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茂木外務副大臣のイスラエル・パレスチナ自治区、ヨルダン訪問
(概要と成果)


平成15年6月26日


1.目的

 中東地域の平和と安定の鍵を握るイスラエル・パレスチナの中東和平については、6月5日のヨルダン・アカバでの米・イスラエル・パレスチナ首脳会談以来、「ロードマップ」の実施を中心に暴力の停止と和平に向けた国際的取組が本格化している。一方、現地情勢は、その後もテロと軍事行動の応酬が続き、先行きは必ずしも楽観できない。こうした中でイスラエル・パレスチナ自治区を訪問し、双方に対して我が国の立場を伝えるとともに和平実現に向けて一層の取組を促す。また今回の中東和平でも大きな役割を果たしてきたヨルダンを訪問、情勢につき意見交換を行う。


2.日程

 22日        (エジプト・シャルム・エル・シェイクより紅海岸を北上し陸路イスラエル入り)
 23日        「ロードマップ」に関する国際会議出席(於:イスラエル・ネタニヤ)
 24日  午前      イスラエル・シャローム外相と会談(於:エルサレム)
   午後      パレスチナ自治政府・シャアス外務長官と会談(於:西岸ラマッラ)
    同     アッバース首相と会談(於:ガザ)
※なお、日本政府高官としてのガザ入りは2年振り。
 25日        (陸路キング・フセイン橋経由ヨルダン入り)
   午前      ヨルダン・ムアッシャル外相と会談(於:アンマン)
  (午後      同国発、26日午後帰国)


3.会談等の概要

(1) 中東和平「ロードマップ」に関する国際会議

 第一セッションにおいてスピーチを行い、出席したバラック前イスラエル首相、ゴルバチョフ元ソ連大統領、ワヒッド前インドネシア大統領、デ・クラーク前南ア大統領らと意見交換を行った。スピーチでは、中東和平における我が国の中立・公正な立場を説明し、テロへの強い非難とともにイスラエルの軍事行動への懸念にも言及、ロードマップの履行とアッバース首相の改革への支援を訴えた。同時に、我が国のパレスチナ支援策として、人道支援・改革支援・信頼醸成の三本柱につき説明し、日・アラブ対話フォーラムの開始に触れた。

(2) イスラエル・シャローム外相との会談

中東和平につき、当方から暴力の継続する現状への懸念を伝えた。テロを強く非難しパレスチナ側にも我が国として取締り強化を求めるとする一方、イスラエル側の軍事行動も一般市民を巻き込み、情勢を更に悪化させることを指摘。双方の自制、ロードマップ第一段階の措置の完全な実施、アッバース首相の改革努力への支援を求めた。先方は、イスラエルとしては移動制限緩和や入植地撤去等ロードマップ諸措置を実施している、パレスチナ側がハマス等テロ組織を解体することが重要であり、日本もパレスチナ側を説得して欲しい旨要請があった。

テロ、大量破壊兵器について、先方から日本よりシリア・イランの和平反対派やヒズボラへの支援、イランの核開発疑惑に言及があり、日本よりシリアやイランに対する働きかけの要請があった。これに対し当方より、両国には働きかけてきている旨説明すると同時に、イスラエルに対しNPT、CTBTへの参加を求める旨要請した。

二国間関係については、シャローム外相訪日を早期に実現すべく日程を調整していくこととなった。

(3) パレスチナ自治政府・アッバース首相・シャアス外務長官との会談(アッバース首相との会談には、ダハラン治安担当長官が同席)

それぞれの会談において当方から、暴力継続への懸念を述べ、イスラエルにも自制と改革努力への支援を求めているとしつつ、テロは正当化し得ず、テロを封じるための最大限のリーダーシップの発揮を求めた。アッバース首相から、改革プロセスはパレスチナ人自身のためのものであり、継続していく決意である、二つの国家の平和共存の実現まで和平への努力も続ける旨表明があった。

また、2つの側面で前向きな動きがあるとして、最新の状況の説明があった。(i)イスラエルとの交渉:ガザ、ベツレヘムからのイスラエル軍撤退につき合意に近づいており、同夜中にも回答があることを期待。(ii)ハマス等各派との交渉:停戦(暴力停止)につきハマスから前向きな反応があり、翌日にも回答を受ける予定(現地を離れる時点では、ハマスよりの回答は週末までずれ込む見通し)。以上の交渉で双方とも良い結果ならロードマップは前進する。

パレスチナ支援については、当方から人道支援・改革支援・信頼醸成の三つの支援策を続けていく旨述べ、和平プロセスが順調に進めば日本として更に支援しやすい旨指摘した。先方はいずれも日本のこれまでの支援への謝意を述べるとともに、川口大臣のパレスチナ支援パッケージの速やかな実施を要望、さらに警察や市民防衛(消防)への支援(アッバース首相、ダハラン治安担当長官)、停戦後のインフラ等次の段階の支援(シャアス外務長官)についても期待が表明された。

(4) ヨルダン・ムアッシャル外相との会談

中東和平につき、当方より、ヨルダンの役割を評価し、引き続いての貢献を要望。現地情勢に関して先方からは、米国の積極的関与で展望が開けてきているとして、パレスチナ自治政府とイスラエル、パレスチナ自治政府とハマス等との交渉が上手くいけば和平実現に向けて新たな雰囲気が生まれるとの見方が示された。

イラク情勢についても意見交換し、当方より、イラク支援でアラブとの協力を実現しているとして、ヨルダン・ハシミテ慈善財団を通じた人道支援の共同実施に言及、自衛隊による物資輸送の中継地としてヨルダンに今後の協力も要請。イラク復興に関して同外相は、新たな統治機構ができるまで、通商・税関に関わる行政機関が上手く機能しないなどヨルダンとの関係でも多くの事柄が未知数のままとなっている旨懸念が示された。

二国間関係については、2004年が日・ヨルダン国交樹立50周年であり、一層関係を深めていくことで一致。当方より邦人記者への恩赦に触れ、寛大な措置を感謝する旨述べたのに対し、同外相より本事件に係る日本側の真摯な態度にヨルダン国民も印象付けられ、良い結果になったとの応答があった。


4.成果

 米パウエル国務長官による中東訪問(6月20日~22日)とアカバでの四者閣僚級会合(22日)、更にライス米国家安全保障担当大統領補佐官の現地訪問予定(今週末)等、事態の打開を目指した米国はじめ国際社会の取組も活発化し、また現地当事者間で水面下での交渉が続けられる中で、時宜を得た訪問となった。我が国としても現地にてイスラエル・パレスチナ双方の交渉責任者に対し、改めて我が国の立場を直接伝えつつ、暴力の停止と和平実現に向けた働きかけを行い得た。我が国のパレスチナ支援策は現地にても十分認知されており、アッバース首相の改革努力と和平実現を支援する我が国の今回の事態打開への直接の働きかけにつきイスラエル・パレスチナ双方より十分な評価を得られた。また、ネタニヤでの国際会議や上記会談での現地プレスのカバレッジも相俟って、イスラエル国民・パレスチナ住民双方に我が国の積極的な取組につき広く知らしめる効果もあったと考える。
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