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小林サマーワ事務所長インタビュー
(ラジオJ-WAVE「JAM THE WORLD」) 12月2日(火)21時10分から21時25分まで放送されたラジオJ-WAVE「JAM THE WORLD」(『15minutes』コーナー)にサマーワ外務省連絡事務所の小林所長が出演しました。インタビュー内容は以下のとおりです。インタビュアーは、ラジオパーソナリティーの高瀬毅さんと小林まどかさんです。
◎続きましては、15minutesのコーナーです。 (中略) ◎そこで今日は、先日、サマーワから帰国されたばかりの在クウェート日本国大使館公使で、サマーワ外務省連絡事務所長の小林弘裕さんをスタジオにお迎えしまして、サマーワの現状についてお話を伺っていきたいと思います。小林さん、こんばんは。宜しくお願いいたします。 ●はい、こんばんは。サマーワにあります外務省連絡事務所長の小林です。宜しくお願いいたします。 ◎早速、お伺いしていきたいのですが、小林さんはどのくらいの期間、サマーワに滞在されていたのですか? ●はい。これまで3回、それぞれ1ヶ月ずつ入っておりまして、始めは4月の終わりから、9月、10月と入っております。 ◎帰国されたばかりということなのですが、今回帰国された時はいつ帰国されたのですか? ●一昨日帰って参りました。 ◎一昨日ですか?本当に帰国されたばかりなのですね。4月からトータルで3回行かれたということですが、今回サマーワに滞在された目的は何だったのですか? ●はい。今事務所に5人おりまして、私が所長ですが、その5人が2つシフトを組んでおり、1ヶ月ずつ交代となっております。もちろん、我々が行く時は事務所勤務が目的となっております。 ◎今回、サマーワに行く前にも、色々と現地の情報収集をされていたかと思いますが、実際、小林さんがサマーワの地に初めて立たれた時の印象は如何だったでしょうか? ●4月末でして、もう相当に暑かったのですが、昼間はずいぶん日差しが強く、ほこりっぽい所だなという印象を受けました。 ○じゃあ、かなり過酷な場所だなという印象を? ●ええ、昼間はもう4月末でも40度以上になっておりましたから。 ◎今回のサマーワ行きはご自身で志願されて行かれたのですか? ●はい。私自身がアラビア語をやっていてアラビストということで、その直前はカイロにあるエジプト大使館にいました。サマーワでこういう重要な仕事があるので、自分で志願して参りました。 ○今、自衛隊がサマーワに派遣されていますが、なかなか現地の様子が伝わってこないんですよね。具体的なところが分からないんですが、今自衛隊はどんな活動をされてますか? ●人道復興支援という枠組みの仕事で、例えば、給水活動ですとか、医療活動ですとか、学校とか道路の補修というインフラ整備活動等が中心となっております。 ○給水活動というのは、具体的にどういうことをやっているんですか? ●自衛隊の宿営地の中で外の運河から水を引き、逆浸透膜装置を使って非常に純粋な水を作り、今度はそれを、我々の事務所が供給した給水車で以て、周辺の人々に配っているという活動です。 ○大体、1日70~80トンくらいと聞いているのですが、それぐらいでよろ しいんでしょうか? ●日によって上下ありまして、それより大きくなる場合もあります。 ○ただ、向こうは水道の普及率が高く、75パーセントくらいの普及率だと聞いているのですが、自衛隊がわざわざ行って給水をしなければならない状況なんでしょうか? ●はい、元々イラクという国はお金持ちでして、インフラは備わっていたんです。ただし、長い間放置されておりまして、今現在水道施設はあるんですが、動いていない状態です。 ○動いていないのですか? ●ですから、町の中は本当の市街で水道があるのですが、実はそれを使用しておらず、地下に穴を掘りそこにタンクを埋めて外から水を持ってきて使っています。 ○それは米軍の攻撃があったことによって、元々あったインフラが壊れたということなのですか? ●それは、もっと前からのサッダーム政権時代からの負の遺産というものだと思います。 ○フセインがいた時から、もうそういう状態になっていたということなのでしょうか? ●はい。南部は言わば見捨てられていた地域でして、要するに南部はイスラム教の宗派でシーア派という人たちが多く、スンニ派のサッダーム政権から見ますと、あの辺の開発は後にしておこうということで、あまりメンテナンスがなされなかったという状況があります。 ○ということは、自衛隊が給水活動をしなければ、市民生活にはかなり支障がでるという状況なのですか? ●市民の皆さんが大変困っておりました。 ○活動内容は復興支援活動ということで、4月から都合3回行かれたわけですが、この半年くらいで変わりましたでしょうか? ●我々はよく市民の人達と話すのですが、医療が非常に良くなったと特に評価してくれています。これまで医療関係の機材ですとか、消耗品と我々呼んでいるもの、例えば、リンゲル液とか、注射器とかをかなり大量に供与しました。自衛隊の医務官という人達がおりまして、彼らが看護婦だとか薬剤師さんを連れて、実際に病院まで行って指導しているということがあり、当初より、医療水準はかなり上がってきたと聞いております。 ○ということは、宿営地から出て行ってということですが、これに危険はないのでしょうか? ●ちゃんと警備を付けて現地まで行きますし、いったん病院の中に入りますと安全でして、そこで活動しておられます。 ○それで、地元の人達の評価というのはどんな感じなのですか? ●はい、これは分野によりまして、特に医療は大変高い評価を得ております。それから、水も非常に重要なので、ありがたいということなのですが、道路とか学校補修は今少しずつ進めていて、これをもらった人はとても喜んでいるのですが、まだの人は、まだかまだかと首を長くして待っておられます。 ○こうやってお話を聞いていると、自衛隊の活動は成功しているという印象を受けるんですが、一方で、迫撃弾が自衛隊の宿営地に打ち込まれるということがあって、伝わってきているニュースの不安・危険さと、今伺ったお話とのギャップがあって、とまどってしまうのですが、正直なところどうなっているのですか? ●実はその迫撃砲なりロケット砲を誰が撃っているのか、我々もよく調べているのですが、犯人が分からないのです。色々な情報がありまして、外のどういうところからやってきたテロじゃないか、あるいは周りの人じゃないかという説もあり、分からないのです。ただ、バグダッド等色々な所でテロ活動が行われていますが、本気で彼らが攻撃しようと思えば、他の方法があり、そういうことをこれまで全く行っていないことからすれば、単なる威嚇程度のことなんじゃないかと思います。 ○5月に亡くなったフリージャーナリストの橋田信介さんが取材をした中で、武装勢力側は自衛隊を派遣してから1年間は待つが1年後は分からないぞという話がありました。そういう意味での猶予期間中、向こう側が撃ってきた弾が着々と自衛隊側に近づいてきていました。ということは、何かの意図を持っているのではないですか?まさに威嚇であって、期限がきたら次は本当に狙うぞということが不安だと言われているわけですよね。この辺については、小林さんはどのように判断されますか? ●はい、攻撃のタイミングの一つの山が、4月、5月というのがありましたね。それからしばらく静かでそれから8月にあり、それから最近の10月に2回あったわけです。仮にご指摘のように、ある一定期限をもうけて、それに目掛けてこちらの恐怖感を煽るようなことをするのであれば、そういう断続的なことじゃなくて、他にやり方があると思うんですね。ですから、あまり計画的なものではないのではないかと我々は見ております。 ○ということは、延長しても危なくはないと判断していいということですか? ●はい。こんなことを言うと、色々ご意見があるかと思いますが、イラクは全体的には危ないところなのです。ですから、迫撃砲はイラクのどこにいても飛んできて間違いないと思います。ただ、あの辺のサマーワがある県をムサンナーと言うのですが、ムサンナー県は比較的安全だと思います。我々は外に出る際に、狙われていたり、あるいは何かそぶりがあれば、緊張感が伝わってくるんですね。みなさん「目」も違いますし、我々も十分注意した上で外に出ますので、比較的安全ということが言えると思います。 ○政府の発表、それから小林さんのお話を聞いていると、比較的安全だから自衛隊の派遣期間を延長するというようなことですが、ただどうも国民はそのことに納得がいきません。各紙世論調査において6割以上が派遣延長に反対だという国民の考え方については、小林さん、どう思われますか? ●残念ながら、今は反対の方のパーセンテージが高いと聞いておりまして、私自身非常に残念だなと思っております。色々政治的な面だとか、国会での議論だとかあると思いますが、一つは我々の宣伝と言いますか、こんなに喜ばれ、効果が上がっているだという宣伝が少し足りないのではないかという反省を私自身しております。 ◎小林さん、引き続き宜しくお願いいたします。 ●サマーワ事務所長の小林でございます。宜しくお願いします。 ◎お伺いしたいのですが、小林さんは一昨日戻られたばかりということなんですが、サマーワでは現地で活動している自衛隊のみなさんとお話をする機会はあったんですか? ●はい。自衛隊が寝泊まりしている宿営地に我々も入っておりまして、毎日まさに同じ釜の飯を食って、夜になると業務打合せのために毎日議論をしております。 ◎みなさん、現地での様子はいかがでしたか? ●もう非常に張り切ってがんばっておられます。頭の下がる思いです。 ○迫撃弾が飛んできた時の不安というのはあります? ●大抵夜中に来るので、安全性の高い耐弾施設で寝ることにしています。直撃しても大丈夫な設計になっておりますが、気持ちの上で不安は少しあります。 ◎来年の3月にサマーワの治安や警備を担当しているオランダ軍が撤退するということですが、これは当然武装勢力側に伝わっていると思います。この3月以降はどんな風になってくるのか、ちょっとその辺も心配なのですが。 ●はい。南部の治安の責任はイギリスが負っていまして、イギリスが、具体的な形では決まっておりませんが、何らかの形で手当てするということになるのではないかと思います。今、オランダ軍がサマーワの警備の指導を行っておりますから、それが上手く実を結べばいいなと思っております。 ◎それから、10月の終わりにはイラクで香田証生さんが拘束されて殺害されるというとてもショッキングなニュースが入ってきましたが、この時は小林さんはサマーワにいらしたのですか? ●はい。いました。 ◎このときは現地ではどのように報道されたんですか? ●はい、現地では衛星放送をよく見ておりまして、そういう意味では世界と同じように情報が入ってくるのですが、他の誘拐事件もありましたので、それと並列的に報道されておりました。 ◎小林さんはこのニュースを聞いた時に現地でどのように思われましたか? ●本当にご無事であれば良いなとずっと思っておりましたが、サマーワにおいても必要な情報が取れればと色々我々も努力をしました。 ○外務省はイラクが危険だということで、退避勧告を出していたわけですが、香田さんの不幸な事件が起こってしまいました。またこういう事件が起こらないとも限らないのですが、そういうことについては、何が必要だと思われますか? ●やはり、勧告を注意をもって見ておいて頂きたいというのが一つと、ご自身が気を付けて行動されるというのが一番重要なことじゃないかと思います。 ○色々NPO活動なども続けていっていると思うのですが、そういう支援活動も危険を伴うと思います。どんなサポートをしていくと外務省は考えているのでしょうか? ●それは今イラクにおいてという意味でしょうか? ○ええ、そうです。 ●今はなるべく中に入らないで頂いて、外から遠隔操作のできるものに限って頂きたいと思います。 ○となると、なかなか細かいところまで手が届かないということがありますよね。もちろん政府は色々なことをやると思いますが、それだけじゃないところをNPOが補っているわけですよね。そうすると、遠隔と言ったとしても、入れないということになってしまいますから、やはり入らざるを得ない状況というのはあると思うんですけど。 ●諸外国のNGO等も活動しておりますが、現地の人を使って彼らに委託して行動している例がよくあります。 ○ それから、自衛隊ですが、この先どういった活動を行っていくのですか?外務省もどういうふうにやっていくのですか?この辺はどうなんでしょう? ●人道復興支援へのニーズというのは非常に大きいものがありまして、今の計画を一生懸命に進めても、なかなかこれでいいんだということはないと思います。外務省としても、今自衛隊と一緒になってやっておりますが、できれば若干日本がいた証明になるようなシンボルのような案件も手がけていきたいなと思っております。 ○例えばどんなことがありますか? ●今一番の目抜き通りをユーフラテス川沿いのコルニシ通りと言います。例えば、そこを整備しまして、街路樹を植えて歩道をきれいにして所々緑地帯を設けて、みなさんが集える場所にし、そこに小型の発電機を置いて、電気も夜灯すというようなことを考えております。 ◎ということで、残念ながらお時間が来てしまいました。小林さん、今日はお忙しい中、本当にどうもありがとうございました。 ●どうもありがとうございました。 ○今日は先日サマーワから帰国されたばかりの在クウェート日本国大使館公使で、在サマーワ外務省連絡事務所長の小林弘裕さんをスタジオにお迎えしまして、サマーワの現状やイラクで日本が求められていることなどについて考えました。小林さん、お疲れ様でございました。 ○以上、15minutesのコーナーでした。 |
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