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平成16年度 中南米諸国日系人若手リーダー招聘プログラム
概要と評価

平成17年2月

1月19日から29日の10泊11日間、中南米12カ国より26名の若手日系人を招聘。目的は、日系人間のネットワーク構築を促進し、日本と中南米の「架け橋」としての役割を更に強化すること。

今回のプログラムは、昨年9月の小泉総理大臣のブラジル訪問において、総理が「日・中南米新パートナーシップ構想」を発表し、その中で「相互理解・人物交流の促進」を柱の一つとしていることを踏まえ実施。

25日には若手日系人及び日本側関係者が参加し、「中南米諸国日系人若手リーダー東京会議」を開催。中南米諸国の日系人の存在が日本と中南米の友好関係の礎を築いてきたことを踏まえつつ、今後の日・中南米関係に日系社会がいかなる役割を果たすべきか、日本と日系社会が如何なる関係を築いていくべきか等につき、率直な意見交換を行った。

その他、有識者による講義、産業・文化・教育施設の視察、ホームステイを含む地方視察等を通じ、日本の政治・経済・文化や日・中南米関係の現状等に対する見聞を深めた。


1.背景

(1) 現在、中南米諸国には約150万人の日系人が居住している。これら諸国の日系人は、政治・経済をはじめとする様々な分野で重要な役割を担うとともに、日本と中南米の友好関係に重要な役割を果たしており、日本と中南米諸国の「架け橋」的存在となっている。

(2) 一方で、日系一世は高齢化し、現地で生まれ育った二世、三世の中には日本語を含め、日本に対する関心が薄れつつあるとの状況もあり、日本との関係で重要な役割を果たしうる日系人の現状は懸念されるところである。

(3) 右を踏まえ、本件招聘では、中南米諸国の日系人で、将来、居住国・社会において指導的地位に就くべき者を日本へ招聘し、自らのルーツとしての日本に対する理解の増進を図ると共に、中南米諸国の日系人間のネットワークの構築を促進することを目的とした。

2.参加者

中南米諸国より26名
(アルゼンチン(3)、ボリビア(2)、ブラジル(8)、チリ(1)、コロンビア(1)、キューバ(1)、ドミニカ共和国(1)、メキシコ(2)、パラグアイ(2)、ペルー(3)、ウルグアイ(1)、ベネズエラ(1))

3.概 要

(1) 「中南米諸国日系人若手リーダー東京会議」プログラムはこちら
  • 1月25日、東京(於:外務省)において「中南米諸国日系人若手リリーダー東京会議」を開催。若手日系人の他、有識者、JICA、外務省より関係者が参加した。
  • 坂場外務省中南米局長による開会挨拶、及び自らも中南米への移住者であるタオカ駐日パラグアイ大使の来賓挨拶に続き、中南米諸国からの参加者2名及び田島久歳 城西国際大学助教授よりプレゼンテーションが行われた。
<プレゼンテーション>
  • ペルーより参加したディノ・アニヤ・オシロ氏が、「ペルーにおける日系人の存在と影響」として、同国における日系移民の歴史を紹介しつつ、日系人のアイデンティティとして日本の文化的価値観を維持していきたいと抱負を述べた。
  • ブラジルから参加したヴァルテル・シンジ・イイホシ氏は、「日・中南米間の潜在的機会の存在と日系人の挑戦」として、日本とブラジルが経済的に相互補完関係にあることを指摘し、現在、出稼ぎ日系人の本国への送金額が、ブラジルのコーヒー輸出額を上回る規模であること等を紹介した。また、日系人のリーダーシップを高めるため、両国の指導者間の相互往来や、有識者から成る委員会の創設等を提案した。
  • 田島久歳城西国際大学助教授は、「ラテンアメリカ諸国の日系人社会・デカセギ現象・今後の展望」として、中南米への日本人移住の歴史的背景や出稼ぎ日系人の存在について言及の上、今後、中南米諸国が資源の獲得と国際政治戦略の上で日本と中国の綱引きの対象となると考えられる、その際、日系人の果たす役割は日・中南米双方において大きく、若手日系人はオピニオン・リーダーとしての役割が期待される旨述べた。
<意見交換>
  • プレゼンテーションに続き、(1)日・中南米関係、(2)中南米における日系人社会の問題、(3)日本における日系人社会の問題につき、活発な議論が行われた。
  • 日・中南米関係については、複数の日系人参加者より、日本人移住者のもたらした農業技術やJICAによる協力等が、現地の経済開発に貢献している旨紹介がなされれた。また、日本と中南米諸国が互いに関心を持ち、文化の違い等を理解することの重要性について発言がなされた。
  • 中南米における日系社会の現状・問題については、日系人参加者より、人材育成や日本語教育の必要性、日系人の日本への留学支援等について意見が出された。これに対し、日本側参加者より、日本の移住者支援策を紹介しつつ、今後も日系人といかなる関係を築くべきか考えていきたいとの発言がなされた。
  • 出稼ぎ・就労問題については、日系人参加者より、多くの日系人が本国に帰国後、日本で得た蓄えを生産的な形で運用できないままに浪費してしまい、再び出稼ぎを余儀なくされるという現状が紹介され、右を解消するための基金の設立・運用について提案がなされた。また、日本側参加者からは、出稼ぎによる中南米日系社会の空洞化問題を懸念する声がある一方、日本国内において出稼ぎ日系人問題に対処するためのネットワーク作りが進む等、前向きな動きが見られること等が紹介された。
  • 最後に、モデレーターを務めた小池洋一 拓殖大学教授より、日本と中南米は様々な面で一層の協力の可能性があり、多方面で活躍する日系人リーダーの役割は大きいこと、また、中南米の日系社会が単に言語を含む日本の文化・伝統を継承するのみならず、新しい社会・文化を創造することが重要であり、この点においても日系人リーダーの活躍が期待されること、そして、中南米の日系社会がより強固で発展したものとなることが、日・中南米関係の発展にもつながるとの発言がなされた。また、出稼ぎ・就労問題については、日系人自身がどのような将来への展望・計画を持つかが重要である一方、日本政府・社会の側でも、日本社会の国際化や将来を考える上で、日系社会・日系人と如何に関わるのかを考え、取り組む責任があるとの発言がなされた。最後に、今回の会議では時間的制約もあり具体的提言や結論には至らなかったが、このような機会を多数持つことが日・中南米の関係強化、及び様々な問題解決につながっていくと考えるとの締めくくりがなされた。

会議風景の写真
会議風景


(2) 講義
  • 日本の政治、経済、文化や日・中南米関係、日本の移住者支援等について講義を受け、日本及び日・中南米関係について理解を深めた。

(3) 企業視察、地方視察等
  • トヨタ自動車工場、日本貿易振興機構等を訪問し、日本企業の技術や日本でのビジネス展開等につき見識を深めた。
  • 中南米諸国の日系人が多く住む愛知県豊田市及び京都への地方視察を通じ、日本在住の日系人コミュニティーが抱える問題や日本の文化・歴史への見聞を広めた。
  • ホームステイでは、一般家庭の日常生活を体験し、受け入れ先の家族との交流を深めた。

4.評価
  • 研修プログラムを通じ、参加者は自己の日系人としてのアイデンティティを再認識すると共に、研修で得た知識、経験を生かし、日本と中南米の友好関係の促進のために役割を果たしたいとの意欲を見せており、今後の活躍が期待される。また、本研修を通じて築かれた参加者間のネットワークを生かし、中南米の日系人同士が相互に協力しあい、日系社会の発展や日・中南米関係の緊密化に貢献することが期待される。
  • 「中南米諸国日系人若手リーダー東京会議」については、参加者が、日・中南米関係、中南米の日系社会の問題や出稼ぎ問題等について、各々の視点から率直な意見交換を行ったことは、日本と中南米の関係を問い直し、相互に日系社会に対する理解を深め、将来を考える有意義な場となった。また、聴衆からも、中南米の日系社会に対する理解を深める良い機会となったとの声が聞かれた。
  • 他方、「扱うテーマが広範である一方、準備時間、議論の時間が短かい」「中南米諸国日系人の今後の役割について、より焦点を当てた議論をしてほしい」等の指摘もあり、今後の課題としたい。




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