平成13年度中南米諸国日系人指導者研修
概要と評価
平成14年2月26日
● |
2月13日から23日の10泊11日間、日本において標記研修を実施。ブラ ジルより5名、アルゼンティン、ボリヴィア、メキシコ、パラグァイ、ペルーの各国より1名の計10名が参加。 |
● |
本研修日程の中で、22日に清子内親王殿下御接見を行った。また、衆議院、トヨタ自動車、東京証券取引所など政治・経済関連の施設を視察した他、広島、奈良等への地方旅行を通じて文化面でも日本への理解を深めた。また、2002年は本邦においてワールドカップが開催されることもあり、日系人として日本でサッカー解説者として活躍するセルジオ越後氏との懇談、横浜国際競技場視察を行った。 |
● |
本研修を通じ、参加者が対日理解を深め、今後、対日友好関係の促進、当該国における日系社会の一層の発展に貢献することが期待される。 |
|
1.研修の目的
本研修は、中南米において将来各界の指導的地位に就くべき日系人を日本に招待し、日本の経済・社会等に関する講義並びに産業・文化施設等の視察を通じて、日系人としての自覚及び対日理解の増進を図り、もって対日友好関係促進、更には当該国の発展に貢献する「人造り」の一助とすることを目的とする。
2.今次研修の概要
(1) |
参加者:10名
内訳: |
ブラジル |
5名 |
(サンパウロから2名、クリチバ、ベレーン、ポルト・アレグレから各1名) |
その他 |
5名 |
(アルゼンティン、ボリヴィア、メキシコ、パラグァイ、ペルーから各1名) |
|
(2) |
研修日程:
(a)日本在住の日系人等との懇談
セルジオ越後氏、NHK教養番組ディレクターの荒木氏との懇談の他、名古屋国際センター、豊田市でも中南米出身の労働者との懇談を行った。参加者は、在日日系人の子女教育のあり方、日本文化の特徴等について積極的に意見交換を行った。
(b)政治・経済関連施設の視察
トヨタ自動車、東京証券取引所、豊田市役所、衆議院といった政治・経済関連の施設を視察した。トヨタ自動車では南米プロジェクト推進室等関係者との懇談を行った他、豊田市役所では豊田市の外国人施策等についての説明を受けた。
(c)ワールドカップ関連
セルジオ越後氏との懇談において、ワールドカップが日本に与える影響や外交手段としてのスポーツの重要性等について意見交換をした。また、横浜国際競技場においては横浜市のワールドカップに向けた取り組み等について説明があった。
(d)地方旅行
本研修中、広島、奈良、名古屋への地方旅行を行った。広島平和記念資料館において被爆者の講話を拝聴した他、宮島や名古屋城を見学した。また、奈良においてはホームステイを体験し、多角的な側面から日本の文化に触れることができた。
|
3.今次研修の評価
本研修においては、対日理解を深めようという参加者のモチベーションが高かった上に、当方より各講義、視察を依頼した団体の受け入れが大変丁寧なものであったため、中身の濃い研修となった。また、奈良でのホームステイにおいては、実際に日本の一般家庭において日本人の日常生活を体験することができ、参加者から非常に貴重な経験になったとのコメントがある等、参加者は日本に対し好印象を持つことが出来た。
参加者は本研修で得た知識、経験を活かし、各国における日系社会の発展に貢献するために積極に取り組んでいくとともに、その際、本研修で意見交換を行った日本の関係者、或いは参加者相互間のネットワークを活かしつつ対日友好関係の促進に寄与しうる活動を行うことが期待される。
課題としては、10泊11日という短期間であったにもかかわらず、政治・経済・文化など多様なテーマを扱ったことから、それぞれのテーマを十分に掘り下げる時間が取れなかった点が挙げられる。次回以降は、具体的なテーマに限定しその分野において活躍する日系人を招聘することで、各国の日系社会の発展により具体的に寄与するようなプログラムを組むことも検討する必要がある。
|