣(当時)よりオランダ・コック首相に対しお詫びと反省の気持ちを込めた親書が送られました。
 それに先立ち、事業実施委員会は、基金事業について前述の戦争被害者団体の会報誌(会員数7万人)をはじめ、オランダ国内の新聞・雑誌、及び事業対象者となるべき被害者が居住されているとおもわれる国々の新聞等に事業内容、申請期間(6ヶ月間)などの広告を掲載しました。

6.対象者の審査

 PICNは、申請書類を受け取り、基準に従って審査を行い、申請の信憑性を確認しました。
 基準とは、(1)当時オランダ国籍を保有していたか、(2)第二次世界大戦中か、(3)場所はどこか(軍駐屯地か)、(4)強制されたか、(5)占領日本軍によるものか、(6)被害の質、障害・病気はどの程度か等です。
 最終的に対象者と認定されたのは78名でした。

7.事業内容

 事業は、事業実施委員会が対象者に対し、本人の実状と要望を考慮しつつ、その生活改善に役立つ医療・福祉分野の財・サービスを提供し、基金は日本政府からの拠出金を元に、事業実施に必要な資金として事務経費を含め、総額2億4,150万円を事業実施委員会に供与しました。この事業の実施期間は事業対象者が高齢であること等を考慮して3年とし、事業は上記78名の方々に対して実施されました。

8.事業実施主体

 オランダでは、事業実施委員会PICN(Project Implementation Committee in the Netherlands)が設置されました。現在のメンバーは以下の通りです。
 委員長 M.J.ハーマー博士
 特別顧問  G.L.J. ハウザー元将軍
 顧問 C.オッテ
 書記 K.ライクボルスト
 会計 R.A.ペーター
 委員 C.E.スフェルクロップ
 委員 R.ウンヘルン

 PICNのように個人情報を保持している団体は、オランダ個人情報登記所に登録する法的義務があるので、PICNも登録を行いました。

9.反響

 事業を受け取られた方々より事業実施委員会に対して感謝の気持ちを綴られた手紙、花束等が届けられ、同委員会を通じてアジア女性基金にもその写しが送られて来ました。勿論、これらの手紙からは、事業を受けた個人に関する情報は消去されています。その多くの方々は、財・サービスとともに届けられた橋本総理(当時)のコック首相宛親書(写し)によって「心が救われました」などと記されています。

10.事業を受けた個人に関する情報

 プライヴァシー保護の観点から、事業を受けた個人に関する情報は開示しないこととしています。
 PICNが保有している個人ファイルについては、オランダの個人情報管理に関する法律に基づき処理方法につき各個人に照会した結果、78名のうち、40名がファイル廃棄を、20名がファイルの個々人への返却を、18名がファイルのオランダ戦争資料研究所への寄贈を希望したので、そのように処理されることとなりました。

11.会計報告

 「償い事業」に関する会計報告は、オランダの公認された会計監査事務所による審査と承認に基づき日本側に提出されました。



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