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日秘首脳会談(共同記者会見) |
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国際世論は次のことを知っておいて頂きたい。日本及びペルー政府は国家としての責任を再認識する。このような状況と事件に対する責任を再認識する。これまでは人質の方々の健康及び身体保全のために非常に慎重に対処してきた。しかし同時に平和的解決を求めている。その際、ペルーの法の範囲内で、しかも国際法を侵さない中での平和的解決を求めてきている。
いわゆるMRTAのメンバー達をゲリラあるいは反乱者とよんでいるが、これは誤りである。こうした名称を与えても、これはペルーにおいて1980~1993年まで起きてきた様々な暴力を正当化するものではない。これらの暴力はMRTAとセンドロ・ルミノソによって犯されてきたものである。
トロントにおいて、私は次のことを皆様に確実にしていただきたいと思う。ここ数年間、ペルーにおいて現実を見てきた方、あるいは多少ペルーについて詳しく知っている方にはおわかり頂けると思うが、ペルーにはゲリラはいない。そしてまたこうしたテロに対する国民の支持もない。これが平和協定のもとになるような、そのテロリスト達に対する支持はないということである。
今日「ペ」政府は日本政府からの非常に強大な支持をペルー政府の戦略に対して賜った。「ペ」政府は今回の事件の平和的解決を探っており、これに対する支持である。
今回の会談は非常に率直で実りあるものであり、「ぺ」政府はこれが次のステップを踏み出すための非常に重要な土壌になると考えている。そしてその結果今回の残念な事件が出来るだけ早く解決するよう願っている。
カナダ政府及びクレティエン首相は私どものこうした会見を非常に連帯感をもって受け入れてくれた。私どもはそれに対して非常に感謝するとともに、私どもが満足すべき解決法へさらに努力していく決意を表すものである。
本日のフジモリ大統領との首脳会談は、保証人委員会のメンバーの会合が開催されるなど、犯人側との直接対話を前にした重大な時期に差し掛かりつつある中で、直接首脳同士で両国間の連携の重要性につき改めて確認するとともに、いかにして事態の平和的解決と人質の全面解放を図っていくかにつき協議することが緊要であるとの考えに立って行ったものである。
事件発生後直ちに、私は、人質の安全を最優先し、事態の平和的解決へ向け最善を尽くすという我が国の基本的考え方を直接フジモリ大統領にお話しするなど、日・ペルー両国は、事件発生以来、緊密に協力しつつ事態の平和的解決に向け取り組んできている。
このような両国共通の努力は、昨年12月のG7とロシア(G7/P8)による議長声明や私がASEAN諸国の首脳からいただいた支持にもみられるように、国際社会からも確固たる支持を得ている。
共同記者発表にもあるとおり、今朝の会談では、フジモリ大統領より、ペルー政府と犯人側との予備的対話の開始をすすめるとの説明があった。私からは、事態の平和的解決へ向けたフジモリ大統領のこうした努力を歓迎し、支援していくとの方針をお伝えした。
対話の開始が一刻も早い事態の解決につながることを強く期待する。また、私とフジモリ大統領は、寺田大使が保証人委員会にオブザーバーとして参加することにも合意した。
最後に、今回の首脳会談にあたりクレティエン首相をはじめとするカナダ政府の御協力に厚く御礼申し上げる。また、パレルモ教育大臣並びに保証人委員会の構成メンバーであるシプリアーニ大司教及びカナダのヴィンセント大使の粘り強い努力に対し、更にはミニグ代表をはじめとする国際赤十字の人道支援活動に対し、心より敬意と感謝を表したいと思う。その他にも多くの方々が本事件の解決のため日夜ご尽力を払われている。この場をお借りして、これらの方々にも私の感謝の気持ちをお伝えしたいと思う。
(フジモリ大統領)
手短に言うと、私どもは橋本総理から非常に力強いご支持をいただいた。今人質となっている方々の解放に向けての努力に関する支援である。そしてこの支援は、人質の解放が法制、憲法そして国際法を尊重して、そうした枠組みの中で行われるということだ。その意味で日本政府とペルー政府はともに人質の解放のためにこれからも努力していく。
●(問)(フジモリ大統領に対し)
ただ今の共同記者発表によると、ペルー政府とMRTAとの間の予備的対話を推進すると言っているが、これはどういうことか。
(フジモリ大統領)
私どもの共同記者発表をお配りしているが、この第3点で両首脳は予備的な対話を進めていくということを書いている。予備的対話の開始を推進するということは、つまりMRTA達とコンタクトをとるということである。公邸を占拠しているMRTAとコンタクトを取って、できるだけ早く現実的な有効性のある方法に近づく可能性があるということだ。これまでは非公式な話し合いはあり、そのなかでいくつかの面で進展はあったが、それがこれからはオブザーバーや保証人の前で行われるということになる。そうすることで最終的な話し合いの枠組みを決めるということになる。これは既に実際には行われてきていた。というのは既にコンタクトが行われ、その作業用のいわゆる下書き、たたき台が非公式な形で作成されている。これはシプリアーニ大司教の活動の中で行われてきたものだ。従ってこの予備的対話を開始することができれば、1つ前進することができるという事だ。
●(問)(フジモリ大統領に対し)
こういった事態へのカナダ政府の役割は何か。また、大統領はカナダが他の国々、例えばキューバなどとテロリストの第3国受け入れに関しての話があったと聞いているか。
(フジモリ大統領)
解決模索という作業の中では、非常に大きな危機の解決に貢献できる様々な人々、国々の介入が必要である。カナダ政府はこうした話し合いを推進していくために非常に積極的であったし、ヴィンセント大使自身日本大使公邸で人質になっていて、再度公邸に入ってテロリスト達と話し合ったこともあり、私たちの信頼も得ている。従って優れた保証人であり優れたパイプ役であり、私たちが平和的解決に至るために非常に大きく貢献してもらうことができると思う。
●(問)(橋本総理に対し)
今日の首脳会談で武力行使に関する話し合いが行われたのか。それに関して総理の方から何らかの事前了解等をペルー政府に与えたのか。
(橋本総理)
これは大変大事な質問なのできちんと答えなくてはならない。フジモリ大統領は事件の平和的解決のために最大限努力すると同時に、人質に危害が加えられない限り武力行使をしないというペルー政府の基本方針を再確認した。今回の首脳会談を通じてテロに或いはテロリズムに屈せず、事件の早期平和的解決を、また人質の全員の無事な解放を確保するため最大限努力するという、両国政府の確固たる共通の意思が確認されている。私はMRTA側が人質に危害を加えられない限り武力行使をしない、と言っているフジモリ大統領の方針を重く受け止めて、いかなる意味においても人質に危害を加えるような試みはすべきではない、日本政府としてこの点についてMRTA側に厳重な注意を喚起することをもって答に代えたいと思う。
●(問)(橋本総理に対し)
(日本政府は)ペルー政府を全面的に支持するとのことだが、これはペルー政府をあらゆるレベルで、つまり貿易・投資その他の面でもこれからも支持するということか。
(橋本総理)
この質問が私に来ることを事前に想定していなかった。そして2人の間ではその質問はフジモリ大統領にいくだろう。そうすればフジモリ大統領は、今回の事件によって日本とペルーの間における様々な今までの取り組みは変わることはないだろうと自分は信じる、そう答えるよと私に言っていた。そういう返事をフジモリ大統領がした時に、私はあわててフジモリ大統領の口をふさいだりすることはしないよという約束をしている。
●(問)(フジモリ大統領に対し)
私たちはカナダ政府がいわゆる保証人の役割を果たすということを言ったと聞いている。そして公邸に対し部隊を送って人質を取っている人々、或いはMRTAのテロリストと言うべきなのかもしれないが、こういった人々が第3国へ安全に出国することができるように手伝うと言われているが、これはカナダの部隊がそういった形で平和維持部隊として行って、保証人として平和理に解決するためにテロリスト達を第3国に出国させるという事で合意しているのか。
(フジモリ大統領)
今の段階では最終的にどのような打開策がとれるか言えない。しかしながら、保証人委員会のメンバー達は勿論便宜を図ることになる。つまりペルー政府とMRTAメンバーとの間で達成される合意が現実に行われるように保証人委員会が便宜を図るということである。これが保証人委員会、特にヴィンセント大使を私たちは大変信頼しているが、その基本的役割である。
●(問)(フジモリ大統領に対し)
予備的対話の中にはMRTA側が要求している服役囚の釈放問題は議題として含まれているのか。
(フジモリ大統領)
繰り返し言うが、MRTAの服役囚の釈放は一切ない。ペルーでは長年にわたってテロに苦しんできた。今回の事件はMRTAの個別の事件だが、私たちは過去に戻りたくはない。国際社会は次のことを確信していて欲しい。危険であるかもしれない人々、これはペルーの治安・安全保障だけではなく、国際的な治安、或いは安全保障にとって危険であるかもしれない人々を釈放することはない。このようなケースにあっては服役囚の釈放はないということだ。そうしたことをすることはできない。絶対にできない。今回の共同発表の第5点で橋本総理大臣も釈放要求を拒否することで一致すると書いている。私はこの立場は国際的に共通の立場であるべきだと考えているし、国際法の中に組み入れられてしかるべきだと考えている。
●(問)(橋本総理に対し)
今朝の会合で(日本政府は)何らかの具体的な交渉における戦略(例えば出国のための第3国の選定等について)を提起したか。
(橋本総理)
我々2人は今朝も、昨日私が表敬したときも、非常に真剣にあらゆる場合の議論をした。しかしその議論の中身を今公表することは、これからの、まさにフジモリ大統領のリーダーシップによって進めて行かれる保証人委員会を仲介にしながらの対話の中で有益ではない。だから、私たちは全ての話をしたと思う、ということで止めておく。
●(問)(フジモリ大統領に対し)
この数日、ペルーの大使公邸周辺では、ヘリコプターが低空飛行したり装甲車が前を通ったりして、日本語で言う威圧行動に出ていると承知している。その件について日本政府と日本国民も大変心配しているが、今日の共同記者声明ではそのことについて一言も触れられていない。今後、今日の会談を踏まえてあのような行動は今後控えるということなのか、これからの計画はどういうことなのか。
(フジモリ大統領)
公邸の外部において当局がいることは基本的に重要だ。政府当局は権限を辞するものではない。しかしながら非常にリスクとなる可能性のある行動は除外される。申し上げておきたいのは、4人の警官が非常に挑発的な行動をしたということは、時宜に叶っていなかったし、まずかったと考えている。これからは二度とああいうことはないようにしたいと考えている。従ってこれからはああいう行為はないということだが、ただ当局側はこれからも公邸の近くに必ずいることになる。あの地域のコントロールをやめることはできない。これは公邸内の安全のためであり、また公邸周辺の安全のためである。
●(問)(橋本総理に対し)
記者発表の2点目で、両国の首脳は事件解決に向けた努力を再強化するということが書かれている。事件はペルー国内で起こっていることで、日本ではないということはどういう意味を持っているのか。これは即ちさらに日本国民に対する安全性を高めるということを意味するのか。また、保証人委員会に寺田大使が入ることは、日本が今後交渉において役割を果たすということか。
(橋本総理)
我々がまとめた結論は共同発表でお分かり頂いていると思うが、これまでペルー政府と日本政府は緊密な連絡を取り合いながら、我々はペルー政府からの要請に対しては我々なりの努力をしてきたし、これからも同様の努力をしていくということである。しかし、いちいち内容を公表するのは適当でないと考えている。また、寺田大使が保証人委員会のオブザーバーとして問題に関与するのも両国間の連携の一つのあかしである。当然ながら保証人委員会のメンバーやペルー政府と緊密な連絡を取りながら情報交換をし、必要に応じて助言を行うのも寺田大使に期待される役割の一つであるが、そういう役割の中からも、我々の役割が見えてくるであろう。
●(問)(フジモリ大統領に対し)
ペルーのテロリストはいつでも死ねる覚悟でいると聞いている。もし武装グループに最後の切り札を突きつけることがあるとすれば、大統領の良き友人を破壊する、またフジモリ大統領の政治的・経済的生命を断つ覚悟があるのか。もしくは僅かでも妥協する余地があると考えるのか。
(フジモリ大統領)
繰り返すが、我々は平和的解決に向けてのあらゆる方策を実施していく。今おっしゃったような緊急な事態になるとは考えていない。だからこそ橋本総理と会談を行ったのであり、会談の中で両国政府が十分調整をしているということを再確認した。従って今おっしゃったような状況は完全に除外している。もう一度申し上げておきたいのは、今後平和的解決に向けて不可欠且つ非常に重要なことは、人質の人たちが完全に五体満足であるということである。これは、人質が病気でないことも含めての五体満足ということである。これは私たちにとって非常に重要なことだ。これからも私たちはこの努力を続けていくものであり、できるだけ早く私たちの友人が平和で自由な身になっているように願っているものである。
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