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日・カリブ閣僚レベル会議
「21世紀における日・カリコム協力のための新たな枠組み」
(仮訳)

2000年11月8日 東京

 日本の外務大臣並びにカリブ共同体(以下、「カリコム」)加盟国、すなわち、アンティグア・バーブーダ、バハマ国、バルバドス、ベリーズ、ドミニカ国、グレナダ、ガイアナ協同共和国、ハイティ共和国、ジャマイカ、セント・クリストファーネーヴィス、セント・ルシア、セント・ヴィンセント及びグレナディーン諸島、スリナム共和国及びトリニダッド・トバゴ共和国の外務大臣は、2000年11月8日に東京にて会合し、日・カリコム諸国間の今後の協力の枠組みについて討議し、「21世紀における日・カリコム協力のための新たな枠組み」を策定した。

1.安定と開発のためのパートナーシップ

 国際関係における相互依存の深化とグローバリゼーションの結果を考慮し、閣僚は、カリコム諸国がアジア・太平洋諸国との関係の一層の強化に努める中、日・カリコム関係を更に強化する決意を新たにした。閣僚は、「安定と開発のためのパートナーシップ」の枠組みの下で、特に(1)カリコム諸国の経済社会開発のための協力、(2)グローバル経済への統合のための協力、すなわちそれぞれの民間セクターを含む日・カリコム間の活発な経済交流、(3)国連、WTO等の国際場裡における協力、を重点に日・カリコム関係の一層の発展を図るためあらゆる努力を行うことを決意した。

1-1 経済社会開発のための協力

 閣僚は、カリコム諸国の経済的、社会的、及び環境面での脆弱性並びにグローバリゼーションの急速な進展のもたらす様々な機会と課題に留意した。閣僚は、カリコム諸国による持続的な経済社会開発を推進する努力を支援するため、次のような貧困削減及びその他の分野を中心に、開発協力を一層推進すべきであるとの共通認識を再確認した。

良い統治

 政治的安定が開発計画を円滑に実施する上での前提条件であることを考慮し、閣僚は、民主主義、公正及び人権尊重の原則に立脚する手続きを国内的及び国際的に更に精緻なものとすることを促進する。閣僚は、国際社会が国家の主権を尊重しつつ能力開発への支援を行う必要性を認識した。また閣僚は、カリブ司法裁判所の設立への進展を考慮しつつ、カリブ地域における司法機関の人材開発を含む能力向上について協力する。

貧困削減

 経済の自由化とグローバル化は、国内及び国家間の所得格差拡大を表面化させ、貧困人口を増加させている。このため、閣僚は、女性を含む社会的弱者の雇用機会の創出、基礎保健衛生サービス、基礎教育、飲料水へのアクセスの向上、及びHIV/AIDSその他の感染症の予防と治療に対する能力改善のために協力することを決意した。

環境と防災

 環境の保全と自然災害の事前軽減は、日本と同様、カリブ諸国の持続的開発にとって死活的に重要である。環境に関し、閣僚は、海洋汚染防止、廃棄物管理・処理及びその他の環境悪化防止措置において協力する決意を表明した。また閣僚は、この点で、人材開発、法制度改善及び行政能力の強化について協力を推進することを決意した。
 自然災害に関し、閣僚は、自然災害対策のための適当な人的・物的資源を提供し、また防災活動及び復興のための組織の設立につき協力を推進することを決意した。また、防災、緊急対応及び管理に関する域内及び国内機関の機能を強化するために国際協力を推進することを決意した。

中小企業開発

 中小、零細企業の開発は更なる産業構造の多様化、地方開発及び貧困削減の促進に資することを認識し、閣僚は、マーケティング、生産技能開発、規格及び品質管理、企業家の育成、企業会計、企業の経理その他の管理技能等の分野における職業訓練その他の人材育成面で協力することを決意した。

1-2 グローバル経済への統合のための協力

 閣僚は、モノ及びサービス貿易の拡大、外国からの投資増加、及び情報通信技術へのアクセスの増大がカリブ経済の持続的成長とグローバル経済への統合を確保する上で極めて重要であるとの認識を共有した。閣僚は、その結果、民間セクターを含めた日・カリコム諸国間の交流を促進し、また、特に以下の分野においてインフラ及び人材育成への協力を強化する必要性を再確認した。

観光・水産・農業

 閣僚は、観光分野における交流を促進し、また民間セクターの協力を含め、観光分野における交流を促進すること、及び、カリブ地域における観光開発のために協力が可能な分野を確認することを目的に、カリブ観光機関との協力により、日・カリコムの観光業界が参加する適当なフォーラムを早期に開催する可能性を探求する。
 閣僚は、カリコム諸国における水産業の更なる強化のため、インフラ開発、機材供与、人材育成及び技術支援の分野におけるより緊密な協力を追求する。
 また閣僚は、農業分野での協力の可能性を追求する。

貿易・投資促進

 閣僚は、日・カリコム諸国間の貿易・投資を奨励するため、引き続き官民レベルで接触を継続する。これを念頭に、閣僚は、2002年までにカリブ貿易・観光フェアを日本で開催することを決定した。

情報通信技術

 閣僚は、情報通信技術分野における人材育成のための協力を推進し、それによりカリコム域内全体における情報通信技術の活発な導入と広範な普及を達成するためのカリコム諸国の努力を支援する。この点につき、閣僚は、情報通信技術の利用の促進についての日・カリコム間の協力を強化するため、早期に地域セミナーを開催することを決意した。

1-3 国際場裡における協力

 閣僚は、日・カリコム間の相互理解の増進と国際場裡における協力強化の重要性を認識し、共通の関心を有する目下の国際問題について討議した。その中で、閣僚は、常任・非常任理事国の拡大を含む安保理改革等の国連改革の早期実現の必要性を強調した。閣僚は、WTOのもとでの多角的貿易交渉の重要性を強調し、更に、小規模且つ脆弱国の特殊事情への取り組み及び債務救済のイニシアティブ実施のための努力を強化する必要性を表明した。また閣僚は、気候変動をはじめとする地球環境問題、国際組織犯罪及び国際課税の問題の重要性を強調した。閣僚は、これらの問題についての多国間対話を一層推進することを決意した。

2.日・カリコム間の対話と交流を通じた相互理解の促進

 閣僚は、民間セクター、市民社会、青年層を含む裾野の広い人的交流を促進すると共に、国民レベルの相互理解を強化するために文化交流を推進することを通じて、日・カリコム関係の基盤を一層堅固にすべきであるとの点で一致した。

2-1 文化交流の強化

 閣僚は、日・カリコム間の文化交流の重要性を認識し、日本に対するカリブ文化の紹介、カリブ地域に対する日本文化の紹介を推進することの必要性を表明した。閣僚は、文化事業を推進・実施するため緊密に協力する意向を確認した。カリコム諸国の閣僚は、カリブ地域の文化遺産保存に対するカリコム諸国の努力を支援する可能性を探求するとの日本政府の提案を歓迎した。

2-2 様々なレベルでの交流の促進

 閣僚は、民間セクター、市民社会、青年層等の交流を推進することの重要性を認識した。このため、カリコム諸国の閣僚は、2001年にカリコム諸国から、それぞれの国において情報通信技術の分野で指導的役割を果たすことが期待される青年グループを招聘するとの日本政府の提案を歓迎した。

3.日・カリコム間の対話とコミュニケーション促進のための枠組みとメカニズム

 閣僚は、日・カリコム間の対話とコミュニケーションを促進するために以下のメカニズムを構築することを決意した。
 2003年またはそれ以降の早い年の双方の都合の良い日に、次回の日・カリブ閣僚会議を開催する。閣僚会議の開催までの間、高級事務レベルによる日・カリブ協議を毎年開催する。また、フォローアップとして、協力プロジェクトに関する実務レベル協議を必要に応じ開催する。
 日本側は、友好・協力プロジェクト/プログラムを支援するための日・カリブ友好・協力基金の設立を提案した。カリコム側はこの日本側のイニシアティブを歓迎した。双方は、今後この件につき協議を行う。
 外交チャンネルによる公式なコミュニケーションを補足するため、できるだけ早期に日本とカリコム諸国の外務省及びカリコム事務局間のe-mailネットワークを立ち上げる。このネットワーク立ち上げのため、カリコム事務局を通じ必要な準備作業を進める。

 2000年11月8日 東京

日本国外務大臣
(署名)
  カリコム外交共同体関係理事会議長
(署名)


日本のカリコム諸国に対する協力イニシアティブ

1.自然災害・環境保全

(1) 自然災害への対応能力の強化

  • カリブ防災機関(CDERA)に対し、防災計画策定、災害マップ作成のための専門家を派遣。かかる技術協力を基に、今後、CDERAを中心とした域内の防災計画作りを行うことを念頭に本年内に調査団を派遣。
  • また、CDERAに対し、緊急物資貯蔵庫拡充、災害時の通信体制の整備、輸送体制の整備等のため、人間の安全保障基金を通じ300万ドル規模の支援をすることを検討。

(2) 環境汚染への対応能力の強化

  • 下水処理施設運営のための能力強化を目的とするカリブ特設研修を明年3月に本邦にて実施。
  • 海洋汚染防止の人材育成に貢献するため、西インド諸島大学海洋科学研究所に専門家を派遣。原油流出による汚染の防止に関するセミナーを開催。また、パリア湾海洋汚染防止計画に関する調査を実施。
  • カリブ環境衛生研究所(CEHI)に対し、環境アセスメントを行うための分析能力強化に関する専門家を派遣。

2.貧困層等社会的弱者の生活の改善

(1) 保健・衛生

  • カリブ地域において極めて深刻な問題となっているHIV/AIDS対策については特に重点的に協力を行っていく。まず、HIV/AIDSおよびリプロダクティブ・ヘルスのため、人間の安全保障基金等を活用し、総額約120万ドル相当のプロジェクトの支援を検討。
  • その他、病院関連施設への支援、医療機材の供与。

(2) 初等教育支援

  • 青年海外協力隊(JOCV)の派遣による初等教育の充実。
  • 初等教育機関の施設充実のための支援。

(3) 貧困層の経済的自立支援

  • バナナの樹皮を使用した製紙技術の普及支援を検討中。
  • 貧困層(ストリート・ピープル)の職能向上のための支援。

(4) ジェンダーと開発

  • 男女平等及び女性の開発過程への参加を強化するためのプロジ ェクトへの支援を検討。

(5) 良い統治

  • 民主化支援、司法機関の人材育成支援。

3.グローバリゼーションに対処するための支援

(1)IT支援パッケージ

  • 2001年にIT地域セミナーを開催し、カリコム諸国におけるIT開発のニーズ、ITの経済的・社会的活用、ITの人材育成に係る国際協力について政策立案者及び産業界代表等による討議を実施。
  • 2001年に、カリコム各国のIT分野の若手指導者を日本に招聘し、短期研修を実施。
  • 西インド諸島大学が実施しているITを駆使した遠隔地教育を拡充するための人材育成を支援(約50万ドル)。

(2)貿易・観光の促進

  • 2002年のカリブ貿易・観光フェアの日本開催。
  • 右貿易フェアの準備を兼ねた日本市場の特性等に関するセミナーを実施。
  • 観光促進のための対話の強化。観光開発の専門家の育成。

(3)産業の活性化と多様化の促進

  • カリブ工業研究所での工業訓練支援。
  • 零細漁業開発と水産施設の充実。

4.交流の強化

  • 将来を担う若手の交流強化のため、人材育成・交流計画2000の推進(今後7年間で2000人を目指す)。
  • 2002年にカリブ・ウィーク、ジャパン・ウィークの文化事業を相互開催。

5.日・カリブ友好・協力基金の設置

  • カリコム諸国との友好協力関係の促進に寄与する事業を支援するため「日・カリブ友好協力基金」を設置することを検討。今後、同基金のスキーム等につきカリコム側と協議。


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