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日朝国交正常化交渉第12回本会談
(評価と概要)

平成14年10月31日



 10月29~30日、クアラルンプールにおいて行われた標記本会談の概要以下のとおり(当方:鈴木日朝国交正常化交渉担当大使他、先方:鄭泰和(チョン・テファ)大使他)。


1.評価

(1) 今次本会談において、日本側は、拉致問題、核問題をはじめとする安全保障上の問題を最優先課題として臨み、協議においては、これらの問題について特に時間をかけて議論を行った。北朝鮮側は、国交正常化交渉においては、正常化それ自体及び経済協力が中核的問題であるとしつつも、日朝平壌宣言に従い、懸案問題について解決する必要があるという点については理解を示した。日朝双方が日朝平壌宣言に従い諸懸案の解決に努力することについては意見の一致があり、日本側として、今後とも国交正常化交渉に粘り強く取り組み、諸懸案の解決を目指したい。

(2) 5名の被害者の家族について、日本側より繰り返し北朝鮮側の前向きな対応を強く求めたにもかかわらず、北朝鮮側の立場に変化はなく、家族の具体的な帰国日程の確定には至らなかったことは残念であるが、北朝鮮側は、拉致問題についてはきれいに解決したい、被害者の家族の安全について心配する必要はない旨述べており、日本側として、引き続き毅然とした態度で種々のチャネルを用い交渉にあたっていく考えである。

(3) 核問題をはじめとする安全保障上の問題についても、日本側懸念を詳細に伝えた。これに対し、北朝鮮側は、日朝平壌宣言を遵守している旨の説明に終始したが、かかる問題については、今後とも、国交正常化交渉本会談で取り上げるとともに、日朝平壌宣言に基づき11月中に立ち上げられる日朝安全保障協議の場で、米国、韓国とも緊密に連携しながら北朝鮮側に働き掛けていく考えである。


2.概要

(1) 拉致

(イ) 日本側より、5名の被害者の方につき、その家族を含めて自由な意思決定を行える環境の設定が不可欠であるとして、その安全の確保及び早期帰国と帰国日程の確定を求めた。これに対し、北朝鮮側は、拉致問題については、金正日国防委員長がその存在を認め、謝罪し、再発防止を約束した上で、きちんと誠実に対応してきた、この問題をきれいに解決する意思があるが、約束どおり、被害者5名が一旦北朝鮮に戻り、事情を全く知らない子供と話すことが問題のスムーズな解決につながる、帰国は被害者本人及びその家族の意思によるべきものである、この問題を政治的に利用する考えはなく、被害者の家族の安全については心配する必要はない旨述べた。

(ロ) 日本側より、生存が確認されていない拉致被害者についても、事実解明を引き続き強く求めるとともに、拉致被害者の御家族から出された疑問点等を踏まえた追加照会事項を手交し、速やかで誠意ある回答を求めた。北朝鮮側は、関係機関とも協議しつつ、可能な限り速やかに回答できるよう努力する旨述べた。

(2) 安全保障上の問題(核・ミサイル問題、日朝安全保障協議)

(イ) 日本側より、日米韓首脳会談の声明に言及しつつ、ウラン濃縮プログラムは日本の安全保障に対して重大な懸念をもたらすものである旨述べ、日朝平壌宣言で約束された「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のために関連する全ての国際的合意を遵守」を強く求めるとともに、(a)ウラン濃縮プログラムの内容を明らかにすること、(b)解決に向けた具体的な措置、即ち本件プログラムの検証可能な形による即時撤廃、(c)「合意された枠組み」に基づく施設凍結の維持とIAEA保障措置協定の完全履行に向けた、査察の速やかな受け入れ(そのためのIAEAとの協力の即時開始)、を強く求めた。また、ミサイル問題に関し、北朝鮮のミサイルは、日本の安全に直接かかわる重大問題であり、また、朝鮮半島及びその周辺地域、更には国際社会全体の平和と安定にも影響を及ぼす国際的な関心事でもあるとして、日本を射程に入れているノドン・ミサイルのうち既に配備済みのものの廃棄等について北朝鮮側の具体的で前向きな措置を求めた。

(ロ) これに対し、北朝鮮側は、核問題、ミサイル問題については、米国の敵視政策が問題の本質である、日本が憂慮していることは承知しており日本とも議論はできるが、解決は究極的には米国との協議によってのみ可能である、安全保障上の問題については、北朝鮮としても、日朝平壌宣言で言及されたとおり、関係国が対話で解決することを望んでおり、特に米国との間で対話を通じて解決する意思がある旨述べつつ、いずれにせよ、北朝鮮として、日朝平壌宣言を遵守していくことに変わりがない旨強調した。

(ハ) 工作船につき、日本側より、2001年12月に九州南西海域で沈没した不審船については北朝鮮の工作船であると結論づけた、日朝首脳会談において金正日国防委員長が言及した調査、再発防止が履行されることを注視したい旨述べた。

(ニ) 日朝平壌宣言に基づき安全保障上の問題につき議論するため、双方は、日朝安全保障協議を11月中に立ち上げることに合意した。レベルについては、局長ということを念頭に、今後、議論の進捗に応じてレベルを上げることを検討することとし、具体的な日程等については今後調整することとなった。日朝平壌宣言に従って行う協議であり、同宣言に述べられた核問題、ミサイル問題等を議題とするとの共通認識の下、具体的には、今後、日朝間で詰めていくこととされた。

(3) その他の日朝間の諸懸案として、不履行債務問題、在朝被爆者問題等について日本の立場を述べた。

(4) なお、次回本会談については、北朝鮮側より、11月末の開催につき提案があり、日本としては、これを持ち帰り、検討することとした。



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