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2003年の中南米経済
-国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)*1の最新報告より-

平成15年9月

 8月7日に国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が発表したラ米・カリブ地域の経済動向予測のポイント、以下の通り。

2003年中南米経済の成長予測

(1) 過去10年で唯一マイナス成長(-0.6%)であった02年に比較すれば、緩慢ながらプラス成長(予測1.5%)に転じる。但し、昨年12月時点の予測(2.1%)からは下方修正。。

(2) 緩慢な成長に止まる主な原因は、米国経済が期待ほど回復せず、欧州経済も日本経済も停滞したままで、世界経済の状況が期待したほどではないこと。

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
成長率 5.2% 1.1% 3.8% 5.1% 2.2% 0.5% 3.8% 0.4% -0.6% 1.5%

主要各国別の経済成長動向(2003年)

アルゼンチン:03年予測は5.5%と高い上昇(但し、01年は-4.4%、02年は-10.9%とそれまでが悪すぎた)。
ブラジル:03年予測は1.5%(01年、02年も概ね1.5%前後)の緩慢な成長を維持。中期的には巨人覚醒の気配。
コロンビア:アンデス諸国の中では唯一成長率(03年予測2.5%)が前年より上昇。
チリ:輸出が好調で、主要国の中では比較的堅調(03年予測3.5%)。
メキシコ:01年のマイナス成長(-0.5%)、02年の低成長(0.8%)は脱するも、03年予測の1.5%では経済が活性化しているとまでは言えない。
ペルー:過去2年堅調な成長(02年5.3%、03年予測3.5%)。輸出が堅調で国内需要も上向き。
ウルグアイ:マイナス成長継続(01年-3.5%、02年-10.7%、03年予測-2.5%)。
ベネズエラ:政治的不安定もあり、益々悪化(02年-9.0%、03年予測-13.0%)。
中米:概ね1.5%~2.5%の成長であるが、コスタリカだけはフリーゾーンでの組立産業の回復等で特に好調(03年予測4.5%)。
ドミニカ(共):03年予測の-1.0%は1990年以来初のマイナス成長。
英語圏カリブ:03年予測は2.5%とまずまず堅調。トリニダード・トバゴ(4.0%)が牽引力。

貿易動向

(1) 中南米全体の輸出は4.4%の伸び(02年の0.8%から見れば大きく回復)。輸入は0.8%増(02年は01年比-6.7%)でやや回復傾向。

(2) 中南米全体の貿易収支は黒字(370億ドル)。特に、貿易収支の改善は南米諸国(特に伯、亜)で顕著(560億ドル)。逆に、米国との通商関係の深い地域・諸国(墨、中米、ドミニカ(共)等)で貿易収支は赤字。

投資・金融資本情勢

(1) 外国直接投資(FDI)のネット流入額はGDP比0.6%と増加してはいるが、ピークであった99年(GDP比3.7%)以降から低下傾向。

(2) 金融資本の移転は、依然として減少している(GDP比-1.6%)。但し、右は02年(GDP比-3.7%)に比較すればまし。

雇用情勢

 02年の中南米全体の都市部失業率は8.9%と近年最高であったが、03年は若干改善すると見られる。特に、チリ、コロンビア、アルゼンチン等に改善が期待できるが、経済活動人口の大きい二大国(伯、墨)では、03年前半に僅かにしか改善していないため、全体として大きな改善は見込めそうにない。

物価動向

(1) 03年の中南米全体のインフレ率は8.6%の予想。02年の12.1%から低下傾向。

(2) 主要20ヶ国のうち、2桁インフレの国は02年の7ヶ国(亜、伯、ドミニカ(共)、ハイチ、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ)から、03年には3ヶ国(ドミニカ(共)、ハイチ、ベネズエ ラ)のみになる見込み。即ち、メルコスール諸国は2桁インフレを脱することになる。

2003年の経済政策における重要なトレンド

(1) 財政構造改革へ向けた動き

多くの諸国で税制改革を実施、または実施の途上、乃至、実施の必要性を認識。
チリではFTAによる関税収入低減に伴うIVA増税実施。今後、FTAが進めば他国にも波及か。
伯ではIMFとの約束よりも厳しい財政規律(03年のプライマリー黒字をGDP比4.25%に)を自らに課す。

(2) より積極的な通貨政策

02年の為替の不安定性はインフレを加速し、それが金利に反映したため、金利は通貨政策それ自体よりインフレに強く影響されたが、03年はインフレ低下傾向にあるため、通貨政策の自由度がアップ。
貿易収支の改善(輸入の伸び悩み)は国内消費の低迷を反映しており、通貨量拡大政策の一因。

(3) 為替の安定化

特にメルコスール諸国の02年は為替が不安定(亜の兌換制放棄、ウルグアイの為替バンド制放棄、伯の対ドルレート大幅下落等)であったのに対し、03年は若干レートが上昇しつつも比較的安定的に推移。墨、中米は概ね安定したまま(但し、ベネズエラは為替管理)。
中南米全体では為替レートが輸出競争力を発揮しやすい状況になり、これが03年の輸出増加にも貢献。

FTA分野の動き

(1) 2003年の主な動き
 米・チリFTA署名。米・中米FTAの交渉開始。伯・亜新政権によるメルコスール進捗確認。メルコスールとアンデス共同体(CAN)の交渉進捗。

(2) 域内貿易
 しかし、域内貿易の動向は千差万別で、03年のメルコスールは+12%、中米共同市場(CACM)はせいぜい+2%、アンデス共同体に到っては-15%の予測。


*1 "Situacion y Perspectiva:Estudio Economico de America Latina y el Caribe, 2002-2003"(03年8月)


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