ジャフナ訪問時の矢野外務副大臣声明
- 今朝、私はジャフナの国内避難民キャンプ及び国内避難民定住地を視察し、20年にわたる紛争による人々の苦しみや痛みを直に感じました。ジャフナはかつてタミル文化の中心として繁栄を謳歌した都市と聞きましたが、現在の荒廃した姿には胸の詰まる思いが致します。私はこのような現場を目の当たりにして、苦しみの渦中にある人々に対し緊急に支援の手を差し伸べる必要性、そして、かつての文化が栄えた社会を再興する必要性を痛感しました。
- このような認識は、広く国際社会においても共有されています。去る6月9日及び10日に東京において開催された「スリランカ復興開発に関する東京会議」において、国際社会は、2003年から2006年までの4年間にわたり累計45億米ドルを超す支援を行うとの意図を表明しました。これは、国際社会によるスリランカの和平や復興開発についての力強い、一致した決意の表れといえます。わが国も向こう3年間で最大10億米ドルまでの支援を行なう用意があります。
- 同時に、永続的な和平を達成し、豊かな社会を再興するためには、スリランカ人自身が、民族や地域の違いを越えて和解することが不可欠です。そのための努力を促進するために、東京会議では、援助国及び機関による支援は、和平プロセスが実質的にかつ並行して進展することと密接に関連づけながら実施していくことが合意されました。そのような進展をもたらすためには、まず和平交渉が再開されるべきです。東京会議後、2ヶ月近くが経過したにもかかわらず、和平交渉が再開していない現状は懸念されます。私は、タミル・イーラム解放の虎(LTTE)に対し、できるだけ早く和平交渉の場に戻るよう求めたいと思います。また、LTTEが提起している北・東部の暫定行政機構の問題については、スリランカ政府とLTTEとの間の建設的な話し合いを通じて、双方に受け入れ可能な合意が速やかに達成されることを期待します。
- このような中にあっても、わが国は、国際社会と歩調を合わせつつ、北・東部地域における緊急人道支援は、実施する所存です。その一部として、今回日本政府は、母子保健衛生状況の改善等のために国連児童基金(UNICEF)を通じて総額約3億2000万円(約260万米ドル)の支援を供与を決定したことを皆様にお知らせします。今後ともわが国は、スリランカの長い友人として、東京会議において採択された「スリランカ復興開発に関する東京宣言」の諸原則に従い、スリランカの復興開発及び和平プロセスの推進のために貢献していく決意です。
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