イラク情勢(米英軍のイラクに対する武力行使)
平成10年12月18日
1.事実関係
17日午前7時前(バグダッド時間同日午前1時前)、米国及び英国軍はイラクの軍事施設等に対し武力攻撃を実施。バグダッドにおいては、午前0時49分から10分程度対空砲火が行われた。また、18日早朝(バグダッド時間17日夜)第2波の武力攻撃が行われた。
2.我が国の対応
(1)総理大臣コメントの発出
17日午前、野中官房長官より、「イラクの対応は関連安保理決議及び了解覚書に対する重大な違反であり、誠に遺憾ながらイラクの協力が得られず、このような事態に立ち至った。このような経緯に鑑み、今回の米国及び英国による行動を支持するとともに、イラク政府が安保理決議上の義務を受け入れ、国際社会との関係が正常化され・・・・・イラク国民の窮状が速やかに是正されることを強く希望する。」旨の小渕総理大臣コメントを発出。
(2)中近東アフリカ局長の在京イラク臨代に対する申し入れ
17日午前、天江中近東アフリカ局長がアリ在京イラク臨時代理大使を招致し、同日の米、英によるイラク武力行使に対する小渕総理大臣コメントを伝達。
(3)在京イラク臨代の中近東アフリカ局長に対する申し入れ
17日夕、アリ在京イラク臨時代理大使が天江近ア局長を来訪し、UNSCOMの報告書は全て虚偽である、UNSCOMは米英の手先である等として、イラクに対する支持を要請。
3.国連の動き
(1)安保理においては、17日未明より、バグダッドからのUNSCOM及びIAEAの要員の退去等につき非公式協議が行われていたが、その後米英の武力行使との事態を受け、露の要請により、同日正午頃より安保理公式会合が開催された。同公式会合では、露、中より米英の武力行使を非難する発言などがあり、我が国からは総理大臣コメントに沿って発言した。
(2)18日午前5時半より、安保理非公式協議においてイラク情勢の審議が再び行われており、米英の武力行使、国連の人道プログラムへの影響、人道要員の状況について議論されている(18日午前6時45分現在)。
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4.各国の反応
(1)支持乃至理解
- 加、独、豪、ニュー・ジーランド、韓国、オランダ(以上、支持)
ハンガリー、オーストリア、ルーマニア、チェッコ、ポーランド、ノールウェー、フィンランド、ベルギー(以上、理解)
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(2)不支持乃至反対・非難
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露、中、イラン、パレスチナ自治政府、北朝鮮、レバノン、テュニジア、アラブ連盟、インド
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(3)留保乃至中立
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仏、スウェーデン、トルコ、イスラエル、インドネシア、スイス、ジョルダン、カタル、エジプト、スペイン、スロヴァキア、シンガポール
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(4)なお、報道によるとアラブ連盟緊急会合が、イラクの要請に応じ、20日に開かれる予定。
5.在留邦人の状況
(1)17日午後5時時点で安否が確認できていなかった短期滞在者2名については、16日(日本時間)にイラクより出国し、アンマンに無事到着したことを在ジョルダン大使館が確認した。
(2)これによりイラクに滞在していることが判明している邦人11名(男性6名、女性5名)は全員無事であることが確認された。