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日本・アラブ対話フォーラム第2回会合
(2004年3月3日~4日、於:エジプト・アレキサンドリア)
(主催者であるエジプト側が発表した概要の仮訳)


2004年3月4日


日本・アラブ対話フォーラムは、全ての関係者にとっての利益のために、アイデアを探求し、日本とアラブ世界の協力を強化する非公式な方途として設立された。「日本・アラブ対話フォーラム」第1回会合は、2003年9月4日及び5日にかけて東京において開催され、第2回会合は、2004年3月3日及び4日にアレキサンドリアにおいて、アレキサンドリア図書館の主催により開催された。(出席者リスト

日本・アラブ対話フォーラム第2回会合において、日本側、サウジアラビア側及びエジプト側一行は3つの議題(文化の対話、アラブにおける経済社会開発、イラク復興支援)についてレビューを行った。各議題について、フォーラム参加者は可能性を精査するとともに、見解や分析、期待や懸念を率直に分かち合った。議論は全体を通じて、非常に忌憚なく行われ、かつ多岐にわたるものであった。各一行の3座長(橋本龍太郎元総理、ゴサイビ経済企画大臣、セラゲッディーン・アレキサンドリア図書館長)は、3月4日の共同記者会見において議長より発表される概要について実質的に合意した。

日本・アラブ対話フォーラム第2回会合において、具体的成果に向けて進む必要があるとともに、また対話を強化し、拡大された「開発のための日本とアラブのパートナーシップ」の概念に中身を与えることにつながる考えを明確にする必要があることが参加者に共感された。提案を整理し最終的に一連の活動に分け、役立つものとするとともに、成果がもたらされるであろう時期に応じて分類した。その結果、以下の3タイプのアイデア・提案となった。

(1)短期: 比較的速やかに実施可能なアイデア(12~24ヶ月以内)

(2)中期: 成熟するのにより多くの時間を必要とし、また評価する上で更なる作業を必要とするアイデア

(3)長期: 長期的な見通しにとどまるアイデアや意味ある形にしていくためにはより多くの作業を必要とするアイデア

1.0 文化の対話

1.1  短期:交流の強化
 早急に様々な交流の数を増加させることを追求する。この交流は、芸術・文化展示から企業家育成や産業生産のための大規模な教育等を含めた観光から学術研究までのあらゆる分野での交流を意味する。既存のチャネルを通じ、このような訪問の計画を強化する。

1.2  中期:相互の学術研究
 既存の機関において、アラブ世界における日本研究及び日本におけるアラブ研究のプログラムを設置する。教授や学生の交換についての措置をとるとともに、このような計画をシステム化して当該機関に完全に定着されるようにする(周辺的なもの、難解に過ぎるものにしない)。

 その上で、拡大された交流を、有意義であり組織的かつ継続的なプログラムに変えていくよう新たな仕組みを追求する。

1.3  長期:日本-アラブ技術大学
 特別な日本-アラブ大学という組織の整備に向けた協働の可能性を探る。アラブ科学技術アカデミー(AAST)に属する1乃至2のプログラムからスタートし、当初の目的やより穏やかな目的が最終的に受け入れられ達成されれば、それをより包括的なものにしていくこととする。

2.0 イラク、反テロ、平和と安定

全てのフォーラム参加者はいかなるテロにも反対するとともに、正義と参画を基にした平和と安定を促進するよう国際的な行動を求める。我々は不正義の上に安定の実現はあり得ないことを認識している。イラク再建において関係者の真の参加と権限付与が認められる必要がある。

我々はイラクは自らのリーダーを選択すべきであり、それまでの移行は可能な限り早急かつ透明な形で行われるべきであると確信している。我々は人道支援を拡大し、イラクにおける基礎インフラ―ライフライン・インフラ―の再建を加速化すべきである。他方、その実施はイラクにおける一層の安定と治安確保に関わっており、また中長期的な開発は政治的な安定と確保が必要である。

我々は、正義に基づいて和平が実現し、パレスチナ-イスラエル紛争が解決する場合においてのみ、この地域に長期的な安定が実現されることについて意見が一致した。加えて、若者に対して意味ある雇用を創出する長期的な経済社会開発がアラブ世界には必要である。競争激化の世界において、アラブ世界では今後15年間のうちに8000万の仕事が創出される必要がある。

2.1  短期:人道的支援及びトレーニング
既に行われている日本とエジプトの合同医療研修プログラムの拡大

日本の震災復興の経験を利用し、日本とアラブ諸国の民間の専門技術と能力の上に立って、イラク人及びアラブ人のためのライフライン・インフラのためのトレーニングに着手する。このトレーニングにはいくつかの新たな技術が含まれる。

日本とアラブ世界の両民間部門が、イラクにおける基礎インフラ再建支援のための民間同士の共同事業立ち上げの可能性を探求する。

当初、これらの活動はイラクに焦点が当てられるが、活動の有用性と応用範囲はイラクの喫緊のニーズに応える以上のものとなり得ると認識する。

2.2  中期:いくつかの基礎ライフライン・インフラの完成
イラクにおける基礎ライフライン・インフラ整備を支援するため日本とアラブ世界の民間部門の間でいくつかの共同事業を立ち上げる。

2.3  長期:安定のためには政治的解決とともに経済社会的発展を必要とする
長期的な安定にはアラブ世界における経済社会的発展を加速化する必要がある。このためには開発のための日本とアラブのパートナーシップ強化は非常に有益である。本件についての具体的な提案は本概要の次のセクションに含まれる。

3.0 経済社会開発

経済社会開発は純粋に経済的な次元を超えて進められるべきであり、人々の民生向上を主眼とするものでなくてはならない。我々は、開発は包括的で遠大であるべきことを認識している。

急速に変化する世界において改革と変化は不可欠であり、アラブ世界の内外において高い注目を引きつつある。他方、フォーラム参加者は、改革は、たとえそれがいかに良い目的であったとしても、外部からの押しつけであってはならないことで意見が一致した。改革プロセスは内発的、かつ関連する社会内部における力によって動かされるものでなくてはならない。こうした力は文化的正統性と敏感さ(センシティビティ)を備えて、それぞれの社会と国の特性に応じたペースで、かつ有意義なやり方で改革を進めていかなければならない。

3.1  短期:内発的改革努力への支援及びより緊密な日・アラブ経済協力に向けた連携
約10日後にアレキサンドリア図書館で開催が予定されている「アラブ改革会議」について、議論の中で留意された。フォーラム参加者は市民社会のイニシアティブを支持するとともに、予想される結果及びフォローアップ・メカニズムの有用性については慎重ながらも楽観的な見通しをもった。

対話フォーラムの枠組みの中に、合同専門家チームを設置し、アラブ-日本FTAの可能性について検討する。同FTAは、日本とアラブのパートナーシップ強化に資するものであり、アラブ世界における経済発展を加速させ、アラブ世界の国際経済への統合を促進するものである。共同生産の機会を含めることにより、FTAを補完し、日本とアラブ世界の一層の経済的協力のための機会を開くのである。FTAのアイデア推進の可能性を探る合同専門家チームは、日・シンガポール協定の経験や他の地域とのアラブ諸国の経験から学ぶべきである。アラブ-日本FTAは日・シンガポール協定により始まる新時代のより大きな経済連携の一部ととらえられるべきである。

3.2  中期:アラブの若者及び専門家グループに対する知的所有権に関する集団学習トレーニングへの日本の支援
日本とアラブの合同の行動が可能と思われる特定分野は以下を含む。

企業家育成から技術的熟練を含め全てに関する多くのアラブの若者のための集団トレーニング・プログラムの組織化。このようなトレーニングは選考された候補者の日本への派遣や日本人トレーナーのアラブ世界への派遣によって行われ得る。

日本とアラブ世界からの特別な専門家グループを立ち上げて、より微妙でバランスのとれた知的所有権の制度に対するアプローチ(先進国における発明者の利益を保護すると同時に、貧困者の基本的ニーズについても認める)の可能性探求を行う。

3.3  長期:ハイテク共同生産イニシアティブ
日本・アラブ技術大学の設立の可能性探求とハイテク開発のためのサイエンス・パークの組織化。中小企業促進を支援し得る養成所を備えたものにする。

4.0 次回会合

フォーラム参加者は、日本・アラブ対話フォーラム次回会合を主催したいとのサウジアラビアからの提案を受諾した。時期及び会場については外交チャネルを通じて決定される。



(別添)



日アラブ対話フォーラム第2回会合
出席者リスト

 【日本】

  (1) 橋本龍太郎  衆議院議員(元総理)(座長)
  (2) 宮原 賢次  日本貿易会会長
  (3) 岡本 行夫  総理大臣補佐官
  (4) 須藤 隆也  日本国際問題研究所軍縮・不拡散研究センター所長
  (5) 山内 昌之  東京大学教授

 【エジプト】

  (1) イスマイール・セラゲッディーン・アレキサンドリア図書館長(座長)
  (2) ハーテム・エル・カランシャウィ首相経済問題特別顧問
  (3) アブドゥルモネイム・サウーディ・エジプト産業連盟会長(エジプト日本経済委員会会長)
  (4) ファルーク・イスマイール元カイロ大学学長(日本帰国留学生会名誉会長、シューラ評議会議員、カイロ大学工学部名誉教授(電気工学))
  (5) アブドゥルファッターハ・シャバーナ元駐日大使(80~84年駐在)

 【サウジアラビア】

  (1) ハーリド・ビン・ムハンマド・アル=ゴサイビ経済企画大臣

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