(1) |
地域開発戦略と具体的な行動計画の策定
首脳は、今次サミットの目的として、2000年4月に宮崎で開催した第2回太平洋・島サミット以降の日・PIF関係の進展及び国際社会の開発問題の取り組みの変化を踏まえ、太平洋島嶼地域の「持続可能な開発」の実現に向けて、具体的かつ行動志向的内容を伴った地域の開発戦略をうちたてることを目的に掲げた。
美しい沖縄でのくつろいだ雰囲気の中、首脳は、活発かつ率直な議論を行い、特に環境問題と教育については、各国首脳の間で問題意識が共有され、多くの具体的な提案がなされた。その結果、太平洋島嶼地域の「持続可能な開発」の実現に向けて、「より豊かで安全な太平洋のための地域開発戦略及び共同行動計画」を、「沖縄イニシアティブ」という形で達成することができた。
宣言では、戦略の基本として、2002年ヨハネスブルグで開催された持続可能な開発のための世界首脳会議(WSSD)の成果等5つの原則を確認し、上記の議題の各分野において、PIF側がとるべき行動、日本側がとるべき行動を明記することとなった(骨子別添)。これにより、前回サミットで確認した協力の基本的な方向を、より対象分野を絞って、日本の支援策だけでないPIF側のオーナーシップと日本のパートナーシップによる具体的な行動の形で明確化できた。
この行動計画は、毎年ハイレベルで実施状況を見直すこととなり、今後のパートナーシップの一層の強化に資することとなる。
|
(2) |
日本の具体的な支援の発表
各議題における島嶼国側からの発言も踏まえ、小泉総理より、日本としての具体的な支援策を提案し、別途、これをとりまとめたものをファクトシートとして発表した。
安全保障分野では、ソロモンにおける元武装兵の社会復帰の促進、貿易・投資分野では、貿易・投資促進のための展示会やワークショップの開催、保健分野では、医薬供給センターや病院の整備・建設、教育分野では、今後3年間で、初等教育施設の新・増・改築の機材供与を100件、初等教育分野を中心とする青年協力隊の100人派遣、環境分野では、ゴミ処理に関する総合戦略策定の支援、モデルプロジェクトの実施などを盛りこんだ。日本の具体的なコミットメントについて、各島嶼国首脳は、異口同音に、島嶼国の実状を踏まえたきめの細かい支援として高く評価し、感謝する旨表明があった。
|
(3) |
SARSについては、各国首脳より、未だ太平洋島嶼国地域では発生していないが、脆弱な医療環境からひとたび発生すれば極めて深刻な問題を起こしうるとの指摘が相次ぎ、小泉総理からも、十分にその動きを見ていくべきとした。これを踏まえ、宣言でも、SARSについて、首脳が懸念を共有し、警戒を怠らずにいることにした旨が盛り込まれることとなった。
|
(4) |
日・豪・NZ3カ国による協力
また、会議の締めくくりセッションにおいて、日・豪・NZ3カ国で、島嶼国援助における協力の重要性を確認し、これを共同文書として発表した。今後、経済協力について政策対話を行うと共に、沖縄イニシアティブで特定された分野である次の5分野、環境保全及び改善、基礎教育及び南太平洋大学の遠隔教育能力、HIV/AIDS及びSARS等の感染症対策、貿易・投資の民間部門の活動の促進、ソロモン及びパプアニューギニアのブーゲンビルにおける復興の分野で調整を行うことを確認した。
この3カ国で、島嶼国に対する援助総額の60%近くを占めており、このような3カ国の協力が確認されたことの意義は大きい。
|
(5) |
また、会議の席上、小泉総理より、核問題と並んで日朝間の最大の懸案である「拉致問題」は人道上の問題として重要であり、その早期解決に関し、豪、NZを含むPIF諸国からの支援を要請し、参加各国から強い支持が得られた。
|