高村政務次官のペルー、キューバ及びドミニカ共和国訪問
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平成9年3月24日
外務省対策本部
1.訪問の概要
高村外務政務次官は、3月17日から23日まで在ペルー日本大使公邸占拠事件の平和的解決に向けて、ペルー、キューバ及びドミニカ共和国を訪問し、各国の首脳と会談を行った。主な行事は以下の通り(時間は何れも現地時間。以下同じ。)
(1) |
3月18日午前 |
フジモリ大統領との会談(於、リマ) |
(2) |
19日午後 |
カストロ国家評議会議長との会談(於、ハバナ) |
(3) |
21日午前 |
フェルナンデスドミニカ共和国大統領との会談(於、サントドミンゴ) |
また、リマにて、ゴンザレス外相代行、ヴィンセント加大使及びミニグICRC代表と会談し、アヤクーチョ教区帰任中のシプリアーニ大司教と電話にて会談した他、日本人人質の家族及び企業関係者との懇談を行った。
2.評価
- (1)
- 今回の訪問は、事件発生後3ヶ月が経過し、事態が重要な局面を迎えつつある中で、(イ)トロントにおける橋本総理とフジモリ大統領との会談後の予備的対話の展開を踏まえ、改めてフジモリ大統領他ペルー政府関係者と緊密な意思疎通を図ること、及び(ロ)キューバ及びドミニカ共和国と事件の平和的解決に向けた協力につき話し合うことを目的としていた。
- (2)
- ペルーにおいては、フジモリ大統領との間で、テロリズムに屈することなく、事件の平和的解決と人質の早期全面解放に向けて一層の努力を傾けるとのトロントにおける首脳会談での合意を再確認するとともに、対話の加速を要請し、理解を得られた。
- (3)
- キューバ及びドミニカ共和国においては、カストロ議長、フェルナンデス大統領各々との会談において、MRTAメンバーの受け入れにつき首脳レベルでの合意を取り付けることが出来た。このことは、事件の平和的解決に向けての環境整備の観点から重要な前進と言える。
3.ペルー訪問
- (1)フジモリ大統領との会談
-
- (イ)
- 高村政務次官より、橋本総理からの親書を直接手渡した。
- (ロ)
- テロに屈することなく、事件の平和的解決と人質の早期全面解放に向けて一層の努力を傾けるとのトロントにおける首脳会談での合意を再確認すると共に、事件発生以来3ヶ月が経過し、ペルー政府としても対話をできるだけ加速するよう要請し、フジモリ大統領の理解を得られた。
- (ハ)
- 高村政務次官のキューバ及びドミニカ共和国訪問につき説明し、同大統領より支持が得られた。
- (2)ゴンザレス外相代行
- 高村政務次官より、テロリズムに屈しないとの原則の下での早期平和的解決への協力を要請したのに対し、ゴンザレス外相代行より、テロリズムに屈せず平和的解決に最大限努力する、こうした大統領の基本的方針を政府全体が支持している旨述べた。
- (3)保証人委員会メンバーとの会談
- 保証人委員会のメンバーであるヴィンセント駐ペルー・カナダ大使及びミニグ赤十字国際委員会現地代表と会談すると共にシプリアーニ大司教と電話にて会談した。互いに早期解決に向けて努力することを確認すると共に、有意義な意見交換を行った。
- (4)人質の家族の方々との懇談
- 人質の家族や企業関係者の方々と会談し、高村政務次官より改めて事件の平和的解決と人質の早期全面解放に向けた政府の姿勢を説明するとともに、高村政務次官とフジモリ大統領との会談の概要及び同次官が保証人委員会メンバーより聴取した人質の方々の現状等につき紹介した。
4.キューバ訪問
- (1)
- カストロ国家評議会議長と会談し、橋本総理よりの親書を手交すると共に、事件の平和的解決への協力を要請した。
- (2)
- カストロ議長より、ペルー政府とMRTA側が対話の結果最終的合意に達し、本事件の平和的出口としてキューバが選択されたならば、人道的見地からMRTAメンバーを受け入れる用意があるとの回答を得た。
5.ドミニカ共和国
- (1)
- フェルナンデスドミニカ共和国大統領と会談し、橋本総理よりの親書を手交すると共に事件の平和的解決への協力を要請した。(ラトーレ外相とも会談し、同様の要請を行った)。
- (2)
- 同大統領より、国際社会に対する連帯の表明として、本事件の平和的解決協力を惜しまない旨表明し、MRTAメンバー受入れの用意がある旨回答を得た。