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日本・アラブ対話フォーラム(概要)


平成15年9月5日


1.概要
  1. 「日本・アラブ対話フォーラム」は、中東情勢激動の折、我が国とアラブ諸国の対話を深め、今後の協力関係のあり方を模索する意図で設立されたもの(座長:橋本元総理(日本)、セラゲッディーン・アレキサンドリア図書館長(エジプト)、ゴサイビ経済企画大臣(サウジ・座長代理)(メンバーリスト別添))。本フォーラム第1回会合は、9月4日から5日にかけて開催された。(国際交流基金主催、(財)日本国際問題研究所企画運営協力))

  2. 今次会合においては「戦後イラクと国際社会の役割」及び「中東における経済社会開発」について意見交換を行った。会は我々の間の理解を深める上で大変有意義だったのみならず、今後の日本とアラブ世界との関係を発展させる上で希望を抱かせるものであった

  3. このフォーラムについては、今後とも相談して開催していくことについて合意が得られ、次回会合についてはエジプトより、アレキサンドリアで開催したいとの申し出があり、会議はこれを歓迎した。時期については今後外交チャネルで詰めていくことになる予定。

  4. この会合は忌憚のない意見交換を行う目的で設置され、何らかの結論を出したり、意見の一致を予め目的とするものではなく、正式な議事録を作成しない。今後の内容は各国メンバーがそれぞれの本国の指導者に報告する予定。

  5. 会合の以下の概要については、会合直後の記者会見において、日本側座長を務める橋本元総理から以下の報告が行われた。

第1セッション「戦後イラクと国際社会の役割」
  1. イラク情勢の行方が中東地域の安定に大きな影響を及ぼすとの観点から、イラクの安定化のために、日本とアラブ諸国との間でいかなる協力が可能かにつき議論した。

  2. 人道支援については、三角協力などにより、日本とアラブ諸国との一層の協力の可能性が示唆された。既に日本とエジプトとの間ではイラクに対して共同医療援助プロジェクトが実施されつつあるが、このような形の協力を更に発展させていくことが望まれる、また、文化財保護が重要との意見が表明されました。

  3. アラブ諸国は、イラクの人々に対する人道支援は行っているが、更に積極的に取り組むためには、安全が確保されること、イラク人自身が新政府樹立のため参画し権限を与えられることが必要との意見が表明された。また、中東における正義がより広範な形で問われるとの意見が表明された。新たな国連決議は国際社会よりの支援を得るためには必要だが、それだけでは十分ではなく、イラク人自身が政治プロセスに参画し、かつ政治プロセスの明確化が望ましいとの意見が表明されました。また関連して、中東和平とりわけパレスチナ問題の公正な解決に向けた努力が重要であるとの意見があった。

  4. テロについては、世界の他の地域と同様にテロは許されざるものであるが、同時に、テロ発生の背景にある地域の政治的・経済的問題に対する取組みが重要であるとの意見が表明された。

第2セッション「中東における経済社会開発」
  1. 中東地域の平和と安定にとって、中東地域の経済・社会開発を実現することが不可欠であることにつき意見の一致を見た。

  2. 中東地域は現在、人口増加に伴う雇用機会の増加の必要性、グローバリゼーションに伴う競争力強化の必要性というチャレンジに直面しているが、同時に、こうしたチャレンジに対する取り組みとして中東諸国により真剣な改革努力が行われていること、そしてこうした改革努力を十分に認識することが重要であるとの認識が示された。

  3. こうした問題解決の鍵の一つとして、技術訓練を含む人造りの重要性について指摘が行われた。

  4. 日本の技術開発、特に第二次大戦後の日本の経済発展の経験をも踏まえつつ、お互いにとってメリットになる形で長期的視野に立ったパートナーシップ関係構築に対する期待の表明があった。日本とアラブ諸国の関係を幅広いものとするため、経済交流の活発化を含め、日本とアラブ諸国がいかなる協力を行い得るかにつきいくつかの具体的アイデアにつき討議した。

  5. またイラクの経済再建のためには、政府の協力のみならず、日本とアラブ諸国の間で民間の連携が発展する可能性が留意された。

  6. サウジ、エジプト側の出席者からは、現下のアラブ地域における関税統一化の動き、あるいはEUとの貿易統合の動きについて説明しつつ、アラブ諸国と日本のパートナーシップを強化していくためにも両者間の自由貿易協定の可能性を追求してはどうかとの示唆があった。

  7. 日本と中東は経済的補完関係があり、今後とも相互依存を強めていかなければならない点は疑問の余地はない。そのような観点から、日本と中東の間でどのような経済的フレームワークがあり得るのかにつき考えていくことは意味があるとの結論に達した。

  8. 本件会合では出席者から想像以上に多くの関心事項が表明された。とくに経済社会開発についてはこの全体会合だけでは議論しつくせないほど多くのテーマがある。そのためこの全体会合以外に何人かの有志が随時機動的に集まり、議論をより深めていくこととなった。今後、こうした少人数の集まりをどのような形で開いていくかは外交ルートで調整していく予定。



(参考)


1.「対話フォーラム」第一回会合日程

  9月4日(木)      「フォーラム」第1日目
   (テーマ:「戦後イラクと国際社会の役割」)
 参加者の小泉総理表敬
外務省主催レセプション

5日(金)      「フォーラム」第2日目
   (テーマ:「中東における経済社会開発」
 「次回会合と今後の取り進め方」)
共同記者会見


2.「対話フォーラム」メンバー

 エジプト

  (1) イスマイール・セラゲッディーン・アレキサンドリア図書館長(座長)
  (2) ハーテム・エル・カルナシャウィ経済問題担当首相特別顧問
  (3) ファルーク・イスマイール元カイロ大学学長
(日本帰国留学生会名誉会長、シューラ評議会議員、カイロ大学工学部名誉教授(電気工学))
  (4) アブドゥルファッターハ・シャバーナ元駐日大使(80~84年駐在)

 サウジアラビア

  (1) ハーリド・ビン・ムハンマド・アル=ゴサイビ経済企画大臣(座長代理)
  (2) ハーシム・ビン・アブドッラー・ヤマニ商業工業大臣

 日本

  (1) 橋本 龍太郎 元総理(座長)
  (2) 宮原 賢次  日本貿易会会長
  (3) 岡本 行夫  総理大臣補佐官
  (4) 須藤 隆也  日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター所長
  (5) 山内 昌之  東京大学教授
目次
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